【シンケンジャー】第27話~第29話
第二十七幕「入替人生」
人間をお宝や貴重品と入れ替えてしまっては、アベコンベの目論見は成立しない。あくまでも不用品に人間の魂を入れてそのまま処分させるのが目的なので、フリーマーケットの商品に術を掛けるのは若干不本意だったかも。
その点恐ろしいのが、空き缶にされた少女と寿司にされた源太である。前者は当然、不用品というかゴミである。リサイクル業者が回収して、丁寧にひとつずつ手でつぶしているようだ。どの瞬間まで少女の魂が自我を保てるのかは定かではないが、地獄の順番待ちはそれだけで恐怖であるし、缶を潰されたタイミングで魂も絶命するのか、それとも全身を潰された苦痛のまま更に生かされ続けるのか、想像するだけでぞっとする。源太の寿司は言わずもがなだ。何といってもナマモノである。生きながらにして干からび、鮮度が落ちて傷み、さらには捕食者にも狙われる恐怖よ……。
被害者の数は多いうえに把握も難しく、入れ替えられた物品によってはいまにも危機が迫っているかもしれない。源太寿司という揺るがぬ実例がある以上、千明とことははスピード勝負を求められる。
そこで二人が実行したのは、アベコンベの能力を使い、逆にアベコンベ自身の身体を乗っ取ってしまおうという計画である。一時とはいえシンケングリーンの肉体を明け渡す危険な賭けではあったものの、自らの術中に嵌まったアベコンベはことはの熱心な説得(脅迫?)に負け、すべての人間にかかった術を解除する。年下組の作戦勝ちである。ストッパーになる年上組がいないからこその若干無茶な試みではあるが、結果オーライだ。
第二十八幕「提灯侍」
恐怖心を克服するには、別の感情で上書きしてしまうのが手っ取り早い。単純だが源太の性格にはよくマッチした彦馬さんの手腕により、源太は改めて寿司の旨さに気づき、トラウマを乗り越えるのであった。千明たちの「みんなで一緒に苦手を乗り越えて頑張ろう」作戦も悪くはないのだが、一歩を踏み出すにはすこし後押しが弱かったか。その点彦馬さんは力づくであるからなあ。
どうにも食えない貴族、筋殻アクマロ。腹に一物抱えていそうな雰囲気もあるものの、乗船許可を出したドウコクは、いつでも処刑できると踏んでいるのだろうか。
アクマロもアクマロで、わざわざドウコクに取り入らねばならない事情があるのか? かなりの実力者のように見えるが、名よりも実を取るタイプか。ドウコクやシタリの陰に隠れていれば、矢面に立たずに好き勝手出来るものなあ。
第二十九幕「家出提灯」
大和屋先生のこの手の話を見ると絶対呟きたくなる魔法の言葉、「似てる二人は喧嘩する」。さきの銀魂オンシアター2Dバラガキ篇も大変ようございました……。
歯に衣着せぬ正義の提灯、ダイゴヨウ。だが、その真っすぐすぎる物言いは、時に相手を傷つけてしまうこともある。もちろん忌憚なき意見や相手のためを思う諫言は尊重されるべきであるが、ダイゴヨウにはまだそのあたりの機微がよくわかっていなかったようだ。欠点の指摘とアドバイスは似て非なるものである。
ゴールド寿司を飛び出したダイゴヨウは源太を見返すため、エリート志向の転職活動にいそしむ。が、職歴もなく生後一週間の提灯を雇ってくれる企業はなかなか見つからず、最終的には焼き鳥の屋台にぶら下がっているところを発見されることになる。物陰に隠れた殿がおもむろにショドウフォンを取り出し、源太に「至急焼き鳥を買ってきてほしい」と真顔で電話をするのが何とも言えずよい。仲直りせよとも迎えに行けとも言わない、遠回しな思いやり!
源太の謝罪を受け入れ和解し、またゴールド寿司へ戻って来たダイゴヨウ。ところが今度は逆に、奥歯にものの挟まったような切れ味の悪い態度になってしまった。教えに対して素直なのは良いことであるが、人生勉強はまだまだこれから。がんばれダイゴヨウ、君の照らす未来は明るいぞ。
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