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私の黄色い道 〜『ジャリおじさん』編者澤田精一の講演会を経て〜

「すぐに答えを出さないこと」
白き髪の大柄男は、私を射るような眼差しと優しい口調でそう言った。

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今月は実りの多い1ヶ月だった。絵本出版に携わる方々や学生仲間、多くの人が話を聞き、問いかけ、私の思索を助けて下さったのだ。
この頃、私は内宇宙から〈私の言葉〉を発見し〈私の声〉を放っている実感があり、それを受け止めて下さる方々への感謝の念に堪えない日々を送っている。

11月22日、おだわら市民交流センター UMECOで開催された『「ジャリおじさん」の編集者 澤田精一さんの講演会』に参加した。澤田精一さんは、元福音館書店編集者。大竹伸朗の『ジャリおじさん』(小学館絵画賞受賞)をはじめ、宇野亜喜良、五味太郎、井上洋介、スズキコージ、伊藤比呂美、佐野洋子などの作家の編集を務め画期的な絵本を世に排出した偉大な絵本人だ。

(▲『ジャリおじさん』第二画面)

以下、濃密な時間を過ごすなかで発見したことの記録である。

記録 私の黄色い道

ご講演後のサイン会で、「絵本編集やりたいです」「ポートフォリオ見てください」という厚かましい私に対し、澤田精一さんは丁寧に対話して下さった。私は澤田さんから、編集者に必要な眼や着想の育み方、絵本における子供観について伺う最中、「定義付けることで表現の探求は終わってしまう。すぐに答えを出さないこと」という御言葉を頂いた。

私の日々に贈られたその言葉と、自身の良心と行動とを編むと、ちょうど「クルリと うしろを ふりむくと/ずうっと きいろい みちが つづいている」ことを発見したジャリおじさんと同じく、私は〈黄色い道〉を発見した。それは好きなことを楽しく上手く行い幸せになる道ではなく、与えられた生に誠実に向き合い表現を探求する戦いの道だ。〈黄色い道〉の発見は、私にとって非常に重要な出来事だと思えてならない。

創造者に勇気を与え精神を解放すること、又、読者に芸術家と同じ土壌を用意することが、関係性と眼差しを主題にし紡ぐ者で在る努力をしてきた私の使命ではないだろうか。そうして進む道の先に魂の治癒と愛の世界があるはずだ。それを信じて探してみよう。

私は、作家と読者と共に世界の真理を目撃したかのようなユニークな人生の一瞬に出会いたい、後世にその反復不可能な瞬間を遺したい、と思う。

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(▲講演会の様子 11/22/2021)

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ご縁に恵まれ自分を更新した1ヶ月、読者の方々にも改めて深く感謝いたします。今後も精進して参ります。

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