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ぼっぱら堂禍異談

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この御噺は【完全に】フィクションであり、実在の人物・団体とは【絶対に】関係ありません。 しかしながら関係を想起・邪推されることは読者様の御自由ですので、作者の手に負える範囲ではあ…
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#大正浪漫

藪ヶ池の怪【其ノ壹】

前回の御噺 【礼】 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n83e63fd2cfe5 ぼっぱら堂禍異談【除夜】 〜ぬらり翁こと影浪泊庵の語り〜      一 「或る日の夕間暮れのことにございます」——。  これを御噺の前口上とさせて頂きましょう。もちろんかの『羅生門』の冒頭「或る日の暮方〜」に倣ったものにございます。やはり暮れ方、夕間暮れ、黄昏時は「誰ぞ彼の時」とも申しますように、得てして夕と夜の“狭間”にこそ逢魔が刻であると古来

藪ヶ池の怪【其ノ貳】

此れ迄の御噺 【礼】 https://note.com/sea_thousandleaf/n/n83e63fd2cfe5 【除夜】其ノ壹 https://note.com/sea_thousandleaf/n/nd3b1ef251aa6      四 「伝七よォ」としばらく考え込んでいた様子の幣六が口を開きます。 「するってェと何か?オメェが岡惚れした西洋髪の姝な女ってのは物の怪の類だったてェことかい?」 「そこがいまいち俺には分からねェんで。女の幽霊にしては足もありやし