グーグルの検索結果ってこんなやばかったっけ?に関する考察・感想
発端
高価で希少なナイフを検索しようとしたところ、偽の販売サイトが検索結果の上位に表示されてしまうという問題に直面した人の記事を見つけました。
この問題を、SEO(検索エンジン最適化)に関する知識を用いて分析してみます。ただし、実際の検索結果を直接見ているわけではないため、ここで述べるのはあくまで仮説ベースです。
偽サイトの質が正規サイトを上回っている可能性
これには、Googleが順位を決める際の2つの要因が関係していると思っています。
テクニカル面:ユーザーが快適に見られるサイト
Googleの検索順位決定アルゴリズムは常に進化・変化を続けています。(コアアップデートと言われています)
なかでも昨今はテクニカルな面で対策しているか否かが、検索順位を上げる上では重要となっています。
ページ表示速度
モバイルフレンドリー(スマホでちゃんと表示できるか)
構造化データ
これがいわゆるSEO対策と呼ばれるものの1つです。
Googleは、ユーザー体験がよいサイトを上位表示していて、上記はユーザーエクスペリエンスを保証する指標となっています。
もし偽サイトのほうが早くてスマホ対応していて、正規サイトが動作が遅く、対応していなかったら、偽サイトのほうがサイトの使い勝手でよいとされるでしょう。
コンテンツ面:有益、必要なコンテンツが載っているか
前述のテクニカル面は、アクセス時に快適に見られるサイトになっているかを評価しています。
ユーザー体験はサイトの挙動だけでなく、中身も重要ですよね。サクサクだけど、必要な情報が載っていなかったら、意味がありません。
商品ページにおいては、
製品情報がわかりやすい
販売元が明記されている
ユーザーレビュー
などが重要です。偽造されたレビューや販売元情報が記載されている場合でも、偽サイトが検索結果の上位に表示される可能性があります。(ただし、文章の正確性は評価されており、日本語がおかしい場合、評価は下がります)
Googleによる偽サイト対策
余談ですが、Googleはどのように偽サイト対策をしているかについて少し解説します。
まず、コンテンツの精査が行われます。自動生成された文章や、ユーザーにとって価値のない情報が多く含まれている場合、ペナルティが課されます。また、意味のない文章や、ページ下部に無意味に多くの単語が記載されているような場合も不適切とされます。
また、Googleへの偽サイトの通報による手動ペナルティというのもあり、悪質な方法で上がったサイトやフィッシングサイトなどは手動と自動の2つで淘汰されていきます。
ただし、サイトだけでも億単位であり、検索単語のバリエーションは実質無限なので、すべてのサイトが対策できているかというと、そうではありません。
ここまでのまとめ
検索順位を上げる要素として、快適性とコンテンツの2軸がある。
もし偽サイトのほうが挙動がよくてコンテンツがよいとGoogleの判断軸で評価されたら偽サイトが上位にくることはあり得る。
一応Googleも頑張っているけど限界がある
偽サイトに対する対策
どんな原因があって検索結果が汚染されているかを解説してきたので、ここからはそれに対する対策を記載します。
販売者サイドの対策
今回のように、偽サイトの順位が上がってしまったら、対策としては
検索広告を出稿して事実上の1位を獲得する
適切な機関に通報する
SEO対策を実施する
の3点が考えられます。
検索広告を出稿するというのはゴリ押しのように見えますが有効な手立てです。
実際、指名検索を確実に巻き取るために自社名で検索されたときに広告が出るように設定している会社は多くいます。(ただし、極端に少ない場合は停止されてしまいます。)
本件では希少性が高いナイフについてということで、競合が出稿していなければ低単価で抑えられるでしょう。
ただし、これにも注意が必要で、悪意を持った人間が偽サイトの広告を出稿するという問題も考えられます。
ですので、100%安心できるとはいえません。
2つ目の適切な機関に通報する、というのはGoogleや悪質ECサイトホットラインに対する通報を指します。丁寧にまとめた記事があるのでこちらを参照ください。
3つ目のSEO対策をする、というのが本質的な答えになってしまいます。
コンテンツを拡充する、検索順位が上がるようテクニカル面を対策する、など正当に勝負していく方法です。
これにも少なくないお金と時間がかかります。
サイトを改善するなら制作費用がかかりますし、大量の商品を扱っているならそれぞれのメンテナンスも必要です。
利用者サイドの対策
利用者サイドはどう対策していくかというと、下記のような手段が考えられます。
各所に通報する
コミュニティで共有する
販売者に注意喚起する
フィルタリング機能を使う
1に関しては前述の通り。誰かがやってくれるかも、ではいけません。
2つめのコミュニティで共有するについても、自分たちの趣味を守るために、啓蒙活動が必要です。誰かがやるのではなく、あなたがやるのです。
3つ目が「販売者に注意喚起する」これが一番重要だと思っています。
自分のサイトが何位なのか、検索結果はどんな感じなのか知らない販売者は多くいます。
自社サイトをとりあえず更新しなきゃ!と自社ばかり見ていて、検索結果をちゃんと見ていないのです。そして、偽サイトを踏んでも「ああ、偽サイトか」で終わってしまいます。
要は、検索する人の立場に立って考えていないからですね。(仕方ない)
また、時にはこのような事態になっていることを知っていてもどうやればいいのかわからない人もいます。
4つ目が、フィルタリングを使う方法。広告ブロックアドオンである「uBlock」や「AdBlock」には、フィッシングやマルウェア、悪意のある広告をブロックする機能がついています。
実際偽物らしきページを見つけてアクセスしたところ、ブロックが行われました。
結局Googleは悪なのか?
Googleだけが悪ではないと私は思います。
Googleは、対策してきたけど間に合ってないというのが現状です。
前述の通りコアアルゴリズムアップデートによって日々進化しています。
ですが、Googleが決めた基準による”質が高いもの”を正としている現状では、正規サイトの質が偽サイト並みに低い場合、意味を成しません。
悪意を持って偽サイトを作っている者
偽サイト並みの価値しかない正規サイト
偽サイトを選別しきれないGoogle
それぞれに原因があるのではないでしょうか。
悪意を持って偽サイトを作っている者は一番罰せられるべきですが、国際的に行われていることも多く、逮捕によって沈静化することは現状考えづらいです。
偽サイト並みの価値しかない正規サイトに関しては、販売者サイドの対策の部分で述べたとおり、いくつか対策があるのでそれにトライしていくしかないと思います。
偽サイトを選別しきれないGoogleくんは、頑張ってくださいというひとごとしか言えませんが、Google検索のシェアが下がると広告業が減益になるので、それなりに頑張ると期待しておきましょう。
終わりに
普段そこまで不正サイトにくわしく突っ込んでやっているわけではないので、詳しい方によるコメントで補足があればいただけますと幸いです!
最後までご覧いただきありがとうございました。 サポートしていただけると、今後の活動の動力源になり、タイピングが10%早くなります。