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お金の捉え方(3/4)

気がついたらあと30分で今日が終わってしまうという一日が、今日も終わろうとしている。この前のライブ写真に映った自分の二重顎に「おい、おい、おい!」となったことも記憶に新しいが、無造作にポニーテールにした自分の髪の毛が(毛量が少なくてネズミの尻尾のようだという件ではなく)、無造作界隈に忍びないほどにボサっとしていたことが蘇ってきて、唐突に美容師のくにちゃんに連絡を入れた。偶然空いていたみたいで髪を整えてもらった。

さて、できればVISAの給付が確定してから航空券や居住地の支払いをしたかったのだが、ある程度フライングして行かないとどんどん価格は上がっていく。キャンセルや変更が可能なオプションを有料でつけるなんて普段だったら絶対にやらないが(ケチ)、こればかりは何の約束もないのだからと、あらゆる予約に涙を飲んでオプション課金をする昨今である。

Airbnbサイトのパリ物件も年々価格が上昇している。今年はパリオリンピックも開催されるので"7月からオリンピック価格!"と謳っているものもある。1600€の物件が3200€を提示していたりするのだから強気だ。
心の中では「Porte de clignancourtの先なんざでオリンピック価格って何様だよ!」などと悪態をついたりしてしまう。(行かれる方は、滞在エリアもよく選んだ方が良いです)

また、日本人的発想でいると痛い目を見ることもあり、今回は慎重にメッセージのやり取りをしていく。Airbnbは便利な側面もあるのだが、言い訳にしてはあまりにも杜撰な理由で突然一方的にキャンセルされることも少なくない。「友達が〜、結婚式が〜、親が〜、ペットが〜、そもそも貸すつもりなかった〜」などなど。ひどい時には(石器時代に滅びたはずの)アジア人差別をする人たちも、まだ見かける。日本人の私からすると、なんなら色んな国籍の方々の中で最も清潔に使う可能性が高いのが日本人だと思うが?などと心の中で負け惜しみ。

とても狭いし階段しかないが安かった(と言っても一ヶ月27万円)アパルトマンの女性に慎重にメッセージを送ったが、案の定(?)「たった今、同じタイミングで前にうちに泊まってくれた人から連絡があって、5月と6月にフルで泊まりたいかもって言うので、あなたが5月と6月フルより長く泊まってくれるなら検討します」という返答だった。「知らない人のことを疑うなんて、世武さんったらふしだらね!」と思う方もいるかも知れないが、私はこの類の返事を全く信用していない。こういう人は後からまた別の理由で滞在を拒否してくる可能性があるので、触らぬ神に祟りなし方式を採用したい。

それにしても、あまりにも家賃が爆あがりしているので、もはや不動産屋さんに普通に問い合わせしてみるのはどうか?と方向性を変えてみた。
Airbnbよりは幾分か安い物件も出てくる。最短3ヶ月とかになってくるとそれなりに真剣に選ばないとなかなかきついが。
安い物件は一階が多い。日本でも一階は難しいなと感じているのに、騒音地獄パリで一階など借りようものなら一睡も出来なさそうだと除外。いくつか気になった物件を1500€くらいで見繕って、不動産屋さんに問い合わせをしようと考えた。最初の申し込みフォームで「あなたの納税証明をスキャンして送って下さい。証明書が通過しなければ問い合わせにアクセスできません」と出てきた。なんとまあ!分かっていたことだが、いちいちお金にシビアである。加えて、日本があまりにもお金になあなあだから落差がすごい。

とある映画の件で、パリのエージェントに著作権の確認をしたところ「君は当然○○%の△△という名前の印税にタッチできるよ。先方にハッキリ言った方がいい。手伝おうか?」という返事が来たのだが、この時にも強く思った。

正直言ってバリバリ日本人の私は、しっかり、お金の話がそんな好きではない。そもそも数字が本当に苦手なので、足し算や掛け算すら怯えながらやっている始末だ。

パリの印税システム(日本でいうJASRAC的なもの)は、それこそ世界中から根こそぎ使用料を回収していく優秀な組織である。権利というものに敏感で、創造主に当然払われるものであるという意識が強いからだ。
花の都だからってだけではなく、現実的にアーティストに比較的やさしい国であることは間違いない。

不動産で自分が家を借りたい時にはあまりのシビアさにげんなりするが、総合的に考えると理に適っていて、資本主義社会なんだから当たり前でしかないのである。

辞めた会社の悪口を言うつもりはない(というか、ネガティブな気持ちは持っていない)が、日本のマネージメント事務所は大抵「著作権のことはよくわからない、そういう部署の人に確認する」みたいなスタンスで、確認したらしたで、よくわからないままを横流ししているだけのような状態が多くて、それでアーティストが守られたり、当然の権利を主張できなくても無理はない。

フランスの人たちと接していて思うのは、マネージメントやエージェントをやるからには、何だかよくわからないでは済まされないはずだということ。あなたたちの仕事は、まさにそれらをわからないでやれる仕事ではないですよという当たり前が当たり前じゃない世界。これは根本的に日本の音楽業界の問題として改善が急がれるのではなかろうか。マネージャーやエージェントには、私たち音楽家を叱咤激励しながら育てる存在であって欲しいと願う。

とても大切な本日の所感を認めていたら、シンデレラタイムを初めてオーバーしてしまった。
毎日更新が(厳密には)途絶えてしまったことが悔しい。明日は23時に目覚まし時計をかけてやる!

そんなわけで、今日の徒然草はここまで。

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