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素敵なタグがあったので。

心に残った国語の教科書。

私はパッと2つ、思いついた。ひとつは小学校低学年の頃の教科書に載っていた小説。もうひとつは、中学校(多分)の教科書に載っていた詩。

ひとつめ。佐野洋子さんのありときりぎりす。
私が知ってるアリとキリギリスとちがう…と思いながら読んでいたけれど、心に何か残るものがあって。最近になってネットで検索して、原典を手に入れた。積読に入ってしまっているけれど、近いうちにきちんと読みたい1冊。

嘘ばっか 新釈・世界おとぎ話


ふたつめ。山之口貘さんのねずみ。
ねずみが車に轢かれて、生き物から物体になっていく様子を物哀しく表現している。

生死の生をほっぽり出して
ねずみが一匹浮彫みたいに
往来のまんなかにもりあがっていた
まもなくねずみはひらたくなった
いろんな
車輪が
すべって来ては
あいろんみたいにねずみをのした
ねずみはだんだんひらくたくなった
ひらたくなるにしたがって
ねずみは
ねずみ一匹の
ねずみでもなければ一匹でもなくなって
その死の影すら消え果てた
ある日 往来に出てみると
ひらたい物が一枚
陽にたたかれて反っていた

          詩集『鮪に鰯』1964年

この儚さや虚しさがとても好きだ。
解説を読んでみると、この詩は1943年の戦時中に検閲をかいくぐって出版された、戦争を批判した一編らしい。ねずみは、次々と消耗品のように出征していく兵士たちを表しているようだ。社会的な意義や問題から目を背けるわけではないけれど、この詩は解説を聞かない方がより好きだったなあ。
これが収録されている詩集も、購入したい。

山之口貘詩集



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