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【0809】SDGsはビジネスチャンスだという話

SDGsはビジネスリスクの観点とビジネスチャンスの観点の両面で、必要な考え方である。という話が、よく話されています。

ビジネスリスクの観点

世界経済フォーラムで発表されているグローバルリスク。「経済にインパクトを与える要因」というリスクをランキングで表しているものですが、十数年前までは経済へのダメージは、リーマンショック等の「経済」に関する問題がインパクトが大きかったところ、ここ数年では経済にインパクト与えるのは「環境」や「地政学」「社会」に関する問題の方がインパクトが大きくなってきた。という話。

なので、SDGsに取り組むことで、自社のビジネスのリスクをおさえることにつながりますよねという時によく使われます。

ビジネスチャンスの観点

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2017年にデロイトトーマツさんから発表された、SDGsの各目標での市場規模資産結果。

全部足しあげると1200兆円もの巨大な市場規模となり、エネルギー市場はここだけで800兆円ものビジネスチャンスが眠っている。という報告がなされました。

なので、SDGsに取り組み始めることは、自社のビジネスを加速させていくチャンスにもなりえますよ。という時によく使われます。

環境はビジネスになる

この話があがってきて数年、当初の頃はそこまで実感はなかったようにも思いますが、世界各国、日本でもカーボンニュートラルへのかじを切ったことで、環境負荷を軽減したりCO2排出をゼロにするための投資、開発は進みやすくなってきたように思います。

環境問題を解決する取組は、それがそのままビジネスになる。

という時代に突入しはじめているとも言えるのではないかなと思います。

社会はビジネスになっているのか

ではダイバーシティ&インクルージョンや、教育、さまざまな格差など、社会というテーマでくくられるSDGsのそれぞれの目標はビジネスになっているのか、というと、先のトーマツさんの発表でも市場規模がエネルギーほどは大きくないところからも、まだまだビジネスチャンスという側面は小さいのではと思います。

この領域は、ビジネスリスクになるから対応しておかなければいけない。という考え方になりがちで、どこまで対応力を強めるかは、どこまで潜在的なリスクをリスクと捉えるか。によって変わっていってしまうのでは。と思います。

社会もビジネスになる時代

そんな中、いや、社会のテーマは宝の山なんじゃないか?ということをわかりやすく書いてくれている記事がありました。シンニホンの安宅さんの記事です。

そのニッチと思われている一つ一つの一見レアな多様性は、世界的に見ればそもそもマスであり、大きなセグメントと言える。何らかのdisabilityを持つ人は世界人口の15%にも登る。
いつも宣伝が流れている乗用車だって、国内に12,500万人も人がいるのに年間430万台しか新車が売れない*2。これを数百以上の車種が分け合っている。
缶コーヒーのような兆円規模の飲料セグメントだって、5%ぐらいの人口で市場の8割をしめている(20:80ルールではない)
ほとんどのマス市場の正体はごく少数の人に支えられたニッチなのだ。

目からうろこな考え。LGBTの人は左利きの人の数より多いんですよ。とか、そういうことは聞いてきた時の聞き方は、「意外とマスでしょ?」という情報のインプットの仕方でしたが、安宅さんのこの分析では「いや、マスだと思ってるやつも、実はニッチでしょ?」という新たな問いになっていると思います。

物理的な存在である我々もいずれ壊れていく。四十肩、五十肩になって腕が自由に動かなくなるのは日常茶飯事。何割もの人が生きているうちに血管障害を体験し、生き延びた場合も中風/脳卒中/strokeと呼ばれてきたトラブルにより往々にして身体の自在性を失う。視野欠損などいくらでもあり、老人性で白内障は随分の割合の人が体験する。四人に一人は認知症になる。いわゆる精神病床の6割はシニア層が占めているのはあまり語られない事実だ。

そう、我々はみな、いつか何かのdisabilityを持つように生きていくはず。すでにdisabilityを持って生活されている人に向けて作られたプロダクトやサービスは、きっと将来のdisabilityを持つ自分たちにとっても使いやすいし、今時点の自分にさえ使いやすい可能性がある。

・病院や福祉施設向けに作られたウォッシュレット
・「書痙」と呼ばれる速記者・代書人・文筆家などに見られる職業性痙攣症の一種の方に向けて作られたDr. Grip

この例は知らなかった。!ですが、メガネがdisabilityの人のためのものからファッションアイテムの一つになっていたり、ライターは片方の手が使えない人のために開発されたらしい(本当かどうか分からないんですが)とか、社会をテーマにニッチのために作られたものは、マスへ広がる可能性も持っている。

視覚だってそうだろうし、聴覚だって、匂いや触覚、平衡感覚、筋肉感覚だってそうだろう。白とグレーなのではない。その間にたくさんの段階がある。だからこういう多様性を持つ人にやさしくすることは、実は多くの人を救うことにストレートにつながる。ニッチと言いながらその5倍や10倍の潜在市場は常にあるということだ。

社会はビジネスリスク対応のため。という時代から、ビジネスチャンスとしてとらえなおせる時代へ。

新たな気づきと可能性をいただけました。

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