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白いさくらを見てるとき|さくらMemory

「さくは、さく。あれは、さくら。」
今年3歳になる娘。
自分の名前と同じ名前の花があることを知ったようだ。

「そうだよ。さくちゃんと同じ名前だね。キレイだねぇ」
「うん、キレイだね。さくらは、しろだね。」

あれ?と思い、桜を見上げる。
「白?ピンクじゃない?」
「ピンクはちょっとだね。あれも、あれも、白いよ」
「ああ、ほんとだ。」

また、気付かされたなぁと思った。
娘の視点は、いつも染まってない。
信号機の「青」も、「緑」だと言い張る。

まるで自分が生まれ直して、世の中をもういちど、
見始めるような気持ちになる。


娘の出産は、とても静かな体験だった。
息子の時よりも印象深い。

その時はコロナ禍で、
立ち会いはお一人でお願いしますと病院から言われていたから
夫は来なかった。息子と家で待っていた。

あの時に、「寂しかった、心細かった」と言えば良かったのかもしれない。
だけど、そのおかげで一人で静かに生むという、不思議な感覚を体感できたから、それはそれで良かったのかもしれないとも思う。

同じ日の夜に出産の妊婦さんは他にいなくて
陣痛室で一人、静かに耐えていた。
出産も、助産師さんとふたりで、静かに産んだ。

真夜中だったからか病院がとても静かで、
生まれた娘と隣り合わせに寝そべり
じーっと娘の顔を眺めていた。

「私から私が生まれてきた・・」
変だけど、そんなことを考えていた。


「ママ、お目々がこわいよ。おめめ、かわいくして」
娘の言葉にハッとする。

そっかぁ。怒ってるとお目々がこわいよね。
ニコニコすると、お目々は可愛いよね。

いつの間にか凝り固まった解釈で物事を見ているなと、
自分のことをそんなふうに思う時はあるけれど

いつでも生まれ直した視点で、
世界を見直すことはできるんだろう。

もう少し娘が大きくなったら
一緒に白い桜を描きたいな。


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