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【2023創作大賞応募作品】無料公開:忘れられた打ち上げ花火

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【2023創作大賞応募作品】のため。現在全話無料公開中です。オンラインゲームからはじまるリアル恋愛短編小説です。綺麗に解けてゆく夏夜の魔法、打ち上がることのない打ち上げ花火、世間…
【2023創作大賞応募作品】のため。現在全話無料公開中です。
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#夏夜のマジック

【2023年note創作大賞応募作品〜いいね♡応援7/24まで!お願いします〜】忘れられた打ち上げ花火:第1話

群青色のキャンバスに 筆を一振りすれば 彩どりあざやかに 発光するインクが リズムよく飛び散り 心に重く打ち込まれ 恋模様を描き出す 夏の夜だけに かけられた魔法 あなたを待つ わたしの纏う浴衣は 紺地だったかしら それとも 白地だったかしら *** >> 花火大会? あんまり行ったことない << ねぇ、冗談でしょう? 恋をしたら イコールで結ばれても おかしくないと思っていた 「花火大会」 好きな人と それはもちろん 好きと通じ合う前の人とでも 人

忘れられた打ち上げ花火:第7話

「こんにちは」 少し緊張した様子で微笑む 現実のあなた 「ふふ、はじめまして」 はじめましてじゃない はじめまして 仮想世界で話すように いつもの会話が始まり 特にあてもなく 自然にふたりで歩き出す そう わたしにとって やっぱりあなたは アバターのままのあなたで あなたにとっても やっぱりわたしは アバターのままのわたしだ *** 「良かった、ゆりさんが同じくらいの歳の人で」 駅を出て交差点を渡り切ったところで ようやく現実の姿の話になる そうは言う

忘れられた打ち上げ花火:第8話

仮の世界の湖の前 仮の打ち上げ花火を 仮の姿のあなたの隣で見上げながら 夜通し聞いたあの曲を 未だって私は聴くの *** まるで夢のような一日だった あんなに楽しく過ごせるなんて 思いもしなかった すべては仮想世界で起こったこと 仮のわたしへ想いを託し 現実世界へ戻ってくる 「想いが通じ合えて良かったわね、彼のことが好きだったんでしょう? 」 そう ”わたし” に問いかけた 仮想世界の想いは 現実世界に持ってきてはいけない それはあなただって同じこと 綺麗に