みずあめ

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逃飛行

青空を見上げて、そこに何が見えるだろう。 いつか児童書で読んだような、雲の上に浮かぶ城と天使たち。 暗闇に浮かぶ巨大な惑星と、無数の星々。 あるいは、接近してくる雨雲に、まだ遠くの台風。 季節を映した雲の様子。飛行機の窓からのぞく雲海。 あるいは、ただ流れていくだけの雲。 どんな形にも見えない、と嘆く歌詞。 スーツ、社会人。 見える、という主観的な事象。 同じ景色でも、直前まで触れていたものや、待ち受けるものによって、見出せるものは容易く形を変えてしまう。 とても自由だ

    • 再登校

      私がずっと追い求めていた、私の実体など、存在しないのかもしれない。 一度に全て掴むことのできない、なんだか酷く混沌とした自我の塊。それが私の本当の姿であって、その一部を無意識に、あるいは意図的に、掬い上げて形を成す。そうして私は誰かと言葉を交わし、時間を共にする。 誰もいなくなった空間では、当然といえば当然、その姿を留める理由をなくす。引き留める物が無い限り、あたかも逃げるように。 ぷつりと、また混沌とした塊に戻っていく。 自分が愛する形、認めたくない形、それぞれの形で得る