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第18回 コレが基金の条例(2)
前回は、条例に言及する前で越年してしまいました。本年もよろしくお願いいたします。
さて、実際の条例を見てみましょう。
福岡市NPO活動支援基金条例
https://www.city.fukuoka.lg.jp/d1w_reiki/reiki_honbun/q003RG00000358.html
(運用益金の処理)
第4条 基金の運用から生じる収益は,一般会計歳入歳出予算に計上し,NPOの公益的な活動を推進するために必要な費用に充てるものとする。
2 前項の規定により必要な費用に充て,なお,剰余金があるときは,当該剰余金は,基金に積み立てるものとする。
そういえば、この条例はNPOの定義をしていませんねぇ…
それはさておき、基金には、利子活用型、利子積立型、定額運用型などの類型がありますが、この条文は第1項で利子活用型の規定をし、かつ、第2項で活用する事業が利子より少なかった場合に利子を積み立てる規定ぶりとなっています。
この規定で、第1項しかなかった場合に、たまたまその年度に利子が活用できる事業がなかったときには、「ものとする」規定の特殊事情として逃げるしかなくなります。
基金条例は、基金ごとに定めている場合もありますが、自治体によっては、基金条例を一括で制定している例もあります。
紋別市基金条例
https://mombetsu.jp/reiki/reiki_honbun/a020RG00000781.html
この条例はいろいろと興味深い規定内容となっています。
(設置)
第2条 基金を別表左欄のとおり設置する。
(積立て)
第3条 基金は別表中欄に掲げる目的のため、同欄に掲げる額を積み立てるものとする。
(処分)
第7条 基金は、別表右欄に掲げる場合に限り、その全部又は一部を歳入歳出予算に計上して処分することができる。
別表で、設置、積立、処分を定めているほか、
2 前項の規定にかかわらず、基金に属する現金を預貯金等として金融機関に預入れし、又は信託している場合において、当該金融機関に係る保険事故(預金保険法第49条第2項各号に掲げる保険事故及び農水産業協同組合貯金保険法第49条第2項各号に掲げる保険事故をいう。)が発生したときは、当該金融機関に対する市の債務(借入金に係る債務及び保証契約に基づく債務をいう。)と当該預貯金等に係る債権を相殺するため処分することができる。
3 前項の規定により相殺した処分額は、各基金へ返済するものとし、その利子については、次条の規定に準じて算定するものとする。
ペイオフ対応の規定が入っていますし、
(国庫支出金等を財源として積み立てた基金の経理)
第5条 国庫支出金等を財源として積み立てた資金を含む基金の経理は、国庫支出金等により積み立てた金額(当該部分の運用から生ずる収益を含む。)とそれ以外の金額を区別して行うものとする。
つまり、同じ基金の中で経理区分をする(別勘定を作る)規定となっています。
会計自体に別勘定があるため、基金を分ける規定としては、
丹波篠山市国民健康保険特別会計(直診勘定)財政調整基金条例
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/section/reiki_int/reiki_honbun/j700RG00000190.html
丹波篠山市国民健康保険特別会計(事業勘定)財政調整基金条例
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/section/reiki_int/reiki_honbun/j700RG00000189.html
という条例もあります。これは、国保会計で病院などを設置している場合に、一般的な国民健康保険事業と経理を分離するために勘定を分けている例です。
さて、定額運用基金ですが、土地開発基金が主な規定例となっています。
北斗市土地開発基金条例
https://www.city.hokuto.hokkaido.jp/reiki_int/reiki_honbun/r297RG00000143.html
(基金の額)
第2条 基金の額は、3億円とする。
2 必要があるときは、予算の定めるところにより、基金に追加して積立てをすることができる。
3 前項の規定により積立てが行われたときは、基金の額は、積立額相当額を増加するものとする。
(処分)
第7条 市長は、公用地等を取得する場合において、予算の定めるところにより、第2条第1項に規定する額を超える額について、基金の一部を処分することができる。
2 前項の規定による処分が行われたときは、基金の額は処分額相当額減少するものとする。
つまり、この市では、超過積立をしないと、土地購入のために取り崩せない規定となっています。
これは、基金を取り崩して、歳入歳出予算に計上し、公有財産を購入するものですが、土地開発基金にはもう一つの顔があります。
岩見沢市土地開発基金条例
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/reiki/iwa/reiki_honbun/e300RG00000454.html
(管理)
第4条 基金に属する現金は、確実かつ有利な方法により保管しなければならない。
2 基金は、直接土地を取得し、管理する。
3 基金で取得した土地を、第1条の目的に使用するときは、当該使用する会計の予算をもって基金から買い取ることとし、この場合の価格は、取得価格に取得時から引渡し時までの利子相当額を加えた額とする。
基金が直接土地を取得することができることとなっています。
これは、いわゆる決算統計(地方財政状況調査)の記載要領にもありますが、
2 「F の管理状況」には、「n年度末現在高F 」について、その管理状況を入力する。この場合、「2信託」には、投資信託及び貸付信託を含む。また、「3有価証券」及び「5土地」には、取得価格を計上する。
と、取得価格が計上されることとなっています。
財政上は、含み益や含み損が分かりにくいものとなっており、また、当初の取得目的が不明確等であったため、買い戻しされないまま長期間経過しているものもあるようです。
市土地開発基金の整理等について(野洲市)
https://www.city.yasu.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/6/280218tochikaihatsu.pdf
健全化判断比率上はどうなっているんでしたっけ…
ご意見ご感想お待ちしています。
画像の出典:File:W tonosamabatta5061.jpg - Wikimedia Commons (free-use)
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