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【0719】地域脱炭素ロードマップ読んでみた⑤

国・地方脱炭素実現会議というところから、地域脱炭素ロードマップというものが発表されました。以下は目次ページ。

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その⑤の今回は4の基盤的施策から見ていきたいと思います。

その④のnoteはこちら↓

□基盤的施策

国は、3.に示した脱炭素先行地域づくりと重点対策の全国実施を後押しする分野横断の 基盤的施策として、
1)地域の実施体制構築と国の積極支援のメカニズム構築
2)デジタル ×グリーンによるライフスタイルイノベーション
3)社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション
に取り組む。

と、冒頭に明言されており、「メカニズム」「ライフスタイル」「ルール」という国や自治体が全体最適で取り組まないと難しいことに取り組むことがまず記載されています。

1)地域の実施体制構築と国の積極支援のメカニズム構築

大きく3つに分けて、

(1)地域の多様な主体の参画・連携による政策・事業の実施プロセス
(2)国の積極支援のメカニズム
(3)国の地方支分局の連携協力の強化

 について書かれています。

地域が主体になること。そしてそれをちゃんと国が積極的に支援すること。そのためのメカニズムという視点で整理されており、1つ目のプロセスで言えば、まず地域の産官学金に地域インフラ・商業関係者など、あらゆるステークホルダーの活動が大事だとした上で、そのハブとなる組織として商工会議所や青年会議所など、それらを横連携する役割の大事さが話されています。

2つ目の国の支援メカニズムで言えば、2025年までの5年間を集中期間とすして、「人材派遣」「情報・ノウハウ」「資金」の観点から具体的な強化策が書かれています。

例えば、企業版ふるさと納税(人材派遣型)や地域のニーズ・ 題と 決策をDX によりマッチングするデータベース、再エネ情報提供システム(REPOS)、環境アセスメントデータベース(EADAS)、 3D都市モデル(PLATEAU)、バイオマス産業都市における先進的な事例やノウハウをデータベース化、「地方公共団体実行計画策定・実施マニュアル」、「自治体排出量カルテ」など。

資金については、国や自治体からの支援金という考え方だけでなく、民間投資の呼び込みも加速させるような金融手段も事業ごとに合わせて検討する予定とのこと。

3つ目の地方支分部局との連携で言えば、地方農政局・森林管理局・経済産業局・地方整備局・北海道開発局・地方運輸局・管区等気象台・地方環境事務所等と、連携を担当する組織が明示されて水平連携の旨が書かれています。

2)デジタル ×グリーンによるライフスタイルイノベーション

こちらもメカニズムのように、

(1)製品・サービスの温室効果ガス排出量の見える化
(2)CO2削減ポイントやナッジの普及拡大
(3)脱炭素の意識と行動変容の発信・展開

の3つの観点から書かれています。

基本はデジタルの力が機能する「見える化」をいかに行うか。それによって貯まったデータはAIによる分析や見えるだけでも効果を発揮することが多いため、そこへのアプローチをどう行うかということが書かれています。

温室効果ガス排出量の見える化は、メーカーにとっては、なかなかのインパクトがありそうですが、商品のパッケージや電子レシートに情報を記載するように決められていくような記載もあります。これらが見える化すれば、排出量の多さが消費行動にどう影響するかも分析できるようになり、それがさらにメーカーの開発思想に影響していくということも見越されているようです。

CO2削減ポイントは、上記の見える化が前提にありますが、環境配慮製品には逆にポイントが付与されたり、そのポイントの活用箇所を増やしたりといったことを整備するとともに、ふるさと納税の返礼品として地域再エネを採用できるようにするなどの方法も書かれています。

ナッジという言葉は初めて聞いたのですが、

ナッジ(Nudge)とは、英語で「そっと後押しする」という意味。ナッジ手法とは「行動科学の知見にもとづく工夫やしくみによって、人々が、人や社会にとってより望ましい行動を自発的に選択するよううながす手法」の総称です。米国・シカゴ大学のリチャード・セイラー教授らが提唱したもので、同氏が2017年にノーベル経済学賞を受賞したことで日本でも話題になりました。

こういう意味だそうで、資源エネルギー庁のHPでも注目された手法として書かれています。

脱炭素の意識啓蒙では、「ゼロカーボンアクション」という言葉とともに知見を整理したり、「脱炭素アンバサダー」という人を任命して発信してもらうチームのようなものも検討されているそう。この方々には最新情報を伝え、それを広げてもらう役割を担ってもらうことを期待しているようです。

学校での教育という観点ももちろん語られていて、ESDはますます加速しそうな予感。

3)社会全体を脱炭素に向けるルールのイノベーション

ここは既存の法律やルールのイノベーションについて、

(1)温対法を活用した地域共生・裨益型再エネ促進
(2)風力発電の特性に合った環境アセスメントの最適化等による風力発電促進
(3)地熱発電の科学的調査実施を通じた地域共生による開発加速化
(4)住宅・建築物分野の対策強化に向けた制度的対応

の4つについて記載されています。

積極的に導入を進めるエリアの特定や、その地域に根付いたり、負荷をへらすための制度や体制の整備が、現状有力とされている太陽光・風力・地熱といった具体的テーマで検討されているようです。

住宅や建築分野でも、ZEH・ZEB化へのロードマップや、建築に木材を積極的に利用できるようにするため(炭素固定された木材は燃やさず長く使うことでCO2を長く空中に放出せずに保持できる)の情報共有や支援を検討されているようです。

続きます。

そろそろラストスパートかな。次回は5地域と暮らしの脱炭素に関わる個別分野別の対策・促進施策より

2021.07.01追記 その⑥を更新しました。


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