【0275】SDGs✕Tech:スマートウォッチで色々わかるようにすること

連日、コロナを受けたテクノロジーの進化についてニュースなどがよく出ていますが、本日はスマートウォッチについての記事を拝見しました。

イギリスのケンブリッジに拠点を置くECG(心電図)スマートウォッチメーカーVagusが新型コロナウイルスに立ち向かうために動き出した。

とのことで、ECGスマートウォッチを使って、感染症にかかっている状態かどうかの把握をするために、
・今はかかってない人
・データを集めてる最中に何らかの疾患にかかった人
の心電図と呼吸のデータを得ることで、心拍と呼吸の差のデータなどを集めて、それを教師データとして感染状態を算出するという取組のようです。

現状はデータを収集しているところのようなので、基礎研究の段階かと思いますが、研究が進めば明らかになることも増えていくと思います。

スマートウォッチと基礎研究のオープン化

数年前にスマートウォッチを活用して、サービス開発するというトライアルをしていた時期があり、その時に感じた課題感と今後の動きで注目したいことについて、書いてみようかと思います。

スマートウォッチと言えば、AppleWatchやGARMINやFitbitやTizenやと色々あり、それぞれに日常生活の利便性、健康管理(軽いものから思いものまで)、おしゃれさ、安価かどうかなど競う軸はあると思います。

どれも脈拍とか心拍さえ取れてりゃ、色々わかるんだから安いやつが一番でしょ。とも思えるんですが、案外そんなこともないんです。

■心拍と脈拍は違う

正常時は心拍と脈拍は一致するそうですが、これが不整脈などの時には異なる状態になるそうです。

心臓が拍動しているということと、それによって全身に血がキチンとめぐっているかは別で、脈拍だけから「異常」ということは言えないということでもあると思います。
スマート"ウォッチ"と呼ぶくらいなので、だいたいが腕に巻いて測定するものが多いと思いますが、心臓に近いところに電極をおいて「心電図」を計測しているわけではない。物によっては、ECG(心電図)を計測できているわけではなく、単に脈拍か腕周りの血流量を計測できているだけの可能性もあります。
「ECG(心電図)機能」を持っていると言えているのは、基礎研究の賜物に他ならない(と思います)。

例えば、下記のスマートウォッチは、「心拍」と呼べているエビデンスとして技術提供社の名前を記載していたりします。

不整脈検出等で初期から話題になっていた印象のあるAppleWatchもECG機能が搭載されたのはSeries4からだそうです。

■医学的根拠はもっかいやり直し

心電図でのエビデンスはあるけど、スマートウォッチではエビデンスはない。という症状は、おそらく正しくは全て取り直す必要があるか、スマートウォッチの計測精度を医療用心電図と呼べるほどまで高める必要がある。

計測が楽な分、データの集めやすさは加速していくと思いますが、そういった基礎研究を再度積み重ねていくことで、これまでの研究と照らし合わせてやっと色々言えるようになっていく(なってきた)という状態だと思います。

アプリを使ってる側からすると、「心拍数/脈拍数がいくつです」と言われるよりも、「何時から何時は集中していて、何時から何時は寝てましたね」と言われる方が気づきがあって便利だと思いますが、これらは開発しているメーカーとその協力パートナーの基礎研究の賜物(また言うた)なんです。

■デバイスによって想いが違う

これは数年前のデバイス選びの経験での所感のため、今はどんな状態かわかりませんが、デバイスを1から作ってサービスインするのではなく、すでにあるデバイスを活用して研究・サービスインしたい時に、採用するデバイスを選ぶ際に意外とデバイスごとに差異があることが多かったので、書いてみました。

・他社とコラボ前提で設計されているか
例えばSDKなど、外部開発の人が容易に触れるようなものが準備されているかどうかもデバイスによって全然異なります。

・提供するデータはローデータか独自指標か
他社とコラボ前提だったとしても、例えば心拍データやジャイロで計測したデータをそのままローデータで返しているかというと、そうではありません。「活動量」という独自指標を計算した結果を返してくれているものもあれば、「眠り」や「集中」といったフラグをつけて返しているものもあると思います。これは、スマートウォッチだけじゃなく、脳波計なども同じで、ローデータも一緒に返ってきているのか、こういった独自指標だけ返ってきているのかは、デバイス選びの目的によって、ちゃんと見分けた方が良いと思います。
特に、「心電図とかでの基礎研究のデータは自社で持っているんだけど、それを日常的に計測できるサービスを一緒に出せるデバイスを探している」という人は、ローデータを簡単に吐き出せるデバイスかどうか、というのははじめに分かっておいた方が後々楽だと思います。

・医療向けかエンタメ向けか
これもデバイスの想いの部分だと思いますが、不整脈や集中、眠りといった状態を計測するには、ms(ミリセカンド)単位でデータを取れている必要があったり、それが何秒ごとに本体側のデバイス(AppleWatchならiPhone)に送信されているかなども重要になってくると思います。医療用途ほどの計測が必要のないデバイスの場合は、計測単位が1秒に1回で、送信単位は4秒に1回というようなものもありえるので、これもデバイス選びの目的によって組む先が変化するポイントかなと思います。

競合優位性と一般化の壁

このように、デバイスサイドに立って競合優位性を考えると「ウチのはこんな計測ができてて、こんなことがわかりますよ、他では無理だけど」というのを作り出す方向に向かうことは当たり前だと思います。

一方で、医療用に広く使われたり、誰でも広く一般的に使えるようになるためには、基礎研究の部分がオープン化されていく方が世の中にとってはハッピーかもしれません。

いやー、もうこの分野はGoogleさんとAppleさんに任せます!というのも社会全体の合意の方法の一つだと思いますし、企業戦略の成果でもあると思います。ただ例えば、オープン化が進んで行った先には、この研究の組み合わせが非常に進みやすくなり、極端な例ですが、腕時計をつけられないような人でも同じことを、例えば歩き方など他の方法から計測できるようになるかもしれない。そういう可能性や他の色んな可能性に広がっているなと思います。

スマートウォッチで色々わかるようにすること。一つの企業で頑張るよりもたくさんの知恵と協力があれば可能性の広がるところだなと思い、長々と書いてみました。しかも数年前の知識なので、古いだろ情報も満載の可能性ありで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?