「花咲く和紙」その3 開発までの試行錯誤
今年の春からスタートした、国産のシードペーパー「花咲く和紙」。おかげさまで、最近はお問い合わせが増え、1ヶ月先までのご予約が埋まっています。まだまだ課題は多くありますが、新商品としてとても嬉しいスタートになりました。
さまざまなご縁が繋いだ紙
2年前、コロナ禍でスタートした花咲く和紙の開発ですが、そもそも、アメリカのシードペーパーを手本に、10年前から「日本でも日本の紙ゴミで作りたい、きっとできるに違いない」そう思い続けてきました。「やりたい」「できる」と思い続け、言い続けたことが、このきっかけを作ったのだと、いま振り返ると強く感じています。
コロナの始まったころ、緊急事態宣言下で日常のお問い合わせが減り、逆にじっくり考える時間が増えました。そこで老舗の和紙工房や福祉作業所の方々といろいろと試行錯誤することができたのです。
2020年3月に、ある紙の卸問屋さんに教えていただき、山梨の和紙工房に初訪問、その後は2、3ヶ月に1回は通って、いろいろな原料の組み合わせや、種の漉き込み方を2年かけて試作してきました。そうこうしていると、また別の商社さんから紙漉きを専門にしている神奈川県の福祉作業所も紹介していただき、製造ラインは2カ所に。長野の安曇野工場ではそれらの下準備と、印刷加工とセットアップ作業をするなど、動き始めたプロジェクトにとって、それぞれなくてはならない重要なパートナーとなっています。こうしたご縁とサポートに恵まれてようやく発売に漕ぎ着けました。
古紙100パーセントだけに
使う紙をいろいろと調整しています
そもそも手漉きの紙で自然乾燥なので、熟練の職人でも仕上がりの厚みが一枚一枚多少違います。また古紙100パーセントで漂白もしないため、使う古紙の状態によって、できあがったシードペーパーの色は、白と言っても少しずつ異なります。機械漉きのように均一にできるわけではありません。
例えば雑誌の表紙のようなツルツルした表面加工が施された紙は、シードペーパーのリサイクルには不向きです。新聞や段ボール、分厚い雑誌なども扱っていません。それらを選別し、シュレッダーする作業は長野県の安曇野工場を中心に、周辺の福祉施設が連携して取り組んでいます。
カラーバリエーションはスタンダードな「しろ」、そして春限定の「さくら」をつくりました。さくらは優しい和の色合いに仕上がり、とても満足しています。ただ、手すきの紙は一度にたくさんはできません。その時の天候などにも左右されます。
今年1年は、そういった原料によるブレを極力減らし、かかわる職人さんがみな同じような厚みや色合いに紙漉きできるよう、品質管理と量産ができるように努めていきます。
使うタネもしっかり検討。
まずはジャーマンカモミールに
古紙に漉き込むタネも、実は何度も試作を経て選んでいます。紙からはみ出てしまうほど大きいタネや、紙に色が染み出してしまうタネは不向きです。例えばヒマワリのタネは大き過ぎて入れることはできません。種によって漉き方も調整しなくてはなりません。
また従来のシードペーパーも同じですが、発芽率のいいタネ、育てやすい植物にこだわっています。シードペーパーを受け取ったかたが、発芽することに感動し、植物を育てることを楽しんでくれたら、と思ってのことです。「花咲く和紙」の第一弾は、育てやすく、ハーブとして人気の高いジャーマンカモミールとみつばちの好きな花を集めたみつばちミックスを選びました。ジャーマンカモミールについては、次回に触れていきます。
日本文化にヒントを得たロゴマークをつくりました
また花咲く和紙を発売するにあたり、ブランドロゴをつくりました。日本らしく「水引き」をモチーフにしています。和風でありながら、かわいさもあるロゴは好評で、今後、花咲く和紙を使った商品やノベルティに使っていきます。
オンラインストアでも、花咲く和紙の一筆箋やThank Youカードなど購入してすぐ使える商品をはじめ、名刺やショップカードを印刷するサービスも行っています。A4サイズの紙を購入していただき、結婚式の席札や招待状を手作りするかたや、法事のときにメモリアルな手書きのお礼状にするかたなどもいらっしゃいます。このような記念の手紙は処分しにくいだけに、土に埋めて植物になって育ったら、いい思い出になりますね。
発売したばかりの花咲く和紙ですが、これからもどうぞよろしくお願いします。
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