トライブ紹介 ドクターシューマー 【1/2】
私たちSEEDERは今後増えていくであろう考え方や行動を示している先進的な消費者グループ=「トライブ」を独自のリサーチによって発見、定義し、調査した結果をレポートにまとめています。
トライブレポートの詳細については、まずはこちらの記事をどうぞ!
トライブ・リサーチから得られた知見を通じて、推進される企業のイノベーション活動を「トライブ・ドリブン・イノベーション」または「トライブ・マーケティング」と総称し、コンサルティング、支援を行っています。
今回はドクターシューマーをご紹介します。
1. 今後のヘルスケア事業のターゲットは健康意識の高い人+多忙な人
科学技術が発展し、健康・ヘルスケア業においても高度技術を利用したプロダクトが数多く誕生しています。人間が生きるために必要な栄養素を過不足なく備えた完全食や、DNA分析をして望ましい生活習慣や、気をつけるべき疾病などを把握するツールなどがその代表といえるでしょう。
近年、消費者の側にも、このようなプロダクトを仕組みのレベルから正しく理解し、健康を追求・増進しようとする、医者や博士顔負けの知識を持つ層が現れてきています。彼らのバックグラウンドは、そもそもそのような技術や理論に親和性の高い高学歴層から、美容への興味が高じた女性までさまざまですが、最先端の技術と自らの生活の双方に高い関心を持つ消費者は、次に何を好み、どのような製品・サービスであれば手に取るのか、ドクターシューマーの調査結果から探っていきます。
当記事では、この調査結果から得られた発見と、我々が分析して見出した機会領域の一部をご紹介していきます。健康・ヘルスケア業界の方はもちろん、あるゆる分野で汎用性の高いものになる内容になっています。
まず、前提として、企業で新商品開発や新規事業開発をする際に、必ず据えられる大きなテーマのひとつに健康ビジネスがあげられます。しかし、この健康カテゴリの中で、「人々が健康志向になっている」ということは周知の事実ですが、「どう健康になりたいのか」「健康になりたいのはどういう人たちなのか」という部分は意外とぼんやりしたままです。
そこで、健康で先進的な行動をとっている人たちを調べることで、さまざまな健康系ビジネス、健康系の新商品開発に役立つのではないかということで、調査をスタートしました。
2. 価値観は同じだがアプローチが違う
ドクターシューマーの行動を調査して発見した特徴的な行動は以下の図のとおりです。
事前リサーチでわかったのは、栄養摂取の仕方だけでなく、体内浄化=デトックスという文脈や、DNA検査や手にウェアラブルデバイスなどをつけて睡眠の状況を調べ、自分の体を管理するという意味で、先進的な行動をとっている人が存在するということです。彼らそれぞれがトライブですが、身体管理のほうは今後ご紹介するスポシューマー、体内浄化のほうはビューティーテックというトライブで詳しく解説いたします。
今回、我々がいちばん注目したのはこの「栄養摂取」という点です。
調査を進めていくと、サプリや完全栄養食品など、栄養摂取で先進的な行動をとっている人々が存在し、なかでも「完全栄養食品を摂取している人」にフォーカスしたのがドクターシューマーです。
ドクターシューマー以前に、我々が着目していた「ソイレント」というトレンドがあります。
ソイレントはいわゆる完全栄養食品の走りで、プロテインのようなものです。
味があまりおいしくないといわれていましたが、消費者たちによって「ソイレントをどう食べればおいしくなるのか」「ソイレントを何グラム入れる」というソイレントに関する緻密なレシピページのようなものがインターネット上にでき、コミュニティがとても盛り上がっていました。
我々はまず、このトレンドから、すごく健康意識が高い人が集まり、完全栄養食品のレシピを作ったり、それらを摂取したりする行動をとっているという仮説をたてました。
ソイレント同様に日本にローカライズされた栄養食品のひとつにコンプがあります。当時はまだ有名ではありませんでしたが、同じようにレシピ公開するなどして一部で盛り上がりを見せていました。そこでSEEDERは、コンプさんと共同リサーチを行い、ドクターシューマーな人々を紹介してもらい調査した結果、日本でのドクターシューマーのセグメントを以下の3つに分類することができました。
まずは、健康オタクでもともと健康意識が高い人。次に、美容意識が高く、ダイエットなどの意識から使っている人。これは自分の理想とする美しさがあり、スムージーなどを使用している人です。
そして、いちばん意外でおもしろかったのが、単に忙しい人。この人たちは実は健康意識は低くて、「忙しいからとりあえずこれ飲んでればいいだろう」という考え方を持っていて、この価値観は後々「多忙族」というトライブに発展していきます。
以上の3つのタイプの人々にヒアリングした結果、ボクサーが減量に使っていたり、アスリートが使っていたり、単に忙しいから使っていたりという、想定外の興味深い使い方が見えてきました。
完全栄養食品を摂取する背景として、健康オタクという文脈はコンプの方も当然想定していましたし、ソイレントなどを見ていてもすぐ気が付くことができます。しかし、完全栄養食品を摂取する人の中に実は多忙な人たちがいたというのは、やはり実際にミクロで見ていかなければわからなかった点といえるでしょう。
「価値観は同じだがアプローチが違う」というのがトライブのセグメントの定義なので、本来はこの程度まで調べたうえで、美容系のドクターシューマーなのか、健康オタク系のドクターシューマーなのか分類し、アプローチがソイレントなのか、スムージーなのかという風にセグメントすべきでしたが、このレポートでは単に目的別に分類されています。
次回はドクターシューマーのデマンドサイド・イノベーション、生活者変化行動仮説についてご紹介します!お楽しみに!
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