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スパークプラグ(点火プラグ)はセンサーになれるのか?


今回はスパークプラグ(点火プラグ)はセンサーになれるのか?
ということを解説します。お楽しみください。

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1  ターミナル 2  絶縁体ヘッド 3  シェル 4  熱吸収領域 

5  導電ガラスシール 6  ガスケット(シールシート) 7  ネジ

8  中心電極 9  絶縁体先端 10 接地電極

スパークプラグとは

スパークプラグ(点火プラグ)の仕事は、イグニッションコイルで造られた点火するためのエネルギーをエンジンの燃焼室へ届ける部品です。
イグニッションコイルで造られた点火エネルギーは、高い電圧で送られて、スパークプラグの電極に電気火花を発生させるために使われます。
この電気火花を利用して、燃焼室の混合気に点火して、エンジンが動いています。
スパークプラグの仕事は、冷間始動時や最大負荷など、いかなるときも最適に役割を果たさなければならない重要な任務を遂行しているのです。

そのため、外部の環境の影響や、燃焼室内で繰り返されている、状態の変化に対応できるように、過酷な状況でも部品の寿命を迎えるまで、耐えられる性能を求められます。
電子制御式の、イグニッションシステムに使用されるスパークプラグは、最高で30kVにもなる点火電圧を発生することもあるので、セラミックや絶縁体が用いられています。
この高電圧が、絶縁体表面に沿ってリークする、フラッシュバックという現象を起します。
しかし、スパークプラグは最高で約1000℃という高温に晒されながら、フラッシュバックを起こさない絶縁性が、寿命を迎えるまで維持されなければ成らないという重要性の求められるのです。
スパークプラグは、燃焼室内で繰り返し発生する10000kPaという高い圧力に晒されながら気密性を保ち、熱負荷と振動に耐え、変形することなく締め付け力を維持することが求められます。
また、燃焼室内の突起部分は、1000℃を超える燃焼ガスと、燃焼前の混合気との温度差にも耐える必要があります。


スパークプラグの熱価とは

この熱価は、スパークプラグに記載されている品番に表示されていて、どのくらいの熱に対応できるかを表しています。
例えば、BPR5ESという品番の”5”の部分が熱価を表しています。
一般的には、数字が小さいと低温、数字が大きいと高温に対応できるようです。

エンジンが動いている間、スパークプラグは常に、燃焼ガスによって加熱されています。
その熱は、吸入された混合気や、スパークプラグのシェルに伝わりシリンダーヘッドに伝わります。
スパークプラグの作動温度は、エンジンからの熱吸収とシリンダーヘッドへの放熱のバランスで決まります。
温度の目標は、エンジン出力が少ない状態でも、絶縁体の先端が500℃を維持できるようにすることです。

500℃より低くなると、スパークプラグの低温部分が、不完全燃焼ガスにより発生するススや、オイルかすを堆積させる可能性があります。
これは、エンジンが作動温度に達していないときや、外気温が低いときに、始動、停止を繰り返し行うことでも発生します。
その結果、中心の電極とシェルの間に、導通路ができてしまい、点火エネルギーが短絡電流となって、ミスファイアが発生する危険があります。
近年の車両では少なくなっていますが、スパークプラグが【かぶる】、という症状がこれでも起こります。

温度が上昇すると、絶縁体の先端に付着した、ススやカスを燃焼させる自己浄化が行われます。

その反面、スパークプラグの温度は900℃前後に抑える必要があります。
温度が、このレベルに達すると、酸化と高温ガス腐食によって、プラグの電極の摩耗が激しくなり、許容を超えてしまうと、自己発火を起こします。

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画像は、プラチナのプラグですが、このように摩耗に加えて、オイルの燃えカスが付着してミスファイアを起こしました。

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プラチナやイリジウムとはいえ、このような状態になってしまいます。

自己発火とは、制御されていない点火プロセスで、燃焼室内のどこか一点、例えば、スパークプラグの絶縁体先端が高温になり、混合気がスパークプラグの表面に接触して発火してしまう現象です。
この自己発火が発生すると、エンジンに極めて大きな急激な圧力上昇が起こり、ノッキングを発生させて、短時間でエンジンを損傷させるので、エンジンタイプにマッチしたスパークプラグを使用する必要があるのです。

ちなみに、その昔、口径の大きなキャブレターを装着している車両などは、暖気を低い数字のプラグで行い、走行するときに大きな数字のプラグに交換するといった、ちょっと面倒なことをしないと動けないものもありました。


スパークプラグ(点火プラグ)はセンサーになるのか

先ほど自己発火とノッキングについて触れました。
一般的なエンジンでは、ノックセンサーという、ノッキングを感知するセンサーが装着されています。
これは、簡単に説明すると、聴診器のような役割をしていて、ノッキングが発生すると、その振動がシリンダブロックに伝わり、ノックセンサーがその振動を感知して、エンジンコントロールユニットに情報として伝えて、ノッキングを制御しています。
高性能で高回転型のエンジンには、この方法ではカバーするには役不足なのです。

これに対応するのが、イオン電流コントロール、というシステムです。
このシステムは、イオン電流の測定を行い、イオン電流コントロールユニットで、イグニッションアウトプットステージを使用して、スパークプラグの信号を検出し、増幅を行っています。


イオン電流測定によるアンチノックコントロール及びミスファイア検知

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