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京町家の活用方法について その1

今回は古い家(京町家)の活用方法について話したいと思います。

私がオススメしたいのは、オフィスとしての活用。
普通の賃貸住宅ではなく、カフェでもなく、宿泊施設でもない。
”仕事場”としての活用。

実は私も京町家を活用したシェアオフィスを事務所として使用しています。
自ら体験しているからこそ、声を大にして言いたい。
「京町家を仕事場にするといいですよ!」

私が事務所として利用している建物は、おそらく明治初期の築150年前後の京町家。
古い、とても古い。昭和レトロどころではない。

この建物に関する最も古い記録によると、127年前にはすでに存在していたということ。それ以前のことはわからない。
明治かもしれないし、幕末には存在したかもしれない。
ここまで古いと、その古さに”浪漫”を感じる。

お世辞にも“快適な空間”とは言えない。
建物としての性能面は「雨風しのげるんだから、十分ですやん」のレベル。
今の住宅の快適さを想像してはいけない。
特に冬の寒さはたまらない。はっきり言って、外より室内の方が寒い。

ガラガラと音をたてて開く玄関の引き戸
すーっと空いて、トンっと音を立てて閉まる襖
風が吹いたり、大きな車が前を通ると、ガタガタ音をたてる窓ガラス
歩くとギシギシ音をたてる床と階段
屋根裏ではネズミが大運動会

前道を歩く人の雑談もまる聞こえ。
耳を澄まさなくても、いろんな音が聞こえてくる。
断熱性?遮音性?何ですかそれ?食べれるんですか?の世界。
数十年前はこんな環境が当たり前だったんだろう。

今の便利な生活とは程遠い。
今の10代、20代の若い世代には耐えられない環境かもしれない。

でもアラフィフ世代の私(現在49歳)にとっては、子供時代によく遊びに行った“おばあちゃんの家” を思い出すような懐かしさ。
私の親の世代の人は、自分の子供時代を思い出すんじゃないかなぁ。

だから私にとっては、この古さが心地良い。不便さが心地良い。
何時間いても疲れない。逆に癒される感覚。

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不便です!機能性に優れたシステムキッチンなんかではございません!

もうね、今が令和であることを忘れてしまいます。
数十年前にタイムスリップしたかのような感覚です。

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休憩時間は縁側に座ってまったりと

でも、ゆったりした時間が流れているんですよ。
くつろげるんです。心地良いんです。
都会の中のガラス張りのカッコいい事務所とは時間の流れる速さが違う気がします。

休憩時間は縁側に座って、日向ぼっこしながらおやつを食べるのもいいですよ。ストレスがすっと抜けていきます。

今のストレスにあふれた社会の中では、仕事場はくつろげる空間であるべきだと思うんです。
常に緊張を強いられる環境では精神的に辛いと思うんですよね。

効率的に仕事できる最新設備の事務所もいいけど、不便だけどリラックスしながら働ける事務所があっても良いと思うんです。

こんな京町家の事務所がどんどん増えていくように、京町家を所有している大家さんにどんどん働きかけていこうと思います。

その2に続く


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