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「適応力」の話

second placeの佐藤です。
どうぞよろしくお願いします。

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大学を卒業する頃、海外挑戦を見据えてスペインを訪問したときの話です。

それまでの海外訪問は、常にチームの一員としてとても守られた立場で参加していましたが、このときは視察とは言え、個人の立場としてあるチームの練習に参加させていただくことにもなっていましたので、出発前は自分をしっかりアピールするためにもより強い気持ちを持つ必要性を感じていました。

当時の話として書かせていただきますが、スペインと言えばサッカーがとても盛んで、バルセロナやレアル・マドリードといった世界的に有名なクラブチームがありますが、こうした地域密着型のクラブチームには、サッカー以外にもバレーボールやバスケットボールのチームがありました。私が練習に参加させていただいたのは、スペイン全体の中で選手の育成に定評があるチームのBチーム(22歳以下の選手のチーム)でした。

片田舎にあるチームながら立派な練習会場があり、地元の老夫婦が本当に楽しそうに何組も見学に来ている中、練習中は選手とスタッフ、選手同士がとてもフレンドリーな雰囲気の中で多くのコミュニケーションを取っていて、お客さんとして練習に参加していた異国出身の私に片言の英語で積極的に話しかけてくれたり、戦術の説明をしてくれました。

約1週間ほど練習に参加させていただきましたが、非常に印象的だったのは毎回練習後にロッカールームで長い時間みんなで話をしていることでした。スペイン語だったのでほとんど理解ができない状況でしたが、おそらくバスケとは関係のない、家族の話などプライベートの話題をとにかく楽しそうに肩を組みながら、ときにはロッカールームにピザを頼んで食べながら1時間以上大声で笑いながら話すこともありました。

もう少しチーム内で激しい競争が行われていることを想像していましたが、まったく異なる様子がそこにはありました。確かにひとつのチームとして長い間ずっと一緒に取り組んできた点や、このチームが特に仲の良いチームだっただけの可能性ももちろんあるかとは思いますが、言葉も通じない私と初日から肩を組み、毎日強引に?みんなの話の輪に私を引き込んでくれたことが象徴するように、とにかくみんなで人生を存分に楽しもうとする国の文化といいますか、そこに住む人たちから湧き出てくる根本的な価値観のようなものを痛感したことを記憶しています。

この経験を通して、競争相手を蹴落としてでも上を目指す非常に厳しい勝負の世界があって、一方で自分の中でかなりスイッチを入れないとついていけないくらい明るく楽しい世界もあり。たったひとつの世界ではなく、もしこのような多種多様な世界にそれぞれ適応していくことができれば、自分が広がっていく感覚を持つことができて、きっと楽しい人生にできるのではないか、と考えるようになりました。今もなお、置かれた環境に柔軟に適応できるように、小さな勉強を積み重ねる日々です。

second place 佐藤

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