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「花咲く和紙」の開発 その2

紙ゴミを持ち込んでシードペーパーづくりにトライ

今年2月、発売となったシードペーパー「花咲く和紙」ですが、少し遡って開発の経緯を書き留めておこうと思います。

まず、私たちは花咲く和紙の原料として、自前で古紙を集めました。使用済みのチラシ、パンフレット、コピー用紙などです。

ありがたいことに、鎌倉の女子起業仲間たちの協力で、1週間で車のトランクがいっぱいになるほど集まりました。その後、せっせとシュレッダーにかけながら、その膨大な量を見て、各家庭や小さなオフィスだけで、こんなに紙ゴミが出るのかとため息。シュレッダーの手作業に取られる時間もさることながら、あらためて日々消費される紙の量がどれほどあるのか、を実感できました。公益財団法人古紙再生促進センターによると、日本では紙のリサイクル率は80%以上と世界でもかなり高い方ですが、古紙の利用率は66%にとどまります。もっともっと、古紙の再利用が広まればいいですね。

シュレッダーした古紙

和紙のプロは、驚くほどフレキシブル!

さて、本国アメリカのシードペーパー製法は、すでに30年の歴史がありますが、今回、伝統和紙450年の知恵が加われば、日本らしいシードペーパーができるのではないかと期待していました。

なかでも、協業する製紙工房の代表、笠井さんは、チャレンジャーと呼ぶべき存在です。これまでにもデニム生地の繊維や水晶のパウダー、ワインでつくった和紙など、いろいろなおもしろい取り組みをされています。そんな柔軟な彼だからこそ、シードペーパーにも興味を持ってくれたのでしょう。

「僕はもともと、おもしろがっていろんなものをつくるのが好きなんですよ。桜の木やコーヒーのカス、落花生の殻を使った和紙づくりにも取り組んだりして。和紙をもっと身近に感じてくれるようにと、ユーチューブもつくっているんですよ」

手渡された名刺もデニムの繊維が入っている薄いブルーで、QRコードが印刷されています。その行動力と柔らかな人当たり、柔軟性のある人柄は、SOUPにとって頼もしい限りでした。

3代続く和紙工房の代表、笠井さん

紙の厚みや乾かし方も工夫して

シードペーパーづくりは、実験の連続でした。種を漉き込むため、紙にはある程度の厚みが必要です。とはいっても、あまり厚過ぎては発芽できませんし、乾かす時間が長すぎると、やはり種の劣化に影響します。薄いと種が外れてしまうこともあるので、適切な厚みを見つけるため、パルプの量を調節しながら何枚も何枚も手漉きでつくっていきました。種をまんべんなく入れることにも気を配りながらの作業です。ケタと言われる木枠の道具に流し込み、水抜きをします。厚みを均等にしなければならず、これが一番難しい過程です。

この和紙の里に通うこと、1年。紙の色や種の混ぜ方を毎回変えて試作を続け、ようやく完成したのが国産シードペーパー「花咲く和紙」です。

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