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八丁座/映画音楽の仕事の受け方/きのこたけのこ(3/22)

音楽を担当した映画『カラオケ行こ!』が、私の愛してやまない広島の映画館・八丁座さんで今日から上映だ。4月4日までの二週間限定、シネスコ。
個人的にも、同じ映画を観るならなるべく八丁座さん(ないしサロンシネマさん)で観ると決めているほどお気に入りなので、とっても嬉しいニュースだ。

本当は、八丁座さんでの上映記念として、サウンドトラック解説なるものを世武日記で書く予定でいたのだが、ただ今絶賛別プロジェクトの音楽制作中。こういう時は別作品のことは無理しないと考えられないので、もう少しお預けになりそう。

数年前、自分の中で"無理するライン"みたいなものの設定を変更したのだが、それまでの私は、自分の肉体なんて完全に無視の奴隷扱いで、可哀想なほど酷使していたと思う。「ある程度までしか無理をしない」に慣れるまでに相当心の戦いがあったことも、いかに自分のことを無視してきたかを象徴しているようだ。

2018年頃。年間8本の映画音楽に携わり、西野カナちゃんのツアー、Mr.Childrenのツアー、自分のソロアルバム制作・プロモーション・ツアーと、ぶっ倒れるくらいに働いていたのだが、その時ですら作曲スピードこそ時速320kmくらいまであげても、複数の映画を頻繁に行き来するようなことはしなかった。

映画音楽を作る時は完全に自分の中で人格が二つに分離しており、作品の世界に完全に引っ張られて没入している主人格と、それを監督している人間がいる。監督している人間は常に細かく監視・管理をしていて、その中で主人格になるべく自由に曲を書かせているのだが、この主人格というのがどうも切り替えが悪く作品の情緒に振り回されるので、どうしてもあれこれと作品との接し方に工夫が必要なのである。

それでも2018年の仕事量では流石に、ある程度の回数は作品を行き来せざるを得ない時期もあり、その時はとにかく肉体と精神が切り裂かれるようでとても辛かった。現実的に過労で入院した時もあった。(入院してる時間すらないというのに!)
あまりに忙しく心に全く余裕がなかったため、仕事が忙しいと言いながら月に2,3日休みがある人のことを「自分、全然忙しくないやん!」と白い目で見たりしていたほどだ。そんな嫌なやつになるほど忙しいのってどうなんだろう?入院するほど忙しいのって合ってる?と考え直して、翌年頃からは多少のゆとりを持って仕事をするようになった。

基本的には暇が大の苦手で、やっぱりそれなりに忙しくありたい。"自分の都合の良い形で程よく忙しい"というのは殆ど無理だと分かっているので、来週の録音を終えたらいよいよ渡仏の準備に向けて一ヶ月ほどプチ休業…と考えていた。最後の一ヶ月など、なんだかんだと言っていたら秒速で過ぎてしまうのが世の常だ。

それなのに結局、日本にいる間にと詰め込み病が出てきてしまって、江島くんとの新しいプロジェクトでスタジオに入ったり、ピアノのサポートのお話を受けたりしてしまっている。(楽しいからやれるのだけど)

"程よく忙しい"が存在しない世界で、「全くの暇」と「忙しすぎる」の二択に迫られたなら、私は迷わず後者を取りたい。ちなみに私がこの世で一番好きな二択クイズは"きのこの山かたけのこの里か"である。うんこの味のカレーと、カレー味のうんこは絶対に食べないと決めているので心配には及びません。

宮城で手土産として持たせて頂いた、くるみ味噌の紫蘇巻き
元々好物だったが、こちら異次元に美味しい!


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