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最近聞かれるタンス預金について

皆様長らくお待たせいたしました。ようやく、復活を果たします。今回はブロックチェーンでもメタバースでもないのですが、最近、お客様によく質問されるタンス預金についてです。本記事では「なぜ、日本人はお金が増えないのか?」をテーマに日本のタンス預金問題について解説していきたいと思っております。

日本のタンス預金総額っていくらくらいでしょうか。

タンス預金というものの定義にもよりますので、正確な数値はぴったり出るものではないです。しかし、日本銀行というところは意外としっかりしていて、市中に出回っている(もしくは日本銀行が出回らせたともいう)お金の居所をほぼつかんでいます(笑)それを発表するのが「資金循環統計」という主要統計データになります。それによれば、2021年12月末時点で個人(家計部門)が保有する現金(これを一義的な「タンス預金」と言います。正確には違うと思われます。)が107兆円と過去最高になりました。銀行の預金もその統計によると986兆円に増えており、現金・預金総額1,093兆円と株式とか保険を合わせた金融資産残高(2,015兆円)の54.2%と半分以上となっています。この金融資産の比率は米国やユーロ圏に比すと異常な数値となっています。

出所:日本銀行

上記はもはやよく見る表になってしまったかもしれません。この表を見て、必ず、日本の教育がどうだ、金融リテラシーがどうだ。という議論をする方もいらっしゃいますが、教育の問題ではなく、国民性なのではないかと私は思っていますし、ここではその議論は本題ではないので割愛します。上記を見て理解してほしいのは「タンス預金」の存在感です。

タンス預金の存在感

107兆円の現金残高が過去最高をマークしたことは上記で述べました。その存在感をそう伝えても普通は感じないですよね。国民が107兆円持っているということを日銀の統計は公式に言っているのです。そうすると国民一人あたり84.9万円(単に107兆を人口で割りました)となります。4人家族ですと年齢関係なしに339.6万円を家に持っている計算になります。そんなに私持っていません(笑)これはあくまでマクロデータからの算出であって「平均値」なのです。つまり、私が持っていない分は誰かが持っている。という理屈になります。あくまでこれは平均値のお話で実際のお話だとあくまで「日銀券」としてため込まれているものというものの資産は少し古い計算にはなりますが、2017年に第一生命経済研究所が資産したものがあり、そのうちの43.5%が本来イメージの「タンス預金」であるというレポートを出している。これも、天下の第一生命があてずっぽうで出しているはずもなく、日銀も認めている「券種別銀行券アプローチ」という手法で算出したものと思われます。(文章より)細かいことは今後機会があれば説明しますが、ひとまずはそういう手法があるということと、それは一般的には一万円札と千円札の流通量の差を「タンス預金」とする。というフェルミ推定的なアプローチです。

未来を明るくするには「脱・タンス預金スパイラル」

小学生から大学生まで、現代日本社会では悲観的な観測が多く出ています。知れば知るほど恐ろしいことが多い世の中です。明るい未来があれば、世の中に資金が循環して経済が回りますが、暗い未来が待っているとするならば、正解か不正解かは別としてやはり、現状の法定通貨を貯め込むことを優先するというのは普通の考え方ではないでしょうか。これが「タンス預金」スパイラルなんでしょうね。
今、円安の影響で、アメリカの様子や海外旅行へ行ってきた方々のSNSなどで、ハワイで「丸亀製麺のうどん」が円換算で3,000円だったとか、家族4人でラーメン屋で10,000円だったとかの話題が聞こえてきます。ただ、これって円安だけが悪者なのでしょうか。そもそも、話題に上がらない、日米の成長があるのではないでしょうか。私はよくいろいろなものの例えにマクドナルドを利用します。特に円安や海外との経済を語るのにはそれが一番だと思っています。エコノミスト誌が発表する「ビッグマック指数」もそのひとつです。

日本の賃金はアメリカの約半分で、韓国より低い

ビッグマックの価格は各国の為替の違いだけで、一緒の価格だと思っていた方が多いと思います。つまり、現状のビッグマックが日本で390円の場合、為替レートを今風に140円/ドルとするならば、アメリカでは2.785ドルだと思っていますよね。今の報道等だとそう考えている人は少なくないのではないでしょうか。実際は現在アメリカのビッグマックは5.15ドルです。つまり1ドル140円換算ですと721円となります。そもそも、価格が違うのです。1ドルが100円だったとしても同じ価格にはなりません。アメリカもイギリスもコロナ渦には変わりないのですが、その中でも成長をしています。過去20年間でアメリカの個人金融資産は3.3倍に、ヨーロッパは2.5倍になっています。対する日本は1.5倍で貯金の複利みたいな感じです。新たな投資をしていないことがこのアプローチからもわかります。

日本の成長は?

OECDが加盟諸国の年間賃金額を公表している。

出所OECDホームページ

上記を見てアメリカは7万ドルを超えているが日本は4万ドルを超えた程度でアメリカの半分少ししかない。また、日本より下位なのは旧社会主義国やギリシャ、スペイン、イタリアといった経済状況があまりよくない国しかない。日本は実質賃金が上がることなくこの数十年を経過してきました。これでは次の世代もなかなか光明が見えず、未来に投資をしたり、挑戦したりができなくなってしまいます。この差が、中国のような新興国とのGDP成長率の差となって出てくるのだと思います。2021年のIMFが公表した名目GDPは日本が4兆9,374億ドル、中国が17兆4,580億ドルと約3.5倍となっています。驚くべきはここではなく、2010年は日本が5兆7,000億ドルで中国が6兆0,330億ドルとなっており、拮抗していました。この11年間でこの差です。賃金が上がらなかったのでみんながタンスに一万円札をしまい込みました。未来への挑戦がなくなり、出回るはずの約50兆円が出回らなくなりました。この
50兆円を将来に使うことによって私達の国は大きく変わっていくのではないでしょうか。

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