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花咲く和紙を共につくる神奈川県の 障がい者雇用の会社「ビーネックスウィズ」

タネが漉き込まれたシードペーパーを、日本でつくりたい、そう思いはじめてから数年、2022年にようやく念願の「花咲く和紙」を発売するに至りました。以前から山梨県身延町の有限会社山十製紙との協業は始まっていましたが、その一方で、神奈川県相模原市の「ビーネックスウィズ」との出会いもありました。仕事でおつきあいのある紙の商社のかたが繋いでくださったのです。2021年に初めて顔を合わせ、その後、数回の話し合いを経て、2022年3月からようやく本格的にスタートしました。

明るく広い、クリーンな作業所

もともと手漉きを手がけていた作業所で

株式会社ビーネックスウィズは国内に15の会社を持つホールディングカンパニーの特例子会社として、障がいのあるかたを一手に雇用しています。グループ内の各社からコピー損紙などを集めて手漉きで再生紙をつくり、ステーショナリー商品やカレンダー、販促品などにしています。もともと紙漉き作業をしていたので、設備はもちろん、社員もそのスキルが備わっている人々でした。75名ほどの作業員のうち、26名が紙漉きに携わっています。

一枚ずつ丁寧に手漉きでつくりあげていきます

熱意、人がらが伝わる、作業所の明るい雰囲気が魅力でした

最初、ビーネックスウィズに伺った時、支援スタッフさんのチーム感やその熱意に心を動かされました。紙漉きの工程ひとつひとつを手探りで自分たちで作り上げたというのです。確かに山梨・身延の年季の入った製造設備に比べると、何もかも新しく、障がいのあるかたでも扱いやすいような工夫が見られ、何人もの社員が分業で同時に動きやすいよう配置が考えられています。社員の皆さんもそれぞれ人間味があり、礼儀正しく、自分たちの手でものづくりをしているという自負さえ感じました。さらに社屋は壁の絵や装飾品が明るく、紙を日に干すための半屋外もあって自然光が好印象。彼らと一緒にやれたら、花咲く和紙の製造拡大につながるにちがいない、と確信したのです。一年近く経った現在では、毎月シードペーパーをつくり、ご注文に合わせて印刷や加工まですべてに携わってくれています。カモミールが漉き込まれている花咲く和紙です。

カモミールのタネが入った、花咲く和紙のサンキューカード

とはいえ、「最初からスムーズに事が運んだわけではなく、人員の確保や作業自体の複雑さ、タネが入っている紙だけに印刷の難しさなど、難問は数々ありました。」とユニット長の佐々木さん。これからも試行錯誤しながら一緒に前に進んでいきます。


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