エッセイ:はじめてのコスプレ

 今回は大好きな趣味である「コスプレを始めたきっかけ」を話していきたいと思います。

私がコスプレを始めたのは2014年あたりの夏コミでした。
私は高校の頃からコミックマーケット(通称:コミケ)に行くのが大好きだった。
(コミケの詳しい話はまたいつかしたいと思います。)
大学生になる頃には一般参加としてのコミケの楽しみ方も慣れてきたので
サークル巡りや企業ブースを回る以外の新しい楽しみ方に挑戦してみたかった。
しかし、同人誌を作るノウハウもないためサークル参加はできないので
残された選択肢として1つあった「コスプレ参加」に挑戦してみることにした。

コスプレ参加をするということで、何かのコスプレをしないといけない。
インターネット検索や会場で見たコスプレイヤーの様子などを参考に、色々調べた中で、化粧やウィッグ、衣装など必要なものを見ていくと、やはりコスプレも予算や技術が必要なことが分かり、ハードルの高さを感じた。
しかし、コミケという会場にはクオリティを意識せず、発想次第で予算が抑えられるコスプレが存在した。
それはいわゆる「ネタコス」と呼ばれるものだった。

ネタコスは、その時の時事ネタやインターネットミームなどのネタをコスプレにするというものであったり、全身タイツにポケ○ンのお面をつけてみたり
とにかく「発想が面白ければヨシ!」というジャンルだった。

これを見て「天啓を得たり!」と心の中で拳を高々と上げた私は、
早速ネタコスの準備に取り掛かった。
当時はとにかく技術も発想も乏しかったので、ネットでコスプレ用品を漁ったところ、サンリオの「KIRIMIちゃん」の被り物が出ていたので、そのインパクトに釣られたため、「KIRIMIちゃん」のコスプレをすることにした。

当時見かけた時のインパクトたるや

やることを決めたのがコミケの数週間前でもあったので、とにかく急いで
ピンクの全身タイツと顔の部分に塗るフェイスペイントのクレヨンを尼で注文した気がします。すべて無事にコミケ前に届いたので、一回袖を通してみて、あとは当日を待つのみとなった。

いよいよコミケ当日、更衣室の場所をスタッフに聞きながら、いつもは行かない国際展示場の会議棟まで、バカ長いエスカレーターを上り、更衣室に向かった。
更衣室までのバカ長いエスカレーターは、普通の服を着たオタクが上っていき、いろんなアニメやゲームのキャラクターが下りてくる様子は、何だか工場のラインみたいで、社会科見学に来たような気持になったのをよく覚えている。

更衣室では、広いホールで、仕切りもなく大勢の人が好きなスペースに座って着替えていたから、自分も間を決めて座り着替えの準備をした。
この時は、周りが真剣にメイクや造りぬかれたアーマーなどを装着する猛者の間で、顔をオレンジに塗って、ピンクの全身タイツを着て鮭の切り身を膨らましている自分のシュールさと、クォリティの差への劣等感から、ニヤニヤと笑っていたような気がする。思い出すだけで少しゾッとした。

無事に着替え終えた私は、どこを回っていいかもわからないことと、
人に見られることへの緊張から、あまり人気のない東のコスプレエリアから回り始めていた。この時はネタコスのメインストリートがエントランスプラザであるなどの、経験値が不足していたのだ。

季節は夏真っ盛り、全身タイツに被り物の状態はとても暑くてしんどかった。それに加えて、人気のないエリアにきてしまったものだから、少しだけすれ違う人もクスクスという声は聞こえても写真は撮ってくれない、おまけに暑い。暑い、恥ずかしい、暑い、恥ずかしい…そういう思考がグルグルしていて、一つのエリアを歩き切った時には、すごい後悔を感じていた。

しかし、もう一つ違うエリア(具体的な場所は忘れたが)に入っていったときからは様子が変わった。クスクスではない笑いと、立ち止まる人が増えたのだ。そして聞かれる初めての「写真撮ってもいいですか?」の声。
その時初めて正しい表現かはわからないが「受け入れられた…!」と思った。
それからは、写真を撮るために囲まれるということは無かったけど、
道行く人が笑ってくれたり、スマホを向けてくれたりしてくれてとても楽しかった。
最終的には2時間あまりのわずかな出来事ではあったけど、これが最初のコスプレだった。

エピソードとしてはかなり人並というか、すみっこを這うようなものかもしない。
でも、コミケに参加する道行く人々が、自分のコスプレを見て笑ってくれたことは、「自分が面白いと思って作ったものを、ほかの人が見て面白がってくれた」ということであり、一種の強い自己肯定感が満たされる瞬間でもあった。
現にここから、もっと面白がらせてやろうと、コミケの時にネタコスをするのが、夏と冬の楽しみになったわけで。
きっと同人サークル活動も一緒で、自分の面白いと思うものを発表してみんなに見てもらって、面白がってくれる人や仲間と楽しいひと時を過ごすために、コミケや即売会があるのかもしれない。

今回は、あくまでも自分の最初のコスプレにフォーカスをしたが、改めて
コスプレの魅力や、コミケ前にコミケの魅力なども書いていきたいと思います。

最後に、いい話で終わるのもどうかと思うので
最初のコスプレをしたツイートを残しておきたいと思います。






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