見出し画像

SixTONES 「Everlasting」 における転調の意味について 考察

転調ってお好きですか?私は好きです。(自己完結)
私は音楽が耳に入ってくると無意識に調性を気にしてしまう性なのですが、こと「Everlasting」においては歌詞だけでなく調性自体も歌に意味付けをしていると考え、この感動を伝えたい!!と書かせていただきました。

「Everlasting」の転調は2回ある!

このnoteにアクセスしてくださっている時点で既に聴いてくださっている方がほとんどだと思いますが、まずはこちらを聴いていただきましょう。どこで転調しているでしょうか!?


はい、素敵でしたね〜〜☺️☺️☺️

では早速どこで転調しているのか答え合わせ!!
最初からしばらくずっと、手拍子orパーカスがあり思わず体を動かしたくなるような雰囲気ですが、京本さんの『Woo~、We gotta go〜』で少し雰囲気が変わりますよね。ここが1つ目。
ニ長調(D-dur)というシャープ2つの明るい調から、『う〜ううう(Woo~)』でハ長調(C-dur)というシャープもフラットもついていない明るい調に転調します。

2つ目は、京本さん『The memories keep on shining bright~』のところ。この『shining』の『しゃあ〜いにん』の『あ〜』の母音中に音が上がるところ(細かい)、ここでハ長調から再びニ長調に戻っています。つまりCメロだけがほぼまるまるハ長調になっているんですね。
※直前のジェシー「eye~」のところのコードもニ長調の和音ですが、ここは一時的なもの&転調の匂わせだと判断しました。

ちょうど、転調してハ長調になっている部分を取り出したのがこちらのCM
↓↓↓

歌だけでも素敵ですね〜☺️☺️☺️

この転調、最初の調にすぐ戻ってくることもあってあまり違和感を感じないと思います。
しかもこれ実は、別に転調しなくても成り立つメロディなんです。1回目は『う〜ううう』を抜いて元のニ長調のまま歌い続けられるし、2回目は『しゃあ〜いにん』の『あ〜』で上がらず同じ和音のまま行けばずっとニ長調のまま転調しません。それで試しに歌ってみてください、違和感ないと思うので!
(2回とも転調しない場合どうなるか、演奏動画を付けたいところでしたが時間が無かった……すみません)

じゃあなぜここだけハ長調にしたのでしょうか?


※ここから転調・調性の知識の説明なので、手っ取り早く「転調はどういう意味なの!!」って知りたい方は『調性と歌詞との関連性』という見出しのところまで飛ばしてください

転調について

「五度圏表」
引用元:五度圏表とは? 使い方を7種類解説! ダウンロード可能!|Junya Watanabe Official Site 

はい、急に出てきたこの図は「五度圏表」といい、各調号の関係性を表しています!関ジャムというテレビ番組をご覧になっている方は番組内で見たことがあるでしょうか。
水色の円の外側のアルファベットが長調、水色とピンクの円の間にある「m(miner)」がついている短調です。

まず関ジャムでヒャダインさんが解説してくださっていた内容をざっくり説明いたします。(録画していないので記憶を頼りに)
“この表の中で、近くにある調ほど構成音が似ていて、転調しやすい調”ということです。言い換えると位置が離れた調に行けば行くほど転調しにくく、繋げるのが難しいということですが、その分転調がドラマティックになり印象に残りやすかったり、インパクトを与えやすい、という効果があります。


J-popあるあるの、”Cメロor落ちサビ→ラスサビで半音上がる転調” は、五度圏表でいうと左回りに4個飛ばしです。4個も飛ぶということはつまり、これは割と劇的な転調なので盛り上がるんですね。
例えばパッと思いついたのが、
・ポルノグラフィティの「アゲハ蝶」(Am→B♭m)
・東京事変「群青日和」(E♭→E)
・King Gnuの「白日」(B♭m→Bm)
とか。キャッチーでわかりやすく、ヒット曲にも多い転調のパターンだと思います(多分)。

SixTONESに限ってみても
・僕が僕じゃないみたいだ(G♭→G)
・マスカラ(Em→Fm)
・フィギュア(A♭→A)
・Curtain call(E♭→E)
・ってあなた(C→D♭)
もっとあるかも……これらも全部その半音上がる転調です。
(RosyとPapercutの転調はこれじゃないです)(あの2曲は変態です)(褒めてます)(好きです)

そして今私が話したいEverlasting、これもそのJ-popあるあるの転調ではないのです!(でもEverlastingは変態じゃないです!)(RosyとPapercutは変態です)
だからこそEverlastingの転調に興味を持ち、考えるきっかけになりました。

じゃあEverlastingはなぜ変態ではないのか

それは「ニ長調↔︎ハ長調は位置が近い調だから」です。
五度圏表の一番外側の円(長調)を見て、「D」のところと「C」のところを探してみてください。近くにありますよね?
だから違和感をあまり与えず、自然に転調しているように聴こえるのです。

調性のイメージ


曲を聴いた時に、歌詞をよくわかっていないor歌詞がない曲でも、「明るい」「暗い」「嬉しい」「悲しい」など、感じるイメージがありますよね。そのイメージを決定付ける要因として、テンポやリズム、メロディなどもありますが、調性は特に大きな役割を果たしています。『長調↔︎短調』の違いが1番わかりやすいかと思います。

また長調↔︎短調の違いだけではなく、調性にはそれぞれ個々にイメージ・性格があります。つまり同じ明るい曲であっても調を変えると全くイメージが変わる、ということです。

24個の全ての調に異なる性格がありますが、ここではまずEverlastingで出てくる2つの調について紹介します。

●ニ長調(D-dur、D Major)
・調号:♯2個(ファ、ド)
・主音:レ
・イメージ:喜びの頂点、祝祭的、ファンファーレ
・色:黄色

●ハ長調(C-dur、C Major)
・調号:なし
・主音:ド
・イメージ:単純、素朴、安定
・色:白黒
出典:  https://www.hakase-ac.jp/column/818/

これは諸説ありますが、表現が違うだけで雰囲気はだいたい似てます。ご興味があれば調べてみてください。

調性と歌詞との関連性

それでは上記の調性の意味を踏まえて、歌詞を改めて読んでいきます!

まずは冒頭、ニ長調のところ。
「喜びの頂点、祝祭的、ファンファーレ」

Uh, Till the end of time

Yeah, Uh, Everyday I wake up, See the world that’s brand new
Some places I can never go back for good
Oh baby, There’s no going back (Yeah)
Oh baby, There’s no going back

Right, Nothing lasts forever, Yeah, Nothing but our love
I wanna build a brighter future for the world to come
Oh baby, There’s no going back
Back into time

Reaching out with my hand, Maybe it’s far away
君が負けそうな時には
Don’t worry, We’ll be right here, Hey

どんな時も Won’t let it go, We can make it through the night
明日へ繋いでくよ Till the end of time (The end of time)
Stay, Wanna stay with you so we can make this alright
永遠に続いてくよ
Till the end of time (The end of time)
「Everlasting」1番

調のイメージを踏まえて歌詞を見ると、否が応でも結婚式を連想してしまいますよね!!!「病める時も健やかなる時も」って感じ……☺️だからMVのあのロケ地と白っぽい衣装は解釈の一致です。

(すみませんこういう歌詞自体の解釈まじでできないし、基本的に歌詞を音として聴いてしまう者なので2サビまでの所は他の方のブログやら何やらを参考にしてもろて)


ということで本題の!!ハ長調部分を見ていきたいと思います!!
「単純、素朴、安定」

We gotta go 君と生きていく (Woo)
いつまでも Stay with you
変わりはしない 終わりはしない
When I close my eyes
The memories keep on shining bright
「Everlasting」Cメロ

はい出ました。「君と生きていく」
歌詞全体をざっと見ても、出てきた言葉の中でいちばん直接的な言葉だと思うんです。
「どんな時も Won't let it go, We can make it through the night」であるとか、
「Stay, Wanna stay with you so we can make this alright」であるとか、
「This song will never fade away even when we are gone」であるとか、
それらしい素敵な表現はたくさん出てくるけど、比喩が入っていたり単純に長かったり、ある意味遠回しな言い方だと思います。あと英語が混ざったり全部英語だったり。

それに対しての「君と生きていく」!!!7文字!!母国語!!どストレート!!単純明快!!
プロポーズの言葉のようにも、決意の言葉のようにも取れます。これを京本さんが歌っていると言うところも痺れますね……このnote内でずっと京本さんとかよそ行きに言ってますが私強火きょも担なものですみません。過去にどさくさに紛れてこんなツイートもしてますしね!!!


すみません。話が逸れましたが、ニ長調と比べるとハ長調がより地に足のついた感覚なのではないかな、と私は考えました。「単純、素朴」って言うと頭が良くない、知性や精神性が深くない、哲学的でないと言ったニュアンスも込められるのですが、ここでの「単純、素朴」は「お互いに飾らない、単純で素朴なありのままの自分でいられる関係」という風に解釈したい。
そして「安定」している、つまり浮き足立ったり何かの勢いだったりでその言葉を発しているわけでは決してない、最も現実的なところで将来を真っ直ぐに見つめて「君と生きていく」とおっしゃっているわけです。(※大我さんが)

やばくないですかこれ??この思考に行き着いた時ほ〜〜んと鳥肌立ちましたもん私。それで上のツイートしちゃったんです。すみません。

また、今まで語ってたのは「君」が聴いている自分だった場合の解釈です。でもこの「君」はSixTONESのメンバーとも取れるし、ファンやSixTONESの周りでお仕事をしている人たちとも取れる。つまり「君」=”team SixTONES” と取ることも十分できます。

そうして考えてみるとまたバカデカ感情が湧いてきてしまいます😭これ以上「君と生きていく」を語るといささか冗長になってしまいそうなので皆さんそれぞれの心の中にお任せします。

そしてもう一つ好きなところ「いつまでもStay with you」
なんですと?!?!いつまでもあなたと一緒にいるよ?ですと!お主!誠か?!?!
ここの好きなところは「Stay with me」じゃなくて「Stay with you」なところ。相手をいちばんに思えるのって素敵ですね…私は未熟でまだその境地に辿り着いていないと思います。まじでほんと、は〜〜きょも素敵🥺

すみません取り乱しました。
「変わりはしない 終わりはしない」
この自分に言い聞かせているような感じの歌詞をジェシーが歌っているのも良いですよね。"あの自分や未来に期待しない、期待しなければ叶った時嬉しいから"という人生観のジェシーが、「変わらない 終わらない」よりさらに強調されている「変わりはしない 終わりはしない」という表現を、あの甘い声で歌っているところが大変素敵でメロだと思います。

最後に「The memories keep on shining bright」
『しゃあ〜いにん』の『あ〜』中の転調がここでとても生きてきます!!「shining」という言葉でまさにキラキラして輝かしい調であるニ長調に転調し、「bright」でさらに地声で高音(シ)まで上がる。歌詞と転調のタイミングが見事に連動しているのです。
つまり歌詞だけでなくニ長調に転調していること自体がshining brightだということです!それに留まらず、そもそも京本さんのあの大変な美声でのフェイクがshining brightであり、あのブライトなフェイクを出すために仏になったりガムテープ踏んづけたりする京本さんのこだわりと努力自体がshining brightであり、同時に他のメンバーの歌が入ってくることもteam SixTONESを象徴しているようでshining brightなんですよね!!(shining brightのゲシュタルト崩壊)

そして最後ニ長調に戻ってきます。

(〜shining bright)
どんな時も この物語は途切れない
明日へ繋いでくよ Till the end of time (Till the end of time)
Stay 僕らの日々は色褪せない
永遠に続いてくよ
Till the end of time (The end of time)

My life is your life (Alright)
Your life is my life (Alright)
My life is our life
Until the end of time (Until the end of time)

My life is your life
Your life is my life
My life is our life
Until the end of time
「Everlasting」大サビ


ハ長調以外の部分は解像度が低いどころか何も考察してなくてすみません!
ちなみに、歌詞の和訳と解釈についてはこちらaimさんのブログが大変参考になるかと思います。aimさんのブログが大好きです。(告白)


「Lifetime」との比較

同じく出光興産のCM曲でありよく比べられているLifetimeとEverlasting。雰囲気や「人生」「永遠」みたいなテーマも被っていて大いに似ているのですが、歌詞や曲調も少しニュアンスが異なりますよね。

この2曲、調性も比べてみるとなかなか面白いのです。

「Lifetime」はホ長調(E-dur)シャープ4つの調で、最初から最後まで転調はありません。その調性の意味は、

●ホ長調(E-dur、E Major)
・調号:♯4個(ファ、ド、ソ、レ)
・主音:ミ
・イメージ:明るいけど美しい、繊細、高貴
・色:ピンク、薄い赤紫
出典:https://www.hakase-ac.jp/column/818/

ここでもう一度、この図を見ていただきたい!

右側に書いた青い矢印、これは何を意味しているかというと、矢印の方に行けば行くほど「精神性が加わっていく」「知性、内面性が加わっていく」ということです。
これに沿って考えると、ハ長調はいわば”めちゃくちゃ現実”であり、ホ長調はかなり精神性が深く、”深い愛”を感じる調性であり”愛の調” とか呼ばれたりもします。その間にあるニ長調は”現世との良いバランスが取れている状態” です。

つまりLifetimeのホ長調は、より神聖・崇高なイメージの調性であるということです。Everlastingのニ長調はハ長調とホ長調の間にあたり、ホ長調より”日常” に近いということが言えると思います。
これは歌詞と照らし合わせてみても納得であり、ここでも調性と歌詞が関連していたのか!すげえ!って気持ちに私はなりました。(語彙力)


それから先ほどEverlastingのMVのロケ地と衣装について述べましたが、そちらは天井が低くて割と親しみやすいような教会(?)であり、衣装も白だけどカジュアル寄りなのに対して、
Lifetimeはロケ地が天井が高く光が差してくる聖堂みたいな教会であり、衣装もスーツっぽいフォーマル寄りなもので、その辺も大変解釈の一致だなあと思いました。


最後に

私はクラシックをやっているのでこういう知識自体はありましたが、正直なところ、自分から能動的にある曲の転調の意味についてこんなに真剣に考えたのは初めてでした。気づいたら7000字超えてたし。
それというのも、team SixTONESはいろんなことに秀でた人がいて、みんないろんなことを考えながらSixTONESを何十倍、何百倍にも楽しんでいて素敵だなあ、私も私なりに何か考えられることはないかなあと思った結果なんだと思います。

書いていく過程で新たな発想が浮かんだり、底無しに楽しめることを改めて実感しました。SixTONESの曲って本当にすごい!!これからもSixTONESのおかげでどんな素晴らしい曲たちに出会えるのか楽しみです。今回考え尽くしたEverlastingだって、共鳴が発売された後ももちろん聴いていきますし、何十年経ってもずっと聴いていきたい。何しろ““Everlasting””ですからね!!!←


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?