酒瓶二本背負って歩く 日光街道5

日光街道歩き旅⑤(タイトル写真は、本文の酒蔵のものではありません…すいません!実際の写真をどうしても掲載できないんです、なぜか…なぜなの!?私のスキル不足です、すいません女将!)

 私は、アルコールを摂取しつつ歩く女“ある子”。昼食時に生ビールを飲んだ後、余裕で20km歩ける女。

 本日もお昼は、餃子とハイボール(生ビールより安かったので)を摂取し、意気揚々と歩き出すと、とっても素敵な酒蔵が出現。

 ああ、足が勝手に私を酒蔵の中へと誘導する。

 そして“門外不出”という日本酒を発見。

 “門外不出”は、街道沿いの酒屋にて、「〇〇優等賞受賞!〇〇優等賞受賞!門外不出!」という看板を見かけ、大変気になっていた銘柄だ。

 しかし、私は現在街道ウォーク中。一日20~30km歩くという過酷な修行道中では、荷物は最小限に抑え軽量化を図るのが鉄則中の鉄則。なのに、酒蔵にて何をしようとしているのか、ある子!?

 必死に止める私(誰だ?)の声を振り切って酒瓶に手を伸ばす“ある子”。せめて、せめて小瓶にして!という私の叫びに、「わかったわ」と快諾してくれて、ありがとう!ある子!

 “門外不出”の小瓶を持ってレジに行くと、酒蔵の女将らしき品の良い女性が「街道ですか?どちらまで?」とお尋ねになられる。

 「はい。日光まで」と答える。

 女将 「お酒がお好きなの?」

 ある子「はい、大好きです!」

 女将 「あら、じゃあ試飲してって!酔っぱらっちゃうかしら?」

 ある子「大丈夫です!私はお酒を飲んでも歩けるので。今日もお昼にお酒を飲んできました!」

 女将 「じゃあ飲んでって!飲んでって!」

 親切な女将の申し出に、嬉しくて仕方ない。

 女将 「じゃあ、良いの出しちゃおう!これこれ!」と、試飲カップに、トクトクと注ぎつつ、「あら?残り全部入れちゃえ!」と、酒瓶の残りをカップにたっぷりと注いでいただく。

 女将 「ふふふ。酔っぱらっちゃうかしら?」

 ある子「大丈夫です!万が一酔っぱらったら、電車に乗って次の宿に行きますので、ご心配無く!」

次の試飲酒を控えられたら悲しいと思い、必死に女将に、酒の提供が街道ウォーカーの私に全く問題無い事をPRする。

 女将 「すっきりして飲みやすいでしょ?」

 ある子「すっごい飲みやすくて美味しいです!美味しいー!」

 女将 「こっちは、ちょっと醸造酒が入っているので、だいぶ違うと思うけど、ね!で、次はこれこれ!これは、無濾過原酒なの。私、これが好きで、こう、喉の所にキュッと来る感じが良いのよー」

 と、次々と試飲カップに注いでくださる。

 そして無濾過原酒が旨すぎる!

 ある子「これ、すっごい美味しいです!!麹というか、お米の味というか…」

 女将 「そうなの。この近辺のお米がとっても美味しいので、その香りが、こう喉にキュッと来るのよー(にっこりと微笑む)」

 ああ、女将が素敵すぎる。そして、この酒が旨すぎる。

 ある子「どうしよう、これ美味しすぎる。どうしよう、街道歩き中なので荷物が重くなると…。どうしよう…?」超逡巡している私に、女将は「あら、買わせるつもりなんか、全然無いから気にしないで!」とニッコリ。

 ある子「でも、これ(小瓶では無い)美味しくて飲みたいし。でもさっき小瓶も買っちゃったし。どうしよう、どうしよう?」さらに逡巡するある子に、 「じゃあ、帰りに買いに来て!」と女将。

 ん?帰り?日光まで行って、また日本橋まで歩いて帰るのが街道ウォーカーだと信じている(ような?)、キラキラした瞳に、まさか、「日光からの帰りは電車で帰る予定なんで来られないんですよー」とはとても言い出せない!

 約束通り?日光から歩いて帰る途中に、こちらで酒瓶を購入するよりは、今買って次の宿まで酒瓶二本背負って歩いて、本日酒を飲み干して空いた酒瓶を宿に置いて歩き続け、到着した日光からは電車で帰った方が断然楽ではないか?という計算が素早く行われる。

 ある子「買います!買います!今日の夜飲みたいので買います♪」 

 女将 「あら、悪いわー、買わせるつもりなんて無かったのにー、かえって悪いわー。」と言いつつ、綺麗な桜色のガラスのお猪口(売り物)を包んで「これどうぞ!」と入れてくださる。

 こんなに嬉しいものはない!ビジネスホテルのコップで美味しい酒を呑まなくても良くなったのだ!ありがとうございます、ありがとうございます!と感謝の言葉が溢れ出る。

 こうして、無事、酒瓶二本背負って、次の宿場町まで歩く事となり、この旨い酒に何のツマミを合わせようか考えながら、ニマニマしつつ歩いて、見事に道を間違えましたとさ。

 

 

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