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中国語学習者向けマガジン

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中国語を勉強している人向けに役立つnoteを集めてみました。
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記事一覧

中国の政治家から学ぶ中国語(3)

今回で3回目となった「中国の政治家から学ぶ中国語」シリーズ。今週もやっていきたいと思います。皆さんは以下の言葉を目にしたことがありますか? チャイナウォッチャーならば一度は目にしたことがあるかと思います。実はこの言葉、前世期80年代に初めて提起された言葉らしいです。それを2010年代、時の総理である李克強氏が「政府の改革政策」として打ち出したものでした。 解釈としては「ごちゃごちゃした政府の組織をスリム化し、中央に集中しすぎた権限を順次下部組織に引き渡す政策」といった意味

中国の政治家から学ぶ中国語(2)

今回は中国の政治家の言葉から中国語学んでいこうシリーズ2回目です。キーワードはこちらになります。 この言葉。皆さんは中国の新聞やメディア、人々の会話などで耳や目にしたことはありますか?この「接地气」を、中国語の文字通りに直訳するならば、「大地の気に触れる」ということになるでしょうか。 要するに、地面から湧き出てくる「自然のパワーをオラにくれ!!元気になる!!」という解釈になりますよねw。 ただこの「接地气」なのですが、あまりこの意味でつかわれることはないように思わます(

中国の政治家から学ぶ中国語(1)

今回からの試みとして、新シリーズを立ち上げたいと思います。名付けて「中国の政治家から学ぶ中国語」です。 当noteでは、これまで何回か中国の政治家の発言を引用しながら、中国語の文法や意味を解説してきました。 実のところ、中国のリーダーである習近平主席や李強総理、はたまた王毅外交部部長などの発言を丹念に調べ上げて、「彼らが何を話したのか」ということを見ていくことは、中国語の語学のレベルアップ、翻訳のレベルアップにとても役立つと私自身強く感じています。前回の記事で紹介した「~

語学学習に年齢は関係ない・・のか?

私事ではありますが、うちの妻は最近、自宅近くの文化センターで中国語を教えるボランティアみたいなことをやっています。いわゆる月謝を取って講師を務める「ガチ」の中国語教室ではなく、NHKの中国語講座のテキストを使ってゆるーく教えるタイプのものです。 私も傍聴目的で参加したことがあるのですが、驚いたのはその平均年齢。80歳越えの人たちはざらで、90歳越えの人も来ると言います。かなりのおじいちゃん、おばあちゃんなのですが、それをみじんも感じさせないお若くて、バイタリティのある姿を目

「語感」の大切さとボキャブラリーの幅

今回は中国語学習者の中でも、中級者、上級者向けのお話をしましょう。 中国語(日本語)を勉強している皆さんは「語感」という言葉をご存じですか?多分多くの人は「知っているよ!!」と答えるのではないでしょうか。。 「語感」とは日本語で言うならば、「言葉から受ける主観的な印象」という意味になります。 外国語学習者の視点から言うならば、会話をする時や文章を書く時に、この「語感」を的確に理解した上で、数ある類義語から的確な言葉をチョイスすることが、外国語上達における必須要件になって

ネイティブの文章に近づけるにはどうすればいいのか(実践編)

先日、私は中国語ネイティブの文章に近づけるにはどうすればいいのかというお題でnoteで記事を一本書きました。 前回では、ネイティブの文章に近づけるための手っ取り早い方法として「真似る」という手段をご紹介しました。 しかし、ただやみくもに真似るのでは「他人の文章のコピー」になりかねません。 そこで今回は「実践編」として、「中国語ネイティブらしい文章」を書くには具体的にどのようなことに注意したらいいのか、細部にわたっていくつか挙げてみたいと思います。 ちなみに最初に念を押

漢字は正確に書くべき?

最近Xの中国語学習界隈の人たちを見ていると、度々「中国語の漢字と日本語の漢字の微妙な違い」を指摘するポストを目にします。 例えば、日本語の「きょしゅ」のきょはどう書くかというと。 挙となります。一方で中国語はというと、簡体字(ju3)はこれ。 举どうでしょうか。ビミョーに違いますよね。具体的に言うと下の作りが日本語のばあいは「手」になっていますが、一方で簡体字の場合は単に二本の横棒に縦一本と少々そっけない感じ。 このように中国語と日本語で同じ漢字でも、細部で書き方が違

日本語っぽい中国語と中国語っぽい日本語

翻訳者として、中国語を日本語に、または日本語を中国語に翻訳しているといつも付きまとう問題があります。それは「日本語独特の言い回し(語句)」をどうやって中国語に落とし込むか、「中国語独特の言い回し(語句)」をどうやって日本語に落とし込むかといった問題です。 実のところ、中国語のニュース文を訳していると、文法的にはちゃんとなっているのに、「あれ?日本語っぽい中国語文だな」と違和感を感じる文章に遭遇することが結構あります。その時に文章をよく見ると、実は元々の日本人の発言を中国語訳

ネイティブの文章に近づけるにはどうすればいいのか

中国語学習を進めていくと、やはりいくつかの壁にぶち当たることがあります。その1つが「ネイティブの発音」「ネイティブが書く文章」「ネイティブらしい文構造」にどう近づけるかといった問題です。 私たちは中国語を習得する際に、中国語のテキストを使います。そのテキストの例文は中国語に造詣が深い専門家や、中国語ネイティブが考えているわけですから、必然的に中国語ネイティブが日常会話で使っている語句、普段書いている文章に近いものであるはずです。 しかし中国語のテキストの例文は、現地の人た

外国語学習者はSNSとどう付き合えばいいのか

自分自身常日頃感じていることがあります。それは「中国語学習者はSNSとどう付き合えばいいのか」という問題。 私が主戦場としているSNSは「X」(旧ツイッター)なのですが、「X」上にはさまざまなレベルの中国語学習者がいます。初級レベルの人もいれば、中国語検定1級に合格してしまうレベルの人も、はたまた中国語や他の言語も操れるバイリンガル、トライリンガルレベルの人もいる。自分の中国語レベルを活用して仕事を見つけた人もいる。そういう人たちをSNSで目にするたびに「すごいなぁ」と思う

漢字にまどわされるな

中国語と日本語の共通点は何かと聞かれたら。皆さんはどう答えますか?私なら(多分多くの人がそう思っているでしょうが)、「どちらも漢字を使うこと」と答えるでしょうか。 でもこのこと自体が日本人の中国語学習者、中国人の日本語学習者にとって、互いの言語を習得する上で大きなネックにもなっていると私は思っています。なぜか。それは同じ漢字が使われていることによって「中国語と日本語は全く別の外国語である」という意識が薄れてしまうからです。 「中国語と日本語は全く別の外国語である」。 こ

バイリンガルを目指す上で大切なもの

バイリンガル。外国語を学んだことがある人ならば誰しも、このバイリンガルになることにあこがれたことがあると思います。実際私も日中バイリンガルにあこがれてそれを目指した時期がありました。 その上で、今回は日本語と外国語のバイリンガルを目指す人に向けて、バイリンガルになる上で重要になる「母国語の能力」というテーマで少し語りたいと思います まず最初に断わっておくのですが、、私は言語学を研究しているわけではなく、あくまで素人考えであることをご理解ください。 語学界隈でよく言われる

今年の全人代の総括

本当は中国政治に関する記事を投稿するのは先週限りにしようと思ったのですが。今日11日は全人代会議の閉幕日。ということでやはり触れざるを得ないでしょう。 今回は今年の全人代会議で話題になった点を総括したいと思います。 総理記者会見の取りやめやはり今回の両会の中で、これが一番ハイライトになったといえるでしょう。この情報は、4日に開催された、全人代会議開幕直前に開催が恒例となっている全人代会議記者会見の席上で、婁勤倹報道官が発表したものです。発表後は中国ウォッチャー界隈では衝撃

全人代の見どころ

今回は少し毛色を変えて、中国政治のことを触れたいと思います。いつもなら、中国政治のことについて解説するのは当noteの趣旨とは少し異なるので控えているのですが、やはり今週は触れざるを得ないでしょう。なぜなら今週は中国にとって一年一度の重要な政治イベントがあるからです。そう。全人代と全国政協会議の開催です。そこで、今回は全人代と全国政協会議の(私が知りうる範囲の)基礎知識と、今年の全人代会議、全国政協会議の見どころを少しお話したいと思います。 まず触れておきたいのは、全人代と