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【0841】NewSchool進化思考Vol.1

以前「イノベーションの本だと思ったら、サステナブルの本だったかもしれない」と書いたことのある名著「進化思考」。

書籍自体も非常に面白く、進化のパターンになぞらえて、思考の仕方が百科事典的にこれほどまとめられた本はない。と感じた上に、数十ものワークも書籍の中で紹介されていて、それを学べるだけでも3000円は安すぎると感じてしまう内容でした。

そんな進化思考を世に生み出した太刀川さんが、NewsPicksさんのNewSchoolにて講義を持たれるということで、「これは受けねば」と思い、受け始めた体験をつづっていこうと思います。

NewSchool進化思考

NewSchoolのサイトは下記。

ここでも進化思考の概要は動画で紹介してくれています。

○変異と適応

イノベーションの生み出され方は生物の進化に似ているという思考。変異(バカになれるアイデアやエラー)と適応(系統的であったり、解剖的であったりの秀才的選択)とを繰り返すことで、イノベーティブな進化を起こすことが、アイデアの分野でもできる。という考え方をベースに、今回のVol1では「変異」と「適応」のの思考法の体験を行いました。

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https://nosigner.com/evolution-thinkingより

例えば、「本」を題材に使った思考をしてみると。

○変異

生物の進化における変異には9つのパターンがあり、それらのパターンを使うと「本」の変異も大量に生むことができる。という体験をまずは自分たちでやってみたところ、あれよあれよと生み出されます。

変量:超小さい本、超重い本・・・
擬態:本棚型の本、国語のふりをした数学の本・・・
欠失:文字のない本、著者のない本・・・
増殖:まえがきが8割、しおりを増やした本・・・
転移:山頂にある本、真空の本・・・
交換:表紙と目次が入れ替わる、ゲームと入れ替わる・・・
分離:100人で読み分ける本、帯が別売り・・・
逆転:読めない本、上下が逆の本・・・
融合:食べれる本、手のひら+本・・・

のように、普段だと「実現できないよな」と思うアイデアも、この法則に従ってとにかく一度言語化してみるというプロセスをたどると、「実現はできないかもしれないけど、こう解釈すると実現できるのは」など、新たな気付きにもつながるし、単純にアイデアの選択肢がばーっと生まれる感覚がありました。

偶然との出会いをひたすら生み出す。まさに進化で言うエラーの繰り返しを言葉上でプロトタイピングしまくるとういう発明だなと思います。読んで分かった気になっていたけど、やるとさらに違います。

○適応

時空観マップという4象限で分析をしてみるという考え方。本で言うと、

予測:脳に直接・・・
系統:文字や紙の発明、口伝、活版・・・
解剖:表紙、構成、著者、レトリック・・・
生態:書店、ライター、出版社、図書館・・・

というように様々な視点からの分類を行うこで全体像と個別の解像度を両方高めていくマップが出来上がっていきます。

適応的なマップを作り上げながらもアイデアめいたものは生まれるし、アイデアが生まれるものはまたマップに還元されるし、マップ全体を眺めると、今必要なアイデアのゴール感や解像度というのが、やればやるほどに高まっていくのでは。という感じになります。

いや、これも読めばわかっちゃいるけど、やると偉い違いですね。

○質疑や事例の学び

体験するだけじゃなく、これはどういうことなんだろう?という疑問への回答も面白く、例えば「適応と変異はどういう行動か?」の例。

「全く知らない部屋なのに、真っ暗な部屋」に急に放り込まれたらどうするか。の例えば、

適応的行動:懐中電灯で色々なものにフォーカスを当てて全体を想像する。
変異的行動:電気のスイッチを探して色んなところをバンバンする。

に近いのでは。というお話が面白かったです。懐中電灯をつけると「そこだよ、そこじゃないよ」とか言いながら、色んなフォーカスを当てていくような行動。部屋をバンバンしていると、時に全然見当違いのところを叩くと怒られてしまって、だんだんと叩くことをやめてしまうかもしれない。だけど、部屋をバンバン叩くことを完全にやめてしまうと、その部屋に明かりがつくことは絶対にない。

というお話。企業課題や社会課題へのイノベーションという観点で上記をメタファーに考えると、いかに変異と適応の両方の考え方が大事が分かります。

●脇道の質問への回答まで面白い

進化を題材にしている中で、ふと考えた疑問として、

進化について調べていると、「自然による適応的選択」では説明がつかないレベルで、神様のデザインや種の明確な意志(あいつに似てやるぞ!みたいな)を感じることがあるなーと思って、そういう物を生み出すこと自体に自然のデザイン力を感じてしまいます。

という感想を述べたところ、

実はその考え方こそ進化論が戦ってきた歴史の中にあったそう。
ラマルキズム=生物はなりたいものに進化していこうとしている。という考え方があり、これはいったん科学的には否定されている状態。だったはずのところ、エピジェネティクスという考え方があり、前世代の体験を遺伝子は引き継いでいるのでは。という証明も一部出始めていて、いまでもまだ結論が出ていない考え方という話まで。

いや、思考法とかの領域超えて、生物多様性の話にもやっぱりつながるし、やっぱりサステナブルの思考法だったのでは。と改めて感じてしまいました。

参加される皆さんの質問も示唆に富んでいて、すごい会でした。どこまで綴れるか分からないけど、思考の流れを綴っていこうかなと思います。

●余談

通常、こういう講義は平日の夜の方が人気がありそうですが、今回は土曜の朝。だけどそれが良かったかもしれません。フレッシュな脳で、かつ横槍が少ない状態で集中度の高い学びにつながりそう。

土曜朝、最高説。

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