【0103】目標12「つくる責任つかう責任」

本日は、目標・ターゲットを見てみたシリーズ。目標12を見てみました。2030アジェンダの原文は「持続可能な生産消費形態を確保する」です。コピーワークの賜物な感じですね。

持続可能な生産と消費

全ターゲットに渡って書かれていることは、主に「持続可能な生産と消費」という課題について。シンプルに言うと、捨てるなら作らない。つくるなら、環境や人に害のないように。ということに尽きると思います。が、個々での活動をそれぞれの価値観でひたすら続けていくと、非常に難しい問題でもあるなと思います。国や国家間といった、グローバルな取り決めやルール、統計による見える化がモノを言う目標だと思います。以前、「捨てないパン屋」の話を書きましたが、短期的な自分たちのゴール(売上を上げるぞ)という正義に基づいてひたすらに行動すると、パンは捨てるビジネスモデルの方が効率が良くなっていきます。もちろん、それぞれの経済状況や置かれている状況によって、何をゴールにすべきかは変わっていくと思うので、それが完全な悪というわけではありませんが、「ゴールは状況によって変わる」ということ、「違う方法が取りうる」ということの視点は大事かなと思います。
持続可能な消費と生産について書かれているターゲットを一応列挙しておきます。

<ターゲット>
12.1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、全ての国々が対策を講じる。
<指標>
12.1.1 持続可能な消費と生産(SCP)に関する国家行動計画を持っている、又は国家政策に優先事項もしくはターゲットとしてSCPが組み込まれている国の数
<ターゲット>
12.2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
<指標>
12.2.1 マテリアルフットプリント(MF)、一人当たりMF及びGDP当たりのMF(指標8.4.1と同一指標)12.2.2天然資源等消費量(DMC)、一人当たりのDMC及びGDP当たりのDMC(指標8.4.2と同一指標)
<ターゲット>
12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
<指標>
12.4.1 有害廃棄物や他の化学物質に関する国際多国間環境協定で求められる情報の提供(報告)の義務を果たしている締約国の数
12.4.2 有害廃棄物の1人当たり発生量、処理された有害廃棄物の割合(処理手法ごと)
<ターゲット>
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
<指標>
12.5.1 各国の再生利用率、リサイクルされた物質のトン数

やっぱり食と観光は大事

ここまでのターゲットで「持続可能な消費と生産」についてはある程度網羅されていると思いますが、あえて項目を立てているターゲットとして「食」と「観光」があります。

<ターゲット>
12.3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる。
<指標>
12.3.1 a) 食料損耗指数、及び b) 食料廃棄指数
<ターゲット>
12.b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
<指標>
12.b.1 承認された評価監視ツールのある持続可能な観光戦略や政策、実施された行動計画の数

食の課題やソーシャルグッドは調べるほどにすべての目標につながってくる傾向があり、そういった意識がこの目標にも現れているのかもしれません。
フードロスは名指しで改善命令が出ているようなものなので、今後の小売関係のフードロス対策は非常にシビアになっていくんだと思います。※2019年10月1日に日本でも食品ロス削減推進法という法律が施行されました。

大きな枠組みでの報告と教育

個々のゴールでの行動の結果が持続可能性を阻むということもあってか、会社や組織といった大きな枠組みに対しての持続可能な生産に関する報告書を期待していたり、教育という観点でのターゲットもあります。

<ターゲット>
12.6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
<指標>
12.6.1 持続可能性に関する報告書を発行する企業の数
<ターゲット>
12.7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
<指標>
12.7.1 持続可能な公的調達政策及び行動計画を実施している国の数
<ターゲット>
12.8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
<指標>
12.8.1 気候変動教育を含む、(i)地球市民教育、及び(ii)持続可能な開発のための教育が、(a)各国の教育政策、(b) カリキュラム、(c) 教師の教育、及び(d)児童・生徒・学生の達成度評価に関して、全ての教育段階において主流化されているレベル

最近は小学校の学習指導要領にもSDGsの話が記載されているそうですが、こういった目標を受けてのことなんでしょうね。大学生など若年層の方が認知度が高まってきているというのも、こういったターゲットの影響なのかもしれません。

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