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サービスデザイン の仕事とは

こんにちは。サービスデザイナー兼UIデザイナーのkawasagiです。

サービスデザインやデザイン思考の流行

記念すべき1回目の投稿は「サービスデザインとは?」というテーマで記事を書いてみたいと思います。

最近はサービスデザインをテーマにしたワークショップも多く、デザイン思考というバズワードも合間って、サービスデザイン という言葉はIT業界で一つのトレンドになっています。

「サービスデザインってどんな仕事?」と聞かれたらなんと答える?

一方で「サービスデザインって一体なんなんだ?」というモヤモヤを持たれる方も多くいらっしゃるように感じています。
私自身周りから「デザインとか、専門的なことで煙に巻かれている気がする」「自分はデザイン良く分からないから、価値がよく分からない」と言われたこともあります。

「そんな風に思われてるんだ!」と初めはショックを受けていたのですが、確かに「サービスデザイン」という仕事は、横文字のフレームワークや手法が多く、聞いてる人はプロセスやアウトプットを想像しづらいです。
また「デザイン」という言葉が、なんだか小難しくて専門的、とっつきにくい、自分とは関係ない世界のこと、といった印象も持たれるのかな?というのが、これまでいろんな人の反応を見てきてわかりました。

この状況はサービスデザインを生業にしている者(以降サービスデザイナー)として、なかなかの危機感を私に抱かせました。
「理解しづらい」ということは「使ってもらえる機会」も減るわけで、使ってもらえなかったら「サービスデザインの価値」も浸透しない・・・ということは仕事がなくなってしまいます。

ということで自分なりに噛み砕いた説明を考えて見ました。

そもそもサービスデザインはなんで必要なの?

サービスづくりの一般的な流れ
例えば、スマートフォンアプリで新しいサービスを作ろう!とした時に、下の図のような流れでサービスづくりは進んでいきます。

サービス企画者はサービスで利用者に何を提供するのかや、自分の想い、そして事業あるいは会社としての狙いに沿って、企画を練り上げます。
企画ができたら決裁者にプレゼンテーションを行い、稟議を通します。稟議が通ったらプロジェクト化します。

1:プロジェクトが始まったらサービス企画者はサービスを形にするために企画を説明し、PMは作り方を決め、エンジニアが設計・開発を行ってサービスを動かす仕組みを作ります。

2:仕組みの完成像がある程度固まる、あるいは仕組みそのものが出来上がると、今度は仕組みにかぶせる見た目の部分をPMがデザイナーに依頼します。

3:UIデザイナーは利用者が操作する時のことを想像しながら、「見た目(インターフェイスやグラフィック)を作っていきます。

4:そうして仕組みに見た目をかぶせることができたら、今度はマーケターや営業が登場してリリースされたサービスをターゲットにしている利用者に届けます。

これでやっと利用者に自分たちのサービスを使ってもらえる状態になりました。

リリースしてみたら、全然流行らない!

しかしなんだか様子がおかしい?
どうやらサービスを実際にスマホで使ってみた利用者からは、「このサービス何がいいのか良くわからない」と思われていました。

結局利用者からは「何がいいのか良くわからない」という評価がつき、サービスを利用する人は増えず収益が上がらないまま数ヶ月してプロジェクトはクローズしてしまいました。

あんなに頑張って開発したのに!残念・・・。

つまるところ、「何がどう便利なのか伝わらなければ意味がない」という事です。
全く笑えないのですが、こういったケースは決して少なくありません。
でも何がいけなかったのでしょうか?上記のようなサービスづくりの流れは一般的ですし、それぞれはきちんと自分の仕事をしています。

問題は利用者がサービスに対して価値を見出せていないということです。
「いつ」「どうやって使う」と「どう生活が変わるんだろう?」、そういったことを知ってもらえなければそもそも手にとってももらえませんし、運良く使ってもらえたとしてもどのようなシチュエーションで利便性があるのかを実感することができなければ使い続けてもらうことはできません。

ではこういった事態を避けるために、私たちは何をすべきでしょうか?

プロジェクトに関わるメンバーがそれぞれ「伝える自分」をもつ

上に書いたような事態を避けるためには、プロジェクトに関わるメンバー全員がきちんとそのサービスの利便性を理解し、頭の片隅に「伝える自分」を持ち続ける必要があります。

●企画者が伝えること
企画者は企画段階で、サービスの内容はもちろんのこと次のことをきちんと言葉にして定義します。
・利用者はどんな人なのか(属性情報だけではなく、具体的な特徴や性質も表した利用者像)
・その利用者はどんなシーンでサービスを使うのか、サービスを使って何をするのか(利用シーン)
・このサービスを使うと、利用者の生活はどう変わるのか(生活が変わらなければ価値は見出されにくい)

上記を明確にわかる言葉で残すことが大切です。
目に見える言葉で残すことで、プロジェクトメンバー全員とサービス像を共有することができます。

●エンジニアが伝えること
開発者は企画者から利用者像や利用シーン、サービスで利用者が何をするのか、どう生活が変わるのかを聞いて理解し、それを実現するためにどんなシステムを作るかを考えますが、ここでは特に次のことを集中して考え言葉にして定義します。

・必要機能、情報の精査(企画者が描いたサービスを実現するには、どんな機能や情報が必要なのか)
・機能と情報の優先順位(サービスが描いた体験を実現するために、とりわけ重要な機能と情報は何か)

●デザイナーが伝えること
デザイナーは利用者が機能と情報をみて、サービスの使い勝手や利便性が一目で伝わるようにするには、どのようにすべきかを考えます。

・企画者が描いたサービスの体験を実現するために、どのような導線にするか
・重要な機能/情報が直感的に伝わるために、画面構成をどうするか
・より機能/情報を認識しやすくするために、グラフィックの表現をどうするか

●マーケターが伝えること
マーケターは利用者にサービスを届けるためのチャネル設計を行い、サービスの利便性が一言で伝わるように考えます。

・利用者にサービスを届けるためには、どこでどう広告すればいいか
・サービスの利便性を一言で伝える

サービスデザインの仕事

ここまで書いたことは当たり前のように思いますが、「サービスの本質」をそれぞれの役割でブレなく突き詰めて考えるには根気がいりますし、最初から完璧なものなどできません。
だからこそ「目に見える形や言葉」として残すことで関わる人と認識合わせやテストを繰り返しながら、議論をできる状態にすることがとても重要です。

サービスデザインとは、「何がどう便利なのか利用者に伝わらない」といった失敗を回避するため、サービスづくりの過程において「利用者にとっての利便性」を各ポジションの人が共に突き詰めて考える活動であり、特定の職種やスキルに限定される仕事ではないのです。

ではサービスデザイナーはその中で何をするのか?
サービスデザイナーは上記のような活動において、フェーズ毎に各ポジションの人と検討や議論を進めていく上で、現状に対し有効な手法やフレームワークを取り出し、駆使して、ブレなくプロジェクトが進むように導く役割を担います。

「サービスデザイナーひとり」より、「メンバーみんな」が社会的なインパクトをもたらす

ここまで自分なりの「サービスデザイン」を理解してもらうための口上を書いてきましたが、サービスデザインが、言葉の印象だけで倦厭(けんえん)されてしまうのは、とても勿体無いことだと思います。もっというと社会的な損失に繋がると考えています。

より社会をよくするサービスを生み出すために、サービスデザインの考え方やナレッジが役立つシチュエーションは沢山あります。
先ほども書きましたが、サービスデザインという仕事は何もサービスデザイナーだけのものではありません。
営業、マーケター、エンジニア、経理・・・IT業界をはじめとするあらゆる職種の人が扱えるようになることで、ひとりのサービスデザイナーが活躍するより、もっともっと大きなインパクトを世の中に残せるはずです。

「サービスデザインクエスト」という活動

そんな考えから「デザインのナレッジを、あらゆる職種の実務に織り込む」をテーマに、有志で賛同してくれる仲間と集まり、活動を始めることにしました。

それが「サービスデザインクエスト」です。
サービデザインを体験を通じて学べるワークショップのテストイベントとして、第一回を開催します。(イベントページはこちら

クエスト1
冒険のはじまり「ワークショップスタイルでサービスデザインを体験する」

「RPG感覚で楽しめるサービスづくり」をコンセプトに、ワークの内容はもちろんのこと、小難しい言葉で言葉のアレルギーをなるべく起こさないよう、いろんな言葉を「RPGゲーム」に出てくる単語に置き換えたりする演出も挟んで工夫をするなど、メンバーでディスカッションを重ね、内容を練り上げました。

こんな人にオススメ

・デザイン思考を使ったサービスづくりのスキルを実践を通じて、継続的に鍛えていきたい人
・チームや会社にデザイン思考を使ったサービスづくりのメソッドを持ち帰りたい人
・チームや会社内でデザイン思考を使ったサービスづくりを広めようと頑張っている人

初回は活動趣旨にご賛同いただける方を中心に、上記のような方を対象とさせていただきました。
業界や業種、職種は問いません。

興味のある方はぜひ、イベントページもご覧ください!
長文となりましたが読んでいただきありがとうございました。


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