見出し画像

【0715】地域脱炭素ロードマップ読んでみた①

国・地方脱炭素実現会議というところから、地域脱炭素ロードマップというものが発表されました。

スクリーンショット 2021-06-26 14.57.40

※リンクあり

国と地方の協働・共創による、地域における2050年脱炭素社会の
実現に向けて、特に地域の取組と密接に関わる「暮らし」「社会」
分野を中心に、国民・生活者目線での2050年脱炭素社会実現に向け
たロードマップ及びそれを実現するための関係府省・自治体等の連
携の在り方等について検討し、議論の取りまとめを行うため、国・
地方脱炭素実現会議(以下「会議」という。)を開催する。

という形で国・地方脱炭素実現会議というものが開かれていたそうで、会議の構成員は、

議 長 内閣官房長官
副議長 環境大臣
総務大臣
構成員 内閣府特命担当大臣(地方創生)
農林水産大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
長野県知事
軽米町長
横浜市長
津南町長
大野市長
壱岐市長

こんな面々。

目次

スクリーンショット 2021-06-26 15.00.46

こういった項目での発表がされています。

世界的な課題でもある脱炭素を地方創生のためのドライバーにしていく。そのための工程と具体策を示す。それがこのロードマップの目的になります。

脱炭素は地域経済のための重要な源泉になりうる。というビジネスチャンスな側面と、地域が持つ課題(災害対策・住民の健康やWellbeing・地方分散移住・自然との共生)にも重要だという側面から検討が進んでいるそう。

○実行の脱炭素ドミノ

地方自治体による 2050 年カーボンニュートラルの決意・コミットメント(ゼロカーボンシ ティ宣言)は、一昨年9月時点の4自治体を起点に全国に急拡大し、本年6月時点で 400 自治 体(人口 1 億 1 千万人相当)を超えた。この「決意・コミットメントの脱炭素ドミノ」を基 に、意欲と実現可能性の高い地域から全国に広げる「実行の脱炭素ドミノ」を起こす。

と宣言されており、このはじまりの打ち手が、後の変革に続いていくためのファーストピンになることを意識して活動していく。という決意で第1章は締めくくられています。

ドミノをどれくらい意識したロードマップかというと、

今後の5年間を集中期間として政策を総動員

と強調しているくらい、このはじまりの活動への注力度合いを示しています。

○地域脱炭素ロードマップの対策・施策の全体像

すごくシンプルに全体像を示してくれており、

取組1)脱炭素先行地域をつくる
取組2)脱炭素の基盤となる重点対策の全国実施(各地の創意工夫を横展開)

この2つが全体像。脱炭素先行地域は全国で100箇所以上を設定して、2025年までに決め、2030年までに実行にうつす計画。取組2では、「自家消費型の太陽光発電、 住宅・建築物の省エネ、ゼロカーボン・ドライブ等の脱炭素の基盤となる重点対策」の各地の創意工夫を横展開すると記載があります。

横展開するということは、こういう事例を集める賞なども展開されていくかもしれませんし、各自治体で集約されていくものも一つに統合して、横展開の材料にしていくことが起こりそうですね。

□脱炭素先行地域

全国で100箇所以上をこれに選定し、先行事例を作っていくということですが、まず削減レベルの要件を決め、それらを満たすための7つの取組というものが定められています。

①再エネポテンシャルの最大活用による追加導入
地域内で資源を有効活用するために、その地域の再エネに使える資源(ポテンシャル)を最大限使える再エネ設備を導入する。ということこと(たぶん)。

具体的には、再エネ情報提供システム(REPOS)等のポテンシャルデータを基に、3D 都市モデル(PLATEAU)を用いたシミュレーションを行う等により、建築物の屋根や未利 用地等の利用可能なスペースを正確かつ効率的に洗い出し

とあるので、厳密な試算のもとでのポテンシャルをはかる模様。

②住宅・建築物の省エネ及び再エネ導入及び蓄電池等として活用可能なEV/PHEV/FCV活用
再エネ関係の要とも言える「蓄電システム」その蓄電方法としてEV/PHEV/FCVを活用するとのこと。この時点ですでにハイブリッドであっても、プラグインでないものは対象外です。目的から考えると当然なんですが、この5年での動きということで考えるとなかなかの英断な気はします。

新築の住宅・ビルはすべてゼロエネルギーにすることはもちろん、既存住宅も更新・改修時にはそこを目指すことなども具体的に記載されています。

③再生可能エネルギー熱や未利用熱、カーボンニュートラル燃料の利用
熱のエネルギーについても、その有効活用が記載されています。何かのエネルギーを生み出したり、動かしたりした時に出る排熱を有効利用することなどが挙げられますが、有効活用できるだけしまくるコージェネシステムな考え方が重要になりそうです。建物など色んなものがそういう発想で設計されていくということになりますね。

④地域特性に応じたデジタル技術も活用した脱炭素化の取組
データの見える化とそれによる自動制御をはじめとするデジタル技術を活用して脱炭素を進めること。地域特性に応じた、というのは、それが都市部なのか農村なのか漁港なのかといった、その地域の特性に応じて、採用するデジタル技術の内容が変わってくるというイメージかもしれません。

⑤資源循環の高度化(循環経済への移行)
3R+Renewable”(リデュース、リユース、リサイクルの徹底と同時に、より持続性 が高まることを前提に、枯渇性資源から再生材や再生可能資源への転換を推進)という新しいキーワードも出てきています。Renewableはある意味、Transform意識とも取れるかもしれませんね。ゴミの回収の仕組みや廃棄物処理等、社会システムがガラっと変わるつもりのサーキュラー・エコノミー体質への移行を目指すと明言されています。

⑥CO2排出実質ゼロの電気・熱・燃料の融通
地方創生・分散型社会のための必須の考えの一つ、エネルギーの融通。これについても記載されています。地域間をまたがった遠隔地についても対象と書かれているので、国全体でエネルギーのインターネット化のようなことが目指されているのかもしれません。

⑦地域の自然資源等を生かした吸収源対策等
森林保全など人の手の適切な介入による自然資源の保護。それによってCO2吸収源の確保も行っていくとのこと。

脱炭素先行地域では、こんな7つの具体的な方法を検討していくことになる。これが全国に100箇所以上。しかも2025年までには決まっていき、2030年を目指して実行に。なかなかの目標だと思う反面、2030年がSDGsの達成目標だとすると、このペースでも達成に届くか。というレベルのことなのかもしれません。SDGs、改めて難しい説。。

続きます

ここまでで、資料の10ページほど。これはちょっと続けて書いてみようと思います。次は事例の横展開をどう考えているのか。というところから。

2021.06.27追記 その②を更新しました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?