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ゆっくりしてね・・

毎日、追われる。在宅勤務でも「今日は何やりますか?」「今日は何やったのですか?」  仕事以外でも「これお願い」「いつごろ出来る?」「未だ?」 「早く、行くよ」 私が特別何かをするのが遅いわけではない。 公私ともに頼まれごとが多いのです。 「いいよ、ゆっくりしなよ‥」と、だれか言ってくれないだろうか。 そう言うと「最期はいやでもずっとゆっくり出来るんだよ。ふふっ」と、 あいつ。 そうじゃないの、私はこの世!で、ゆっくり、ゆったりを謳歌したいのよ・・。 みなさま良い一

    • 大人の手習い 父と私とピアノ

      ピアノを習い始めました。 実家にピアノはありましたが、鍵盤に真面目に向き合ったのは今回が 初めてのこと。 「ピアノ」というものにはずっとひっかかりがありました。 私の父がピアニストでした。今も生きているので、でした、はおかしいでしょうか。要はピアノを弾くことを生業とし、地方都市で父は音楽で家族を養っていました。 父の音楽の舞台は決して華やかな場所ばかりではなく、「音楽が必要なら、どんなところでも弾きます!」そういう仕事でした。「僕のは音楽、音が楽しいではなくて、音が

      • 乙女 という言葉

        まだ居るかな乙女、何処かにいるはず。 こんな乙女  そこで一句 「言いもせず思い重ねる乙女あり この花去年(こぞ)もここに咲きけむ」 #とは

        • 空港で朝食を

          母がおにぎりを握る。 「2個でいいの?」 「うん。ありがとう」 母が銀色のホイルに包んだおにぎりをハンカチに包み 私のバックの上に置く。まるで小さなかわいい風呂敷。 「ちゃんと食べてよ」と母が言う。 「うん」 実家から東京に戻る朝はいつもこうだ。 「お父さんが起きないうちにね」 「またすぐ来るからね」 私は分かり易い嘘をつく。 さっきまでおにぎりを握っていた、母の小さな手を握る。 「またね・・」 父が寝ているうちに朝早くに実家を出るようになって何年目になるだ

          ショートストーリー 母のおにぎり

          母がおにぎりを握る。 「2個でいいの?」 「うん。ありがとう」 母が銀色のホイルに包んだおにぎりをハンカチに包み 私のバックの上に置く。まるで小さなかわいい風呂敷。 「ちゃんと食べてよ」と母が言う。 「うん」 実家から東京に戻る朝はいつもこうだ。 「お父さんが起きないうちにね」 「またすぐ来るからね」 私は分かり易い嘘をつく。 さっきまでおにぎりを握っていた、母の小さな手を握る。 「またね・・」 父が寝ているうちに朝早くに実家を出るようになって何年目になるだ

          ショートストーリー 母のおにぎり

          エッセイ 「リレー」

          やさしいってなんだろうな。 自分の家族や親しい人にやさしくできても 知らない人にやさしくするのはなかなかハードルが高いのでは ないだろうか。 そんなことを思ったある日の通勤電車。 乗っている人達は知らない人。 毎日同じ人と乗り合わせても、顔も覚えない、名前だって もちろん知らない。 ある朝、駅のホーム、白い杖をついた人が床をつつきながら歩いている。 「ちょっともっと左に寄らないと危ないよ、落ちちゃうよ」 心のなかでつぶやく。でも”声”にならない。 私の隣の人も同じように頼り

          エッセイ 「リレー」