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あるコラムに、感謝しているという話し。

私は高校の頃からずっと仲の良かった同級生がいる。



私の高校生活は順調ではなく、二年生に上がるときに留年してしまった。



親に学費を出してもらっていて、自分の不真面目さで留年したという負い目。



最終面談で


「色々手を尽くしたんだがな。進級できない。どうする?お前は定時制の方がいいんじゃないか?」

とすすめられた。


そうか。
なるほど。その手があるのか。

ポンと手を打ち、その流れで定時制入学を決め学費も自分で負担することで親に許しをこいた。



と、
話を戻すがその時 物理的に違う学校になるということで自然にその同級生と離れた。



そして、17歳。
定時制に通いながら私は少し早めに社会に揉まれた。



数年後、
風の噂でその子が長い間旅に出ていると聞いた。


朝から晩まで働いていたので、旅なんて頭にない。
どんな世界があるんだろう。

帰ってきたら会いたいなぁ。
なんて考えていたら さくっと数年ぶりにメールが来たのだ。



どんな風に、どんな感じになっているんだろう。
そう思いながら再会を果たした。

おぉ。
なんだか旅人風になっているw
俗に言うあれだ。
世捨て人?



髪は腰を超えて長く、いわゆる“土系〟。
自分との接点がなかった種類の雰囲気がある。



自由に見える。
楽しそうに見える。
そっちの水は甘そうに見える。



その夜しこたま遊んだ後、大阪駅の公衆トイレで吐く彼女の背中をさすった。

帰りの電車で、


「なんで帰ってきたの?」


と聞いたら

「あっちにはTSUTAYAがなかったんだよー。」



と。
なるほど。三度の大自然での飯よりサブカルなのかー。と。

ちょっとゲロくさいその子の目を見ながら大笑いしたものだ。



そしてほぼ毎日会うようになり、長い時間を共にした。



再開したあの夜から何年も過ぎたある日、事件は起こった。



私たちは旅行をしていた。
こんなに一緒にいるのに、二人で旅行に行くのは初めてだった。



彼女は妊娠していて、産まれる前に私と行きたいところがある。と言ってくれた。


とてつもなく貧乏生活を送っていた私だが、その時ばかりは二つ返事。
極貧さで言えば、逆立ちしても小銭が出ないくらい。


旅費ギリギリのお金を持って、女二人の最後になる旅行に出掛けた。



一泊二日の楽しい時間が過ぎていき、帰路についていた頃 友達の電話が鳴り一気に不穏になる。



確か、尾道あたりだった。



なにやらよくない疑惑浮上。



そのことに関しては伏せさせていただくが、事実それがそうなのかどうなのかという断定ができない中 誰かの思考によるのは避けたかった。





それを話した。
たくさん話しながら帰った。


わたしに近しい人への疑惑だったのだ。




荒立った問題を治められるのは、おこがましくも私じゃないかと思った。



その結果、その後色々あり彼女とはそれきりになったのだ。



公言しなくても良さそうなことを周りの人達に事細かに話していたのだ。
自分の正統性を不特定多数に示した彼女を許せなかったのだ。

連絡をくれなくなったのは彼女の方だった。

すごく悲しかった。


それから数年後、たまたま何かの雑誌でみたコラムがあった。



そこには、
大人は秘密を守るもの。と書かれていた。



それはもちろん、法に触れるような話ではなくて 相手を思って守る秘密もあるという話で。



知っていてもそれを全て散らかせばいいというわけでないと思う。



大人という解釈は広過ぎて難しいのだけど、
この事はいくら相手がアレでも言わなくてもいいかな。
と自分の中でふるいにかけて話をできるという、そういうことかな。

無為に相手を傷つける必要もないし、それが許せないような相手であっても。


その時。
その子がどんな気持ちで居たのかはわかるようなわからないようなものだけど、突然離婚を言い渡されたような面持ちで私は最後のメールを見ていた。

ここまで書いて改めて思うのは、わたしは傷ついたのだ。

そして、私はその子にとても大切にされていたし私も大切にしていた。


昔は

私は“わかっている。〟

と、思っていた。



今は友人達の顔ぶれもずいぶん変わった。

高校生の頃、友人関係は一生続くものだと思って疑わなかった。



キラキラして、速くて、無知で無防備で全てを分かっていた気になっていた10代。



“おとな〟に過剰反応して拒否していた時代。



気がつけば40代。

歳はきちんと重ねている。




寂しいや悲しいを素直に言えるようになったという事は少し大人へのステップを踏めたということかな?



あの子は今どうしているかな。



そんな、梅雨入りの午後の今日。



#コラム

#日記

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