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第五回 みんなメタバースになっちゃうの?

「Facebook赤字じゃん!」弊社の最重要ランクのお客様が商談中に発した言葉です。この意味は二つの意があるようです。一つはFacebookという企業はメタという社名を変えてまで取り組むくらいなのだからバリバリ儲けているのかと思った。ということと二つ目は今話題騒然でこれから社会の主流になるメタバースって赤字になるの?というものです。これらは、簡単に回答するならば「初期投資が大きいからでしょう。」となります。


そうです。不思議なのは猫も杓子もメタバースの現在、なんで企業名まで変更して本腰入れたFacebook(メタ社)が大赤字で他の米企業は赤字にならないの?GAFAMだってこの商機を確実にモノにするべく動き始めているんでしょう?他の企業はメタバース投資してないの?それともFacebookがやらかしたの?と邪推してしまいそうです。そこにはGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)それぞれの立ち位置と今後の展望が関係してくるのです。


フェイスブックは実は今一番安定しない器の上に乗っているのかもしれません。その心は、SNS事業はそもそもインターネットがないと始まらない、それはアマゾンもどこも一緒だろう。と。この「インターネット」にあたる根幹を他社は持っていると考えられる。Appleももはや携帯電話メーカーとしては世界でのシェアは大きいし、アマゾンの流通網ももはや、世界を支配していますね。ところがSNSはそのアプリやサービスがどうしても他のGAFAM各社への依存やSNSの代替品の登場が最も恐れられている業界なのではないでしょうか?代わりがいくらでもありそうで、他の企業の軒先で店舗を広げている業種だからでしょう。GoogleとかAppleに意地悪されたら大きな打撃をくらうようなところを脱却するのがメタバースの帝王になることだったのではないでしょうか。メタバースを抑えれば、メタバースというプラットフォームの帝王として君臨することによって、新規参入者や新規事業の台頭にも冷静に対処できるベースをメタバースで手に入れたいと考えているのではないでしょうか。

Googleはどうでしょうか。Googleは言わずと知れた検索エンジン世界No. 1の企業ですね。そのGoogleだって当然この商機には絶対に絡みたいはずです。現在、Googleは世界中の検索を引き受けています。伴って、売上も会社も巨大なわけです。そこをSNSからの進化版であるメタバースへの参入となれば、これまで全てのものをカバーしなければならなかったGoogleも照準を絞ってwebビジネスを展開することができるコンパクトに展開できる事業チャンスなのです。全部暗記しなければならなかった国立大学受験と三科目でよかった私立大の試験の違いとでも言えばわかりやすいでしょうか。ただ、GoogleはFacebookと異なり、すでにインターネットの検索分野では圧倒的なリーディングであるために全体のプラットフォームを取りに行ったりはしません。彼らの強みは現実世界でのビジネスに深く食い込んでいるため、メタバースでもリアルに寄っているものを目指すのではないでしょうか。それがVR(仮想現実)ではなくてARです。Augmented Reality(拡張現実)がそれなのではないでしょうか。現実の世界に仮想を混ぜ込むというのが、分かりづらいかも知れませんがARの定義となるでしょう。彼らの戦略はおそらく仮想を現実にいかに取り込むか。になってくるので、開発中のGoogleグラスにもあるように現実に必要な要素をつけ加えるところ(メタバースのようなフルの仮想現実の手前)を目指しているのでしょう。問題はその過程が一切なく、一気に全て世の中がメタバースになったりするのが怖いですが、Googleはメタバースで必要なデータ現物(情報)を抑えています。つまり、彼らが出し渋れば出来ないことも理論上あるのでその余裕から、躍起になっているイメージがないのでしょう。

Appleはどうでしょうか。洗練された近未来的なデザインや斬新な機能を持つデバイスを多く世に輩出しているメーカーなので、メタバースの世界への順応や期待も大きいのでないかと予測立ちます。本当にそうでしょうか。アップルは一つ一つの商品のデザインで他社との差別化を図る企業ですよね。逆を言うと、アップルのパソコン持ってリアルなスタバ行かないとあの良さが出ないんでしょうね。悪意なく、分かりやすく表現すると「スーツ着ないで、港区のスタバでマックブック広げてる俺かっこいいー」って人を相手にしている商売なのでしょう。それをサイバーデジタルの世界に持っていくと一気にリアル感が出て逆にダサくなってしまうような気がしませんか?そもそも、なんかあのスタイルのパソコンがリアルなスタバにあるからかっこいいだけで、デジタルの世界だと誰か真似して作りそうな感じしますよね。原価変わらないし。そこがAppleがメタバースに本気ではない所以でしょうね。ただ、ぼーっと手をこまねいているわけではなく、近い将来に世の中の過半数がサイバー空間への融合をした場合にはARを中心にやっぱり基本はiPhone必要ですよね。そして、アプリはそこから取りましょう。という存在感を示す戦略であると言えるでしょう。結局、スマートグラスにしても、アップルウォッチにしても身につけるのは「人体」と言うリアルなのでそのまとめ役としてのiPhoneは存在感を持ち続けるのかも知れませんね。

アマゾンはリアルでもサイバーでも売買のプラットフォームを持っているのでどちらでもいける。どちらに転んでも売買は無くならないし、そのうちにサイバーで選んだものをリアルで受け取るか、サイバーで受け取るかも選択できるようになるんだろう。食事や排泄のようなどうにもならないリアルを受注し、物流網を動かし、届けるルートを握っているアマゾンは余裕なのである。その自信の上にアマゾンが手がけているサービスにクラウドサービスがある。世の中はアマゾンのクラウドで随分と助かっているのです。そのうちメタバースはアマゾンのクラウド上の世界が現れ、そこが巨大ショッピングセンターになったりするようなことをアマゾンは想像しているのかも知れない。

上記より、リアルにがっちりしたプラットフォームを持っている企業はそれをサイバー空間に持ち込むのではなく、「融合」することにシフトしていくものと思われます。急激に世の中全体がデジタル化されるわけでも、急にレディプレーヤー1の世界になるわけでもないのだから、徐々にと言うことであったり、とはいえ、「100%デジタルではないでしょう。」と言うビジネスに商機を見出すのも重要でしょう。一方、FacebookのようなSNSという時代の覇権を握りながらも新規事業の影響を受けやすい企業は新たなメタバースという世界の覇権を握る競争に加わってそのプラットフォームを必ず握りたいと考えているのでしょう。

このようにメタバースへの対応は実は各社現在の自社のポジションで少しづつ違うんですね。共通なのはサイバー空間でのビジネスが始まるのでそこにどのように現在のビジネスを絡めるか。というのがポイントなのでしょう。メタバースな世の中にはなるんだけど、全部じゃないよ。というところが各社の展開から読み込めますね。

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