ナイトスイム観た

だからホラー映画って好きなんだよな、と思わせてくれる作品でした。
めちゃくちゃ面白くない!?!?!?


・ネタバレ(全部まとめようと思ったけど飽きてあらすじ紹介過多になった)
療養中の(元?)メジャーリーガーのお父さん。
お母さんと姉と内気な弟。
お父さんはまたメジャーリーグで活躍したいと思っていて、お母さんはもうトレードのたびに引っ越すのもうんざり、野球は続けながらでももっと家族と過ごせるんじゃないの!?て感じ。

引っ越した家にはプールがあって、水中療養にちょうどいいと購入。
家族もみんなプールを気に入っていたが、恐ろしいことが起き始める。


・呪い的なものが良かった
私は説明されすぎるのもされなさすぎるのもな、と思うので丁度よかった。
90分ほどの短さもあってかなりあっさりと描かれていたけど、難航すればいいってもんじゃないよな。
その呪いのルーツまで全て解き明かしてしまうのも場合によっては野暮に感じるし、解き明かしたからなに?みたいなところもある。
やけに調べものがうまい主人公、情報通すぎる知り合い、鋭すぎる推理。

開かされなすぎるとなんやねんただ怖さアピールだけかよって気もしてしまう。
ただ、人間が適わない(適ってたかも、埋めてたし)ような悍ましいものが、ただただ”ある”という感じ、好き。
コインを投げ入れた者に祝福を与えるっているのが神的な、神聖で厳かな印象で、生贄を必要とするのも神的なものを感じるけど、プールから湧き出る黒い液体の禍々しさが、もっと恐ろしいものなんじゃないかって感じがしていい。

その水の中にいる何かに祝福を受けた人間はもう何かになってしまうわけで、今まで埋められなかったのはその水の祝福を受けた者がもちろん埋めなかったからだけど、得てして呪い系って広がろうとする性質があるよな。
ナイトスイムに関しては積極的に祝福とサクリファイスの交互浴で整いましょうねって感じがしなかったから、ただそういう湧き水があるって感じなのか?
もしかすると泉が目覚めたら導かれちゃう、ねんねしてるときはなにも起きてないだけ?


・プールがなくならなかった理由付けが良かった
あと呪い系ってなんで途中でぶっ壊さなかったんだ?とか、拡散されてめちゃくちゃになるのでは?思ってまうし、ごもっともすぎる説明が入ると白ける。
祝福を受けた人間はある種、眷属的なものになるわけだけど、そのストーリー性もすごくよかった。
今までその泉が埋められることなく、かといって超有名オカルトスポット(住居自体が曰くつきとなった程度だ)にもなっていないのがよかった。


・登場人物にウルトラバカがいなくてよかった
お母さんと姉、特にお母さんが肺活量の鬼なんだけど、2人とも泳ぎが達者という設定だったからまだいけてると思う。
あとお母さんが潜るときにホースをつないで、辿って帰る用かと思ったらそこから息を吸っててめちゃ賢くてよかった。
え!?賢くない!!?ホースそんな使い方してるの見たことある!?ないよね!?
よくて体に巻き付ける程度でしょ!?

ホラーって「行くな」と「すな」でイライラしてしまうことあるけど、なかったまじで。
弟が終盤プールに近付いてしまうところは行くなと思ったけど、いなくなった猫の声がしたからってしゃーないよな!?
私でも行くわ。
ていうか猫はなんの生贄やったんやろ。
おやつ?
猫が死んだの最後弟をおびき出すために必要だったと思うけど、なんで死んだの(;;)

昨今インスタントな娯楽が流行っているためか映画自体短く、サクサク進んでいたけど、早すぎるとか、察しがよすぎるわけでもなく、納得感もあって、もうちょっと長くてもいいと思ったけど、よかった。


・お父さん豹変がよかった
シャイニングだ。
よかったマジで。
あんなスポーツ系のパパがああなるの良い。
「マルコ」「ポーロ」のシーン、めちゃよかった。
お姉ちゃんが彼氏とマルコポーロゲーム(?)してたこと知らんはずやのに揶揄するように言ってくるシーン、父親に言わせてるのきもいのと、もう水側になっちゃったんだって感じが良かった。

でもお姉ちゃんが手をケガするシーンはなに?
あの血がなんか意味あるんかなと思ったけどそんなことなさそう。


・家族愛がよかった
ハッピーエンドではない。
かなり最後はあっさりしたオチだった。
クライマックスの極限で「え!?そんな手が!?」って発想で全員ハッピーで終わるか、ぐちゃぐちゃ最悪エンドのどっちかが多いイメージだけど、今回は祝福を受けた人間がサクリファイスで丸く収めるというオチ。
「ああ、その手もあるか…」って感じだけど、「その手しかないよな」っていう、呪いに対する人間が絶対に勝てない感じ、良い。
結局適わない。

ただサクリファイスされた人間が恨みを伴って水に引きずり込んでくるけど、レベッカは助けてくれた。
最初弟君がコインを投げ入れたときはおもちゃを奪ってHi, George. ママを探しているの、って感じで引きずりこもうとしてた。
のちにお母さんがそのママを見つけて話を聞きにいって、「見返りを求めるのは愛ではない」(全然覚えてなかった。わからん。)といって帰るんだけど、そのママを通じた水の何かがそれを聞いていて、それをまた通じてレベッカに届いたのかもしれない。
ごっつ素敵やん。

最後お父さんがサクられにいくのも、操られてたとはいえ息子を殺そうとするのヤバイし、体か回復してたのはプールのおかげやったし、もう家族のためにできることって自分が死ぬことしかないかもっていう絶望とこんな自分を許せない気持ちと、そんなお父さんでも死んでほしくない気持ちがもう涙涙だった。
そんな複雑さもないし、いい話でお涙エンドでもない。
これはその人ならざる恐ろしいものに無残に敗北しているだけ。
お父さんが正気に戻っても、水の「え?じゃあエリー殺しちゃうよ~ん」という余裕が感じられる。

最後プールが埋められたあと、もう終わったのか、また水が湧いてきてしまうのか、その家をでなかったのは本当に次に住んでしまう人が現れないようにするためなのか。
そこまで描かないのもよかった。


・猫
殺さないでください。
オウムかインコにして。


・てか友達の息子殺そうとしてたよね?
てか友達の息子殺そうとしてたよね?息子探してたらたまたま現れて、きっと心のどこかでこの活発野球少年君が息子だったらって思ってしまったんじゃないかと思う。え、でもサクリファイスって家族じゃないとだめとかないよな。あったんかな。
なんかそこに住んでた人で消えてしまった人一覧さ、最後の古いナース服の人たちめちゃくちゃ死んでたよな。何があったか気になる。


・ジャンプスケアがよかった
ジャンプスケアは好きじゃないけど、適度でよかった。
無駄に引き延ばされた緊迫状況、肩透かしのあとのびっくりとか、くそでか音でびびらせるのもなかったし、お化けかと思ったら友達のちょけだったやつ(一番嫌いいらんやろそんなシーンきもいねん)とかもない。
本当に適度だったと思う。
変な家で川栄がなぜか怖い顔してるのあれまじでうける。
映画自体面白かったけど、小手先で怖がらせようとしてくるの寒いよな。
その寒さがなかった。


・怖くなかったという意見
レビューをみるとお涙頂戴が余計とかそもそも怖くないって意見が多くて、それはわかる。
ドキドキハラハラ要素はそこまでない。
これ見てるあなたのところにも…とか、日常で起こりうるかも系でもない。
私も家で一人で怖い話を読んで背筋を凍らせるのが好きだけど、そういう怖さとは違った。

まずやっぱり水がいい。
無くては生きていけなくて、身近なものどころではないけど、やっぱり水は怖い。
溺れたことがある人間ならあのパニック感がわかると思うし、お母さんと姉の潜水能力、水中内での冷静な立ち回りがもはや異様に思えると思う。

水中の「息ができない」「体の自由が利きづらい」「簡単に人間をパニックにさせられる」この要素で戦ってたのがよかった。
最後弟くんがプールから出ちゃったときはめちゃパワーで殺そうとしてたけど。
陸上だったらなぜが体が動かないとか、敵がめちゃ強いとかあるけど、あくまで水に落とす力までだったのがdrown的恐怖を煽られて良かった。


・シャイニング
お父さんが狂ってしまうホラー映画といえばシャイニング。
内容は全然覚えられないけど、見るとこれが一番面白いホラー映画だなって思う。

内容や流れは違うし、シャイニングはお父さんの狂気に落ちていく様がよかった気がする(覚えてない)。
なぜホテルがああなったのか明かされているような、明かされていないようなで終わったのみ対し、ナイトスイムはシンプルだ。

もう一つシャイニングを彷彿とさせたのが、ただよう古めかしさだと思う。
ホラー映画はジャンルも、怖さも多岐に渡るけれど、恐怖という本能に新しいものをぶつけ続けるのはなかなか難しいと思う。
カッコよさや面白さい価値観は増える。
怖いものって増えづらいし、しかもホラーは展開が読めてしまうと途端にチープになってしまう。

時代の流れとともに、テレビ・ビデオの誕生と共に貞子が生まれ、携帯の誕生で着信アリが生まれた。
最先端の恐怖を探す、アグレッシブな映画は面白いけど、下手するとzoomを使ったホラー、鮫島事件(おもしろくなくてとちゅうまでしか見てない、ごめん)みたいなしょうもない映画になってしまう。
古き良きと新しい恐怖があってのホラーだからこそ打率が低い印象だった。お化け系は特に。

あと、映画そんなに知らんから言ってることが的を得てない気しかしないけど。

それでいえばナイトスイムに関して目新しい恐怖感はなかったように思う。
プール、基湧き水が~、というのもウルトラ革新的というわけではないと思うけど、整合性の取れたストーリーと適度な演出と絵がめちゃよかった。
逆に言えば最近のホラー映画でここまでシンプルなホラー映画って逆にないな、と思った。
Y2Kじゃないけど、どんなに革新的でもつまらん演出、突っ込みどころだらけのストーリーだと本当に楽しめない。

スプラッタでもなく、新たな恐怖感をくずぐろうという挑戦感もなかったけど、本当に丁寧に作られてると思った。
ホラー映画のお手本のような作品。


・まとめ
怖さと、ストーリーとの両立がかなり良かった。
見てる間ビクビクドキドキさせられるからホラーなんじゃないし、グロけりゃいいとも思わない。
得たいのしれないものに対する恐怖があって、どう立ち向かうか・逃げるかというところで、なにかテーマが描かれる。
(ナイトスイムでは家族愛とは、家族に何を与え求めるかって感じですか?どうですか?)
恐怖の種類とか描き方とかとテーマの組み合わせがおもしろい。

だからホラー映画って好きなんだよな、と思わせてくれる作品でした。


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