『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』は無印版プレイ済みでも購入する価値があるのか

はじめに

『ペルソナ5 ザ・ロイヤル』がついにPS4以外にも登場する。プレイできる環境が大きく広がるため、購入を検討している人も多いのではないだろうか。今回は、無印版『ペルソナ5』はプレイしたが『ロイヤル』はプレイしていないという人に向けて、『ロイヤル』の良い点・悪い点を忖度なしで紹介していこうと思う。

まず前提として、無印版『ペルソナ5』もプレイしていないという人は、何も考えず『ロイヤル』を購入してよい。もともと素晴らしい完成度だった無印版が、あらゆる面でさらに遊びやすく改善されており、今からロイヤルではなく無印版をあえて遊ぶ理由は無い。

私は無印版も『ロイヤル』も、加えて派生作品の『ペルソナ5 スクランブル』もトロコンする程度にはやり込んだ。『ペルソナ5』が大好きな人間である私の本音をご紹介する。

良かった点

まずは一番大きな変更点、新キャラクターの芳澤かすみ、丸喜拓人の追加だ。この2人は単なる賑やかしで追加されたわけではなく、追加ストーリーに大きく関わるキャラクターとなっていて、どちらもしっかりと個性が確立されている。特にかすみは無印版に存在しなかった「後輩の女子」属性なプレイアブルキャラクターで、当然恋人にすることもできる。これでジョーカーは10股の大台に到達することが可能になった。屋根裏のゴミがよぉ……

個人的には、このかすみの存在こそが『ロイヤル』をプレイすべき最大の理由であると考えている。全ての恋人候補を過去にするレベルの圧倒的なヒロイン力（ヒロインちから）があると言っても過言ではなく、恋人関係になるイベントの可愛さは言葉を失うほどで、私の中では、歴代『ペルソナ』シリーズの中でも最も好きなヒロインになった。とにかくこの可愛さを味わってほしい。

また、無印版にも登場していた明智のイベントが大幅に増加している。かなりの人気キャラクターなため、これは嬉しい人が多いだろう。もっと明智と親交を深めたかった、という人は間違いなく買いだ。

キャラクターやシナリオの追加以外にも、『ロイヤル』では様々な面で無印版からのブラッシュアップがなされており、非常に快適に遊べるようになっている。例えば、ネタ化するほど多くのプレイヤーをイラつかせた某猫の「今日はもう寝ようぜ」だが、『ロイヤル』では疲労がたまっている状態でも一部の行動が可能になるなど、かなり緩和された。そもそも寝ることしかできない日が少なくなっているというのも良いポイントだ。

また、クソ仕様すぎて死にスキルと化していた「瞬殺」システムが大幅に改善され、非常に便利なスキルに変貌している。『ロイヤル』では任意発動が可能になり、お金や経験値も取得できるようになったため、探索がとても楽になった。格下の雑魚相手であれば走って突っ込むだけで殲滅でき、無駄な戦闘をしなくて済むのが最高だった。

これらは一例だが、「まあそういう仕様だししょうがないか……」と思っていたポイントがことごとく改善された。『ペルソナ5』はクリアまでに要する時間が非常に長いため、より快適にプレイできるようになったことは高く評価できる。

良くなかった点

では、逆に良くなかった点について本音で語っていく。やはり一番は、「追加要素のボリューム不足」だろう。新キャラクターのコミュやイベントが少し挟まれるとはいえ、無印ラスボス撃破までのストーリーは基本的に全て同じ。ただでさえ長いストーリーをもう1度追わなければならないというのは正直言ってかなり苦痛だった。私がプレイした際は、「なにか変わっていたり、追加シーンがあったりするのかな」と思いながら進めていたので、スキップすることもできなかった。結果、何も変わっていなかったわけだが……

目玉である「3学期」の展開、ならびに真ラスボスについての評価は、人によって分かれるところだと思っている。ネタバレになるので詳細は何も言えないが、私の意見は「悪くはないけど、別になくてもいいな」だった。無印版が非常にキレイな終わり方をしているため、どうしても蛇足感が拭えなかった。ただ、YouTubeのコメントなどを見ると3学期を高く評価している人も多いようだし、私が少数派の可能性もあるのでそこはご了承願いたい。

さらに、伏線っぽいもののいくつかが回収されずに終わってしまっているのもいただけない。特に、真エンディングの映像は一見すると意味不明で、良く言えば解釈の余地を広めに取ったのかもしれないが、私はいまだにスッキリできていない。続編や派生作品で回収されるのかもと期待していたが、とりあえず『スクランブル』ではノータッチだった。もし、あのエンディングについて説得力ある解説をできる方がいたらぜひ教えてほしい。皮肉ではなく本当に知りたい。

結論　買いなのか？

総合的に考えると、『ペルソナ5』を心底愛しているという人は間違いなく「買い」だ。とても遊びやすく改善されているし、楽曲や演出面の進化も良い。追加シナリオが合わなかったとしても、無印版を思い出を汚すほどのものではないと考える。ただ、そのレベルのファンはこんなものを読まずとも既にプレイしているような気もする。

そこまでのファンではない、という人には非常に難しい。フルプライス出してプレイする価値が絶対にある！とは強く勧められないというのが正直なところなのだが、かすみの可愛さが本当にヤバいので、それはどうしても味わってほしいというジレンマがある。『ペルソナ』をプレイするにあたり恋愛要素などのコミュを重視するかどうか、ここは重要な判断基準になるだろう。

PCでゲームできる環境がある人は、Xbox Game Passに入れば月額1000円程度でプレイできるので非常にオススメだ（Xboxの回し者ではない）。8000円弱と言われると尻込みするが、1000円ならば絶対的に勧められる。これがベストな方法かもしれない。

最後に、この投稿を読んで、「まあ、ロイヤルはいいか」と思った人には『ペルソナ5 スクランブル』をオススメして締めることとする。「ペルソナ無双」と話題になった一作だが、実際はかなりRPG寄り（というか、ペルソナ寄り）の戦闘システムで作られており、「ペルソナは好きだが無双には抵抗がある」という人でも問題なくプレイできる作りになっている。開発はアトラスではなくコーエーテクモなものの、スタイリッシュさや良質な音楽といった『ペルソナ5らしさ』は全く失われておらず、何と言っても無印版のその後を描く完全新規ストーリーの出来が非常に素晴らしい。悩んで『ロイヤル』を購入するくらいなら、『スクランブル』を買った方が幸せになれる可能性は高いと思う。　

以上が私の考えだ。皆様の判断材料になれば幸いである。
芳澤かすみのファンアート、1億枚増えろ！