【シンケンジャー】第34話~第36話
第三十四幕「親心娘心」
ハワイに住んでいるという茉子の両親。今回は父親が彼女を迎えに来るお話である。危険な侍の「仕事」をやめさせたいのがその理由で、「茉子が抜けた分の穴は自分の会社でサポートする」などと強気な発言で強引に話を進めようとする茉子パパ。だが、己の選んだ道に(その始まりはどうあれ)納得している茉子は、戦う姿を父親に見せることで、これからもシンケンジャーの一員であり続けることを納得させるのであった。
ハワイでさきの外道衆との戦いによる心身のダメージを療養していた母親とも再会し、わだかまりは快方へ向かう予感。かつて茉子母の消耗はあまりにも深くひどく、それは厳しい実家にいては癒えないタイプの傷であったようだ。彼女を安全なハワイで回復させるため、両親は身を切るような思いで茉子を実家に託した(手離してくれなかったとも言う)。幼い茉子は自分が置いて行かれたことを辛く感じており、そのショックは大人になった今でも彼女の胸の中に残り続けている。簡単に消える類の記憶ではないだろう。またその体験は、お嫁さんを夢見て幼稚園でアルバイトをする彼女の性格の形成に一役買っているように思う。無かったことにするにはあまりにも深く、彼女の人生に食い込みすぎた楔。茉子は両親を許さなくたって良い。だが、許して手を取ることもまた、彼女に与えられた選択肢の一つである。
『シンケンジャー』の親子話といえば、ぱっと第二十一幕「親子熊」が思い出される。そういえばあの時も茉子は話にがっつり絡んでいたなあ。父親に反発しながらも尊敬している千明の姿は、彼女の目にどう映ったのだろうか。
第三十五幕「十一折神全合体」
若き侍たちは彦馬の招集に応え、それまでの人生を全て中途になげうって志葉家にはせ参じた。明日のシフトも、明後日の遊びの約束も、すべておじゃんである。それはいつも熱心に務めている流ノ介も例外ではない。同じ年ごろの歌舞伎役者・新太郎とともに、なんとか開催にこぎつけた若手の歌舞伎会。その大切な予定を、流ノ介は已む無く途中放棄することになったのだ。
会の期日が迫り、会場辺りを思わしげにうろつく流ノ介。だが、彼が侍の道を捨てて歌舞伎の世界へ戻ることはない。池波流ノ介が再び板の上に立つのは、侍としての自分の勤めがすべて終わった後のことだ。
自分の演技に納得がいかない新太郎のもとへ、面で顔を隠した一人の役者がおもむろに現れ、舞い始める。役者は名乗りもしないどころか、声ひとつ発さない。だがその舞の所作から、新太郎には正体がすぐにわかる。それだけ今までずっと一緒に切磋琢磨してきた仲なのだろう。
はじめは「流ノ介は歌舞伎を裏切った」と恨み言を言っていた新太郎だが、流ノ介の舞を見た後には「いつか戻ってこい」と柔らかな声をかけてくれる。流ノ介の動きは、歌舞伎を見限り、足ぬけした者のそれではない。そのことが、「流ノ介は何か事情があって表舞台から降りねばならなかった」「流ノ介は今でも歌舞伎の世界に与するものである」という二つの真実を無言のうちに語っているのだ。
第三十六幕「加哩侍」
寿司屋の目利きの濃厚シーフードカレー、ぜったいおいしいもんな……。
だが、カレーの評判が上がるのと比例するように、寿司の注文は減っていく。ネタは用意されているものの、しばらく握りなど作りもしない日々が続いていたようだ。
自分で電子モヂカラを開発してまでシンケンジャーとなった源太である。夢は自分の力でつかむもの。健闘を祈りたい。
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