ロックの冒険(21)
僕の名前は「ロック」。イソヒヨドリだよ。
森を目指してハシボソガラスのクロウと旅をすることにしたのさ。
枝にとまっているオレンジ色の鳥がロックとクロウに気づいた。
ただこちらを見ているだけで、2人を襲ってくる様子はない。ロックは尋ねてみた。
「君はここで何をしているの?」
オレンジ色の鳥は答えた。「オレはここで食べ物が見当たらないか探してるだけだ。オレの名前はシュラー。モズだよ。」
今度はクロウが聞いた。「おい、お前はミニベットの手下じゃないだろうな。」
「オレはここで女王ミニベットの命令で、ミニベットの食べるものを探してるんだ。手下だと思いたいなら、そう思え。」
「さっきアオゲラのグリュンというやつらに襲われたんだが、あいつらは何なんだ?」とクロウが聞いた。
「グリュンたちは森の周囲で女王ミニベットに危害を加えるようなやつらがこないか、常に見張っているミニベットの護衛隊だ。捕まったら殺されるか、オレみたいに一生女王のために働かされるかどっちかだ。」
ロックが聞いた。「森の鳥たちはミニベットに魔法をかけられるって本当?」
「ああ本当だ。このオレももしミニベットに逆らったら石にされる。仲間もたくさん石にされた。」
「フクロウのローリーが魔法を解く方法を知ってるって聞いたよ。」
「お前たちローリーに会いたいのか?」
モズのシュラーは、しばらく考えたのちにこう言った。
「ローリーにいつ会えるかは分からねえ。ローリーに会える前に、お前たちもアオゲラのグリュンや別の手下の鳥に捕まっちまうかもしれない。だからなぁ、お前たち、いつでも戦えるように強くならなきゃならねー。まずほ自分たちを鍛えることだな。」
ロックとクロウは顔を見合わせた。
「どうやって?」
「アオゲラたちは強い。だから最初からあいつらと戦うのは得策じゃねぇ。アオゲラたち以外にも女王の手下はいる。その中で木のてっぺんの陣地を守ってる鳥がいる。そいつの陣地を奪え。」
「陣地を奪う?」
「そうだ。ローリーもフクロウだから現れるときは木の上の方だ。まず陣地を奪ってローリーを待て。」
「僕らが戦って陣地を奪う鳥って何?どこにその陣地があるの?」ロックが聞いた。
「陣地は、ここより少し東に行った辺りだ。そしてその陣地を守っている女王の手下の鳥は、大きな黄色いクチバシを持った鳥だ。お前たち、そいつと戦う勇気はあるか?」
"大きな黄色いクチバシを持った鳥"......
どういう相手と戦うことになるのか、ロックとクロウは想像をめぐらした。
(次回に続く)
#小説 #冒険小説 #野鳥
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