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第17回 コレが基金の条例(1)

基金条例は、法制的には選択肢が少ないので、法制担当としては割と初任者に任せて作らせてみるものになるのではないかなと思います。


基金について、条例で定める根拠は、釈迦に説法とは思いますが、地方自治法第241条の規定によるところです。


https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067


 (基金)
第二百四十一条 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、又は定額の資金を運用するための基金を設けることができる。
2 基金は、これを前項の条例で定める特定の目的に応じ、及び確実かつ効率的に運用しなければならない。
3 第一項の規定により特定の目的のために財産を取得し、又は資金を積み立てるための基金を設けた場合においては、当該目的のためでなければこれを処分することができない。
4 基金の運用から生ずる収益及び基金の管理に要する経費は、それぞれ毎会計年度の歳入歳出予算に計上しなければならない。
5 第一項の規定により特定の目的のために定額の資金を運用するための基金を設けた場合においては、普通地方公共団体の長は、毎会計年度、その運用の状況を示す書類を作成し、これを監査委員の審査に付し、その意見を付けて、第二百三十三条第五項の書類と併せて議会に提出しなければならない。
6 前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。
7 基金の管理については、基金に属する財産の種類に応じ、収入若しくは支出の手続、歳計現金の出納若しくは保管、公有財産若しくは物品の管理若しくは処分又は債権の管理の例による。
8 第二項から前項までに定めるもののほか、基金の管理及び処分に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067


また、地方財政法においても、積立金という名称での規定(これは主に財政調整基金あるいは減債基金となりますが)があります。


https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000109_20210401_503AC0000000008



 (地方公共団体における年度間の財源の調整)
第四条の三 地方公共団体は、当該地方公共団体の当該年度における地方交付税の額とその算定に用いられた基準財政収入額との合算額が、当該地方交付税の算定に用いられた基準財政需要額を著しく超えることとなるとき、又は当該地方公共団体の当該年度における一般財源の額(普通税、地方揮発油譲与税、石油ガス譲与税、自動車重量譲与税、特別法人事業譲与税、特別とん譲与税、国有資産等所在市町村交付金、国有資産等所在都道府県交付金、国有提供施設等所在市町村助成交付金及び地方交付税又は特別区財政調整交付金の額の合算額をいう。以下同じ。)が当該地方公共団体の前年度における一般財源の額を超えることとなる場合において、当該超過額が新たに増加した当該地方公共団体の義務に属する経費に係る一般財源の額を著しく超えることとなるときは、その著しく超えることとなる額を、災害により生じた経費の財源若しくは災害により生じた減収を埋めるための財源、前年度末までに生じた歳入欠陥を埋めるための財源又は緊急に実施することが必要となつた大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てる場合のほか、翌年度以降における財政の健全な運営に資するため、積み立て、長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充て、又は償還期限を繰り上げて行う地方債の償還の財源に充てなければならない。
2 前項の規定により積み立てた金額(次項及び次条において「積立金」という。)から生ずる収入は、全て積立金に繰り入れなければならない。
3 積立金は、銀行その他の金融機関への預金、国債証券、地方債証券、政府保証債券(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他の証券の買入れ等の確実な方法により運用しなければならない。
 (積立金の処分)
第四条の四 積立金は、次の各号の一に掲げる場合に限り、これを処分することができる。
 一 経済事情の著しい変動等により財源が著しく不足する場合において当該不足額をうめるための財源に充てるとき。
 二 災害により生じた経費の財源又は災害により生じた減収をうめるための財源に充てるとき。
 三 緊急に実施することが必要となつた大規模な土木その他の建設事業の経費その他必要やむを得ない理由により生じた経費の財源に充てるとき。
 四 長期にわたる財源の育成のためにする財産の取得等のための経費の財源に充てるとき。
 五 償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てるとき。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000109_20210401_503AC0000000008


また、先日某所で話題となりました、歳計剰余金の積み立てについては、同じく地方自治法第233条の2において


 (歳計剰余金の処分)
第二百三十三条の二 各会計年度において決算上剰余金を生じたときは、翌年度の歳入に編入しなければならない。ただし、条例の定めるところにより、又は普通地方公共団体の議会の議決により、剰余金の全部又は一部を翌年度に繰り越さないで基金に編入することができる。


の規定のほかに、地方財政法第7条で


 (剰余金)
第七条 地方公共団体は、各会計年度において歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、当該剰余金のうち二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌翌年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない。
2 第四条の三第二項及び第三項並びに第四条の四の規定は、前項の規定により積み立てた金額について準用する。
3 前条の公営企業について、歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合においては、第一項の規定にかかわらず、議会の議決を経て、その全部又は一部を一般会計又は他の特別会計に繰り入れることができる。
4 第一項及び前項の剰余金の計算については、政令でこれを定める。


また、地方財政法施行令第47条で


https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323CO0000000267_20210401_503CO0000000111


 (剰余金の計算方法)
第四十七条 法第七条第一項の剰余金は、当該年度において新たに生じた剰余金から、当該年度の翌年度に繰り越した歳出予算の財源に充てるべき金額(継続費の支出財源として逓次繰り越した金額を含む。以下同じ。)を控除して、これを計算する。
 (公営企業に係る剰余金)
第四十八条 法第七条第三項の剰余金は、当該年度において新たに生じた剰余金から、次に掲げる金額の合計額を控除して、これを計算する。
 一 当該年度の翌年度に繰り越した歳出予算の財源に充てるべき金額
 二 固定資産の原価償却に充てるべき金額
 三 議会の定めるところにより積み立てるべき金額

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323CO0000000267_20210401_503CO0000000111


となっています。


さて、地方自治法で特定目的基金、地方財政法で財政調整基金・減債基金について規定されていますが、地方自治体では、運用果実をどうするかというところが一つの検討課題となります(なりました、と言った方がいいかもしれません。昨今だと基金の運用益はほんのわずかとなり、基金の利子だけで事業を行うことはほぼ不可能となっています)。

では、具体の基金条例はどのようになっているか、ということについては、次回としたいと思います。(おーい)

皆様よいお年を。

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