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【ボウケンジャー】第25話~第30話

Task.25「禁断の果実」

 ダークシャドウ、あんな古式ゆかしき和風の感じだけれど、シズカは案外現代っ子なのであった。お仕事モードの時はデキる女秘書みたいなコスプレをしているし、別に必ず純日本的な生活をしなければならないというわけでもないようだ。
 シズカはあのアジトで暮らしているようだが、ヤイバ様やゲッコウ様はご飯やお風呂をどうしているのだろうか。もしかしてヤイバ様もオフの時は人間体になったりするのか。そもそももともと人間なのか? ガワ的な見た目が平常なのか? もしかしてシズカは人間のコスプレをしているだけなのか? 謎は深まるばかり。

 賢いモードのアクタガミがどこまで計算していたのか、今となっては知る術もない。映士が自分を殺せないであろうことを、もしかしたら悟っていたのかも。

 むしろ勝った奴なんているのだろうか。
 唐突に『リバイス』の話をするが、赤石とギフが実行せしめんとしていた「人類の戦略的退化」の見本が、この知恵の果実を失ったアクタガミの状態なのだろう。他者から与えられた指示と利益を喜んで受け入れ、疑問なく従う様子。滅ぼすためには効率が悪そうだが、支配するためにはちょうどいい加減になりそうだ。


Task.26「ガラスの靴」

 王子姿もドレス姿も似合うさくらさんのお美しさよ。話数を重ねながら見せてきた凛としたたたずまいがさらに綺麗さに拍車をかけている。さすがです。
 最近の名作絵本シリーズはだいぶ少女漫画寄りの可愛らしい絵柄になっていると聞くが、菜月の読んでいるものはすこしレトロな雰囲気。といっても『ボウケンジャー』自体が2006年の作品なので、その頃にはまだレトロ系の方が主流だったようにも思う。時のたつのは早いものだ。

 クロリンダ嬢については不勉強にも存じ上げなかったのでググるなどする。ロッシーニのオペラ版での義姉の名前とのこと。
 ともあれ、クロリンダは新たな生贄を王子の元へ運び続けているがゆえに、王子に侍ることを許されている。彼女はそれを幸福だと信じていたが、さくらとの出会いにより、自分のそれも他の生贄たちと同様、押し付けられた義務的な幸福感であることに気づく。

 ボウケンジャー各位が至上命題としている「自分だけの宝物」。それを探す人生の道程こそ冒険である。他人から与えられるのではなく、自ら追い求め、見つけ出すからこそ意味がある。菜月がハザードレベルだけでなく、背後の物語を含めて「宝物」をみとめるのと同じことだ。


Task.27「風水占いの罠」

 絶対当たる風水盤VS絶対信じない男。軍配はあっけなく風水盤に上がり、明石は思いつく限りの不運に見舞われてしまう。出自的に陰陽道にも造詣が深い映士だけが、その効力を理解しているギャップがよい。見た目だけで言ったら明石とタメを張るくらい占いなんて信じなさそうなのだが。

 時折発揮されるチーフの小市民ムーブ、完璧人間の明石にも弱みがある事が分かって嬉しくなってしまう。おそらく真澄あたりとは同じ感想を分かち合えるのではなかろうか。


Task.28「伝説の鎧」

 あんなにガシガシ使っているから忘れそうになるが、本来携帯電話といえば精密機器のはずである。耐ショックだの耐水だのは冒険者仕様でがっつり対策してあるだろうが、いくら予防線を張ったところで壊れるときには壊れるのだ。……とはいえ、昨今のきな臭いネガティブ情勢を考えると、試作機の一つでも牧野先生の手元に置いておいて欲しかったのが正直なところ。あいにくそんな都合の良い予備は無く、真墨はひとまずお留守番である。

 残念ながらおとなしくお留守番をしているタマでは無い真墨、アクセルラーもなしに生身で現着。昔取った杵柄に加え、先輩たちの一筋縄ではいかないところをしっかり学習して成長しているようだ。正攻法ではなく搦め手ばかり真似していくのが真墨らしくて微笑ましい。

 クエスターロボ・エリートはなかなかかっこいい外見をしている。ジャリュウなんかは地中に専用のドックを持っていたが、クエスター組はどこで巨大ロボの設計・製作を行っているのだろうか。たった二人で組み上げたというだけでも驚嘆すべきところである。体力やら腕力やら、体内のゴードムエンジンがいい仕事しているのかも。
 それにしても今回の真墨はお手柄であった。スーツや組織に依存しなくとも自力でミッションをこなせる胆力と、冷静に敵の状態を判断し、仲間の力も借りながら頭を使って追い込んでいく知力。まだまだ新人と思っていたが、そもそもボウケンジャーに入れるくらいなのだから、元々のポテンシャルが高いのだ。何もわからない菜月と二人三脚でトレジャーハントをしてきたという実績もある。まだまだ伸びしろがありそうだ。


Task.29「黄金の剣」

 冒険者のなれの果てであるリュウオーンと、今まさに冒険のただなかにいる明石。人間関係のトラブルもある意味、冒険に付きまとうリスクのひとつである。大がかりなアタックを敢行する際には、自分一人の力では限界がある事もあるだろう。その点、明石はよい仲間に恵まれた。リュウオーンの部下たちが離れていった理由がリュウオーン自身にあるのか、それとも部下たちの側にあるのかはわからないが、きっと適切なコミュニケーションが取れていなかったのだろうと予想する。誰も信じてくれないレムリア文明をひとり追い求める五十嵐博士の姿は、きっとかつてのリュウオーンに似ている。

 告白シーンと見まごうチーフの説教。最高です。

 何を持って正しいとするかの判断基準が問題である。時代背景によってはリュウオーンや五十嵐博士こそ正しいとされるようなパターンもあったかもしれぬ。現代のわれわれから見ても一番「正しい」魂を持った明石が剣に選ばれたということは、レムリア人とわれわれの「正しさ」はそこまでかけ離れたものではないのだろう。奇跡的なことである。

 もはや五十嵐博士のライフワークの物証となってくれるのはこの黄金の剣だけなのだ。それさえ持ち帰れば、博士は自らの人生を世に認めさせることが出来る。
 しかし剣は明石を選んだ。博士の生涯をかけた研究はわずかに残された手掛かりを失ってしまう。五十嵐博士がレムリアの存在について一人で納得し、満足するならば問題はないのだが、わざわざ書籍を上梓するくらいだから他の人にも知ってもらいたいと思っているのは明らかであり、となると今回の件はかなり手痛いはずだ。ほかにもリュウオーンの壊し残した遺跡が現存していればよいのだが。

 ガジャ様も大抵フットワークが軽い。しかも手に入れたプレシャスを使いこなす賢さも持っているからたちが悪い。大神官ともなるとなまなかな頭の良さでは就任できないのであろう。とぼけた顔をして、実はなかなか手ごわい相手かもしれぬ。


Task.30「怒りの黄金魔人」

 前回拾った剣がまさかの大変身である。しかもかわいいタイプだ。言葉も「ズ」「バ」「ー」「ン」の4音しか使えない。それで何となく意思疎通できてしまうのだから不思議である。
 正しい魂の持ち主である明石にひたすら懐いている様子が最高に微笑ましい。シノビマルちゃんらといい勝負である。

 前回のぼろぼろ天使から一転、ゴードムエンジン入りの幻獣はピカピカボディでやる気満々の御様子。この間は、長年放置されているうちにエネルギーが目減りしてしまったということなのかもしれぬ。となれば、ゴードムエンジンで無限の動力を手に入れたこの姿こそ、幻獣の本来の姿か。

 無邪気な子どもこそがズバーンの想定する「正しい魂」の持ち主であるというのなら、お守りよろしく明石にくっついているのも何となく納得する。古代レムリアでは、正しい魂を持つ要人やその家族・子どもらのボディーガード的な役目も任されていたのであろう。

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