前途多難【22-23 EPL Match Week 2 vs Brentford FC】

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スタメンはこちら。

【前節の振り返り】

・開幕戦はブライトンに敗北スタート
・ビルドアップ時の傾向を叩かれ失点
・洗礼を受けたハイボールの処理
・撤退のカウンターシフトでリスクは負わない。
・エリクセンをアンカーに据え、前線にロナウド投入で好転
・終盤まで崩しきれない守備ブロック

開幕戦は負け。大事な試合ほど弱みを見せてしまう近年のユナイテッドは今期も継続。前節のショッキングなブライトン戦を払拭しなくてはいけない第2節。いよいよ2センターに見切りをつけ始めたテンハーグはマクトミネイを変え、フレッジをアンカーに配置する433を選択。ビルドアップのフォローにエリクセンを立たせる運用を持続しながら、前線にロナウドを置き中央の起点を復活させようと試みた。

■前半：自滅に近いミスの代償

ユナイテッドは致命的なミスから試合早々にリズムを崩していく。予兆はいくつかあったが、ビルドアップへの強い牽制に今日もぶち当たってしまう。前半10分ダシルバのシュートをストップし損ねたデヘアのミスは言わずもがなだが、前後もきちんとよろしくなかった。

後ろ2枚に対してCFのトニー、エンベウモの両FWが機能的にプレス。CBとSBのコースを隠しながらGKデヘアの選択肢を確実に削いでいくランニングが際立った。フォローに落ちるエリクセンをボール回収の第1地点、その戻しを受けるマグワイヤorデヘアを第2地点として設定。逃げ道となるSBへの経路も排除し、自陣からの繋ぎを完全に封殺。ほどなくして、ユナイテッドは悲劇的な失点を受けることになる。

視野を狭窄していくプレスは前節のブライトンにもしてやられた形。自陣で激しいマークにあい、常にデヘアが出し手となる機会を彼らも狙っていた。ゴールキックはまさに格好のタイミングというわけである。このような再現性あるやり方に対する回答が出せず、2失点目は上記の形を完全に受け止めてしまった。

相手がやりたいことを逆手にアプローチを実施するなど対策の光るブレントフォード。ゴールキックの場面だけでなく、ロングボールでマッチアップの優位を狙ったり、ボールサイドに人を集めて回収を図るなどユナイテッドに制約的な動きを押し付けてくる。こうした相手にエリクセン1枚ではパスの引き出しが少ないのは言うまでもない。

完全にゲームを壊してしまったユナイテッドはブレントフォードの勢いを止めることが出来ず。精神的にダメージを負ってしまったデヘアを筆頭に立て直しが中途半端なままこの後3失点目、4失点目を献上していく。

相手の高い位置から嵌めにくる強度に押されているが、ユナイテッドが思いのほか酷い。GKからデザインしていくビルドアップを課すのは現状厳しいという側面もあるが、純粋にサポートの形が見えてこない。自滅とも言えるミスに整備不良を対策され、方々にストレスが溜まる45分となってしまった。

■後半：糸口は未だ見えず

後半、ブレントフォードはカウンターで仕掛ける機会を伺う。保持でSBを中に、WGを大外へ立たせるユナイテッドの配置の癖を突き、空いたSB裏のスペースへロングボールで前進を試みる。また自陣深くでブロックを形成し、待ち構えるような姿勢で守備のアプローチを変更。

ユナイテッドはメンバーを3枚交代。穴となっていたマルティネスに代えヴァラン、コンディション不良のショウに代えマラシアを投入。更にフレッジとの交代で入ったマクトミネイをエリクセンの横に置き中盤を2センターへシフト。プレスへの耐性を強化しながら、前線に水を運ぶ役割を彼に託した。

この影響もあってか、ユナイテッドは徐々にボールをコントロールする。単独でボールを運ぶマクトミネイが局面を進めつつ、ブレントフォードの密集を回避するチャレンジ。大きく空いた逆サイドへ展開することで打開の機会を探っていく。

ポゼッションに安定感が出てきた一方、ブレントフォードもこれは織り込み済み。徐々に自陣に全選手が帰陣する中央封鎖を敷いてくるなど、守備でイニシアチブを握られ続ける。押し込めるようになった反面、後手の構図を変えるまでに至ってはいない。

なかなか糸口を見いだせずいるユナイテッド。PSMを通じて前線の侵入パターンを練ってきたが、スペースを許さない鬼の人海戦術を前にしてはさすがに厳しいか。相手のソリッドな守備形成に可能性の薄いクロスへ執着していく悪循環を露呈。こうして徐々に時間を消耗していってしまう。

スムーズにサイドを進行していたものの崩しの形が定まらずエランガ、ファンデベーク投入も影響を与えることが出来ない。固い守備組織を最後まで崩せず、試合はこのまま4-0で終了。開幕の負けを消し去るどころか、相手の強度に屈してしまう結果となった。

総括

結論としては前線に固定の枚数を配置すること自体が、停滞を招く結果になってしまっているのでは？と疑問符が付く。崩しは基本のサイドに立ち返ろう、となるがここの精度も伴わず。自陣でしっかり守る相手に対し自由に使えるスペースがあるわけもなく、打開する術を見失っている。今日のように前半で4点リードを許し、予定調和のような中央閉鎖に合ってしまっては仕方ない部分もあるが。

前半のミスをリカバリーするのが遅かったかもしれない。ああなってしまうと、試合に集中する方が難しい。早いうちに人を変えて手を打つ必要があったが、とはいえあの雰囲気を止めるのは難儀。交代で修正を施し、落ち着きを取り戻した後半の良い時間帯で点が拾えていれば…と悔やまれる。

ビルドアップの整備は今シーズンの命題だが、サポートの質が良くない。エリクセン一人を経由するルートしかない現状では、今日のようなプレスの対処は難しい。ロナウドをトップに据えた利を生かすまでもなく手前の段階でチームは崩壊。機能不全を自らの手で招いてしまった。まずはきちんとパスを繋ぐ選択肢を構築していく必要がある。リターンをもらう動きを増やすためにも、SBとIHの関わり方を見直すのは先決かもしれない。

またマルティネスのCB起用も現状は悩ましい。強みである地上戦の良さを消され、逆にロングボールの対象となっている。ショウも空中戦の処理に難があり、左サイドの危険性にテンハーグも我慢しきれなかった。ヴァランとマラシアを投入して急場を凌いだものの、彼の起用法に迷いが出てしまいそうな連敗である。

画像出典元
 1* https://twitter.com/BrentfordFC/status/1558476005722972161
2* https://twitter.com/ManUtd/status/1558475969375064065