ロックの冒険(22)
僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。
モズのシュラーは言った。「東の陣地を守っているのはミニベットの手下のグロスビー。イカルだ。大きな黄色いクチバシがあいつの武器だ。」
シュラーと別れてグロスビーのいる東の陣地の下までやってきた。
イカルのグロスビーは大きな目で周りを見渡しながら枝にとまっていた。
その木の下でロックとクロウは話し合った。
クロウが言った。「なぁロック、イソヒヨドリのお前は翼が青くて目立つ。だからまずはお前がグロスビーの近くを飛べ、そしてグロスビーにまとわりつけ、オレは黒い羽だから森の中ではあまり目立たない。オレは背後からグロスビーに近づく。」
「それでどうするの?」
「あいつの背中にタックルするのさ、なぁに命を奪ったりはしない。あいつをここから追っ払って陣地を奪うのさ。」
グロスビーは2人に気付いていない様子で、ずっと枝にとまっている。
「いいかロック、オレが右の羽が上げる、それが合図だ。合図したらお前飛ぶんだぞ、いいな。」
「うん、分かったよ。」
グロスビーが横を見ているタイミングで、クロウが右の羽を上げた。
ロックは急上昇して、グロスビーの目の前あたりに飛んだ。
グロスビーの目の前でロックはホバリングを始めた。
正面を向いたグロスビーが、自分の目の前でホバリングするロックを見つけて驚いたような表情をした。
「お前は誰だ?」
ロックは無言のままホバリングを続けた。
「お前、この森のものじゃないな!よそ者はミニベット様の命令を聞いて、この森に住み着くか、さっさとこの森から出ていくか、さもなくば」
「さもなくば?」ロックが初めて口を開いた。
「お前を生かしてはおけない。」
ロックとグロスビーはしばらく睨みあった。
その時「ギャー」と叫びながら枝から落ちていった。
背後からクロウがグロスビーに体当たりしたのだ。クロウがグロスビーが乗っていた枝を奪った。
しかし、下に落ちたグロスビーは体勢を立て直して向かいの枝に乗り移った。
「貴様らー、甘く見るなよ。」グロスビーは怒りに満ちた目で2人を睨みつけた。
そこでグロスビーが「コリー!」と鳴いた。すると、グロスビーの仲間のイカルが2羽が飛んできた。
「クロウ、まずいよ。グロスビーの仲間がやってきたよ。」
グロスビーを含めた3羽のイカルが、ロックとクロウに襲いかかってきた。1羽がロックの羽に爪を立てた。
「ギャー!」ロックが叫んだ。
その時だ。1羽の鳥がものすごいスピードでグロスビーたちに向かってきた。
「お前たち、待ってろよ!」
ロックはグロスビーたちの攻撃で揉み合ってる中で、その鳥を見た。
「あっ、君は!」
(次回に続く)
#小説 #冒険小説 #野鳥
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