見出し画像

第10回 教育に関する事務の点検・評価

第10回になりました。長い文章を書くのが好きではない(必要に迫られて書きますが)割には続いたかなと思います。

さて、今回は教育に関する事務の点検・評価です。

今や、どこの市町村でも、行政評価はしていると思います。
教育委員会は、毎度おなじみ地教行法内で、点検・評価をすることが法定となっています。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=331AC0000000162_20200401_429AC0000000029

 (教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価等)
第二十六条 教育委員会は、毎年、その権限に属する事務(前条第一項の規定により教育長に委任された事務その他教育長の権限に属する事務(同条第四項の規定により事務局職員等に委任された事務を含む。)を含む。)の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない。
2 教育委員会は、前項の点検及び評価を行うに当たつては、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図るものとする。

第1項にある教育委員会の権限に関しては、前回までで書きました。
この条も、平成19年改正で新設されています。

地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律について(通知)(平成19年7月31日)(19文科初第535号)
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/07081706.htm

第二 留意事項
1 教育委員会の責任体制の明確化
(3) 教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価
① 今回の改正は、教育委員会がその権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を議会に提出し、公表することにより、効果的な教育行政の推進に資するとともに、住民への説明責任を果たしていく趣旨から行うものであること。
② 現在、すでに各教育委員会において、教育に関する事務の管理及び執行の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を議会に報告するなどの取組を行っている場合には、その手法を活用しつつ、適切に対応すること。
③ 点検及び評価を行う際、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図ることについては、点検及び評価の客観性を確保するためのものであることを踏まえ、例えば、点検及び評価の方法や結果について学識経験者から意見を聴取する機会を設けるなど、各教育委員会の判断で適切に対応すること。

帯広市の例で行くと、この学識経験者は、元校長と元教育委員となっています。
https://www.city.obihiro.hokkaido.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/402/r3tenkenhyouka-zenpen.pdf

また、札幌市は、大学の教員となっています。
https://www.city.sapporo.jp/kyoiku/top/information/documents/tenken_hyouka03.pdf

条例で常設の附属機関を設けている場合もあります。
下野市教育委員会点検評価に関する条例
https://www.city.shimotsuke.lg.jp/statics/reiki_int/reiki_honbun/r295RG00001241.html

さて、点検・評価の対象となる事務ですが、「その権限に属する事務(前条第1項の規定により教育長に委任された事務その他教育長の権限に属する事務(同条第4項の規定により事務局職員等に委任された事務を含む。)を含む。)」と規定されており、学陽書房の逐条解説(品切重版未定・平成26年改正までしか対応していないので、その後の学校運営協議会の努力義務化の改正や、前回まで書いた職務権限の特例の追加については記載されていません)によると、

⑴ 本法第21条に規定する事務のうち次に掲げる事務
 ① 教育委員会自ら管理・執行する事務(すなわち、教育長に委任していない事務)
 ② 第25条第1項の規定により教育委員会から教育長に委任されている事務(同条第4項の規定により教育長から事務局職員・教育機関職員に委任されている事務を含む。)
 ③ 法令により教育長の権限とされている事務(教育長から事務局職員・教育機関職員に委任されている事務を含む。)
 ただし、次の事務は除かれる。
 ① 自治法第180条の7の規定により教育委員会から地方公共団体の長の補助機関たる職員等に委任した事務
 ② 本法第23条の規定に基づき、スポーツ又は文化(筆者注:ここは前述のとおり追加となっています)に関する事務について、条例の定めるところにより、地方公共団体の長が、管理・執行することとされた事務
 ⑵ 自治法第180条の2の規定により当該地方公共団体の長から教育委員会、教育長に委任された事務

点検・評価は、地教行法第25条第2項第5号により、教育長に委任できない事務となっていますので、通常であれば教育委員会会議の案件(又は教育長の臨時代理)となります。このことから、先ほどの帯広市や札幌市のように、単体での冊子となることが多いと思いますが、地方公共団体によっては、首長部局の事務事業評価と一緒になっているところもあります。
教育委員会の事務に関する点検・評価(千歳市)
https://www.city.chitose.lg.jp/docs/95-36211-169-904.html?cat=%2F95%2F95_169%2F95_169_904%2F

ともあれ、教育委員会事務局の企画あるいは総務部門が、教育委員会の全事務についてこの内容を取りまとめて教育委員会会議の議案とし、議会報告・住民公表までする一連の事務は、結構骨が折れるものとなっています。

ご意見ご感想お待ちしています。

補足:第6回の記事中、「文部科学省のサイトでは、この通知が見当たらなく」との記載をしましたが、国立国会図書館のアーカイブに記載がありましたので、修正します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?