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【0298】目標6:安全な水とトイレを世界中に

SDGsの17の目標、169のターゲット、232の指標を改めて今の知識で振り返ってみるシリーズ。目標とターゲットの参考は、一番分かりやすい(と思っている)Think the earthさんのサイトからお借りします。

目標6 全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

日本では水といえば、蛇口をひねれば飲めるものが出てくるし、そこら中にトイレはあるし、しかも衛生的でシャワートイレまでついてくる。そんな状況ですが、実は日本もまだ課題が残っているという状況だそう。

↑2019年の達成状況。目標6は黄色です。改善度で言うと順調なようですが。※何が原因かは後述。

はじめてこの目標のターゲットを見た時は、

<ターゲット>
6.1 2030年までに、全ての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
<指標>
6.1.1 安全に管理された飲料水サービスを利用する人口の割合

<ターゲット>
6.2 2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
<指標>
6.2.1 (a)安全に管理された公衆衛生サービスを利用する人口の割合、(b)石けんや水のある手洗い場を利用する人口の割合

という内容をみて、「あえて”石けん”があるかどうかまで指標に書くの?」と思っていましたが、石けんと水による手洗いがちゃんと広がっているという状況がいかに社会全体に必要なことか、今まさにわかりますね。。

↑結局石けんでの手洗いが最強という話

○"きれい"だけじゃなくて、"安全"に"管理"されてる重要性

安全に管理された水へのアクセス。が必要というのは世界のこんな状況が課題だよ。とユニセフのHPで紹介してくれています。

スクリーンショット 2020-05-05 12.35.10

※ユニセフHP内より

こういった形で、「安全であるか」「必要な時に容易に手に入るか」「どれくらいの時間かけて手に入れないといけないか」といった観点で各エリアの水へのアクセスを分類していて、2017年時点で71%の地域が「安全に管理された飲み水」にアクセスできるように改善しています(2000年時点で61%)が、未だ、1億4,400万人(日本の人口より多い‥!)湖や河川、用水路などの未処理の地表水を使用している状況。

「安全じゃない」という最低限の状態の改善もさることながら、飲水へのアクセスに往復30分を超えるような「管理されていない」という状態も、すべて"あらゆる状態"を改善して、安全に管理された水へのアクセスを高める。という目標です。

○日本の課題(なんで達成状況、黄色?)

日本は水の安全性で言うと、世界でもトップクラスだと思いますし、衛生意識もきっとかなり高い方だと思います。だけど、ここの目標は達成見込みではなく、「課題が残る」の状態。その原因は何かというと、

スクリーンショット 2020-05-05 12.50.06

「淡水摂取量」「輸入された地下水枯渇」というところ。

これはバーチャルウォーターという考え方で説明されることが多いやつです。

水資源が豊富にあるように思っている日本ですが、食料の輸入が多く、本来ならその食料を育てたり加工したりする、生産過程でも「水」が必要だったはずで、それを輸入することによって水不足が解消している(他の国の水資源を使っている)という状況。これを合わせて考えると、日本は本来の水資源に対して需要が多く逼迫しているという判断をされるそうです。

ターゲットの中に出てくる「水ストレス」という言葉もこの話が含まれる内容。

「水」に関する課題なんですが、関連するのは「食」というテーマだったりする。輸入している食料の廃棄も考えると、目標12も関わってくるかもしれない。そんな課題を日本は抱えています。

○昔から自発的にターゲット通りの活動をしてきた日本企業も

ターゲットの中には、

<ターゲット>
6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。
<指標>
6.6.1 水関連生態系範囲の経時変化

という生態系そのものの保護・回復というものもあります。

先程のバーチャルウォーター的な課題もあり、「食」とSDGsというサイトを農林水産省が立ち上げていますが、その中の紹介で、まさにここにアプローチしている企業の事例が。

2003年から活動されているそうですが、自分たちが提供している「水」であり、企業の約束事としても掲げている「水と生きる」。それを体現している本質的な活動です。

自分たちに利することを真剣に見つめた結果、社会・世界への還元に行き着いている、素晴らしい事例だと思います。

ちなみに、このターゲットは2020年が目標年になっていますが、日本は「ローカル指標を何すべきか」ということ自体を検討中というのが2019年4月時点の状況です。

安全性や衛生面でも、世界に誇れる日本の「水」。仕組みや技術や習慣など世界に循環していけるような紹介ができると良いですね。

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