見出し画像

いきものがかり論/非公式あらため公式!(2/12)

今週は結構予定が詰まっている事もあって、起床と同時にキュッと気持ちが引き締まるのを感じた。自由業者には滅多に味わえない"一週間の始まり的月曜日"という社会参加は「祝日」という二文字で押し戻された。
10:59発予定のバスに乗るべく、撮影用のメイクもちゃんと終え、小道具も持ち、コーヒーを買ってから八丁堀のバス停に5分前に到着。なかなか順調な滑り出し。
念の為、電光掲示板でバスの次発を確認すると「勝木行き あと335分」と表示されているではないか。故障の仕方が豪快で面白いなぁとすかさず写真に収める。

何本かのバスを見逃したあと、流石に遅れすぎていることや355分からきちんとカウントダウンが続いていることを鑑みて、「本当に335分後に到着する」のでは?と判断したため、急遽別のバスのルートを調べて乗り込んだ。早速最初から躓いているが、なんとかギリギリ到着(厳密には1分遅刻)、撮影は順調に進み、私の好きなカメラマンと緩く楽しく大変リラックスして終了。

そこからは市内(繁華街のことを広島市民は「市内」と呼ぶ。広島に移り住んですぐに教わったローカルルールである)まで徒歩で戻り、たっぷりと太陽を浴びた。今さらながら眼を労わりたいという気持ちが芽生えたためUVカット眼鏡を着用。そのうちランニングでも始めたらいよいよテンプレアラフォーの鑑となる。

お馴染みの若草コーヒーさんで、友人とお茶しながら談笑。以前お貸ししていた本について、特に後半の展開の切実さを熱く語り合った。

夜は我らがHGBホールにて、同級生の友人のバンド(というか牧場?)「いきものがかり」のライブを鑑賞した。リーダー水野くんが主宰するHIROBAで最初に声をかけてもらって以来、似てるんだか似てないんだか、近いんだか遠いんだか分からない距離で定期的に一緒に音楽を作っている。(水野くん作曲のものを私が編曲、時にはプロデュースするという関係性)
実際にお茶したり、ご飯に行ったり、飲みに行ったりはしたことがないが、頻繁に言葉は交わしている。あえて名前をつけるならば、ペンパルなのかも知れない。

さて、そんなリーダーと聖恵さん率いるいきものがかりのライブは、わたしって親戚の叔母かしら?と言わんばかりの緊張で、最初の暗転から吐きそうになっていた。
杞憂。同級生の叔母からの心配など全く不要のエネルギー全解放ステージは、終始とんでもない明るさと楽しさで突き抜けていた。

私はいきものがかりの事をそんな知らなくて、「誰が、夢を見るのか」という水野くんのエッセイとか、「誰か」という曲のレコーディングを一緒にした印象くらいしかないのだが、明るさと楽しさというのは技術であり、意志であり、徹底したプロフェッショナリズムなのだと思った。「仕事だからやってます」という意味では勿論ない。そこにちゃんと信念があり目的があって、なおかつ道を作っている、という意味で。

最近趣味で、経営者の話や生き様を読んだり聞いたりしているのだが、彼らも近しいことを言っていた。
信念とかって、一見無くても当面何とかなりそうというか、お金とか人材などと違って「信念を持たない者にとっては」非常にぼんやりしている存在だと思う。
色んなアーティストのステージをHGBホールで観せてもらい、それぞれのアーティストが唯一無二の圧倒を持って輝きを誇っていたが、いきものがかりのステージは、一番、そういう経営者の生き方みたいなものに近い何かを感じた。(今、私が経営学に興味津々なことも影響してるとは思うけれども!)

無論、二人とも全く堅苦しい雰囲気は微塵もないし、終始和やかで親しみやすく分かりやすい。お客さんを本当に大切にしているし本気だ。でも、まずはその「経営理念的なもの」が土台にあるからこそ国民的な存在になったのだなと、やっぱりこの場所に立つのには雰囲気だけでは無理なのだと証明していて嬉しかった。

多分そう感じた理由のひとつに、主語が不在の、良くも悪くも余白で語り想像させる日本の言語文化において、彼らの音楽は主語が一番強く発音されていることがあると思う。だから賑やかに楽しくやっていても、ストロングスタイルが担保されている。

加えて、聖恵さんの「時代を消す声」も面白い。楽曲って、作っている時の、その時代の空気が充満するものだが、どの曲も聖恵さんが歌うと時代が消える。そういう意味でも演奏(楽曲)と歌唱が拮抗している構図が興味深く、彼女のボーカルの凄さはそこなのか!と気づく。
レコーディングでも歌詞を細かく分析して勉強している姿を横に見ていたし、自分が弾き語りでやっていること(とことん歌詞と向き合うこと)とすごく似ていたから大いに共感したのだが、声とか肉体の個性が違うとここまで行き先が変わってくるのだなと、音楽家って色々いるから楽しい。
自分と真逆の道を駆け抜けるその姿は、まるで、誰かの所有物になることを進んで引き受けたがっているようで、だから、いきものがかりはポップスなのだな。彼らの目指すものはどうしたってそこで輝くものなのだなと思った。

色んな人が色んな役割を持って社会を形成していることの旨味を存分に味わい、ほくほくと帰路に着いた。

楽しかった。ありがとう、いきものがかり!
(トップ画は和気藹々とした会話が嘘のようにぎこちない表情の我々三人)

335分前から告知する斬新さ...
おしゃれ椅子
広島絶景
広島絶景 その2
本通のバルーン紳士から購入
テケポーチ(水野プロデュース)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?