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【0307】目標14:海の豊かさを守ろう

SDGsの17の目標、169のターゲット、232の指標を改めて今の知識で振り返ってみるシリーズ。目標とターゲットの参考は、一番分かりやすい(と思っている)Think the earthさんのサイトからお借りします。

目標14 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

海洋のマイクロプラスチックやウミガメの鼻にストローが刺さっていたという調査隊の動画などで、プラスチックの流出が話題になりやすい「海の保全」に関する目標。

基本的には、目標のタイトル通り「海の保全」で汚染や海の生態系を守りましょうというターゲットが多く、

<ターゲット>
14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
<指標>
14.1.1 沿岸富栄養化指数 (ICEP)及び浮遊プラスチックごみの密度

<ターゲット>
14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
<指標>
14.2.1 生態系を基盤として活用するアプローチにより管理された各国の排他的経済水域の割合

こんな感じ。プラスチックは汚染の中でも厳密にターゲット化されています。
そしてこの目標の難易度が高いのが、

<ターゲット>
14.7 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
<指標>
14.7.1 小島嶼開発途上国、後発開発途上国及び全ての国々のGDPに占める持続可能な漁業の割合

海の資源による経済の活性化もターゲットの一つというところ。

海を守りながら、自然の恩恵を受けた経済活性は進めるという持続可能性を追求した目標になります。

◯国の状況によって判断難しい

この目標では、海洋の保全と水産資源による経済の活性化の両立を目指していますが、各国の状況によって難しそうだと思うのが、

2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。

というものがターゲットの中にあります。
漁業補助金を禁止、抑制するというもの。

国全体で言うと、先進国の分類に入っていても、漁業従事者個人で見れば「これまで補助金あったやん、漁業のための準備資金とか。。」という反応にはなると思います。
どこまでの補助金が必要最低限で、その補助金によって過剰漁獲を支えないか、単なる補助金の設定だけじゃなく、漁業とはどういうものか、海の保全とはどういうことかを理解した上での絶妙な線引きが求められていると思います。

◯海のゴミベルト

海流と大気の気流は地球規模で同じ流れができていて、それのおかげで日本の近海では魚が集まりやすい場所ができていたりしますが、ゴミについても同じことが言えるそうで、太平洋にゴミのかたまりの「ゴミベルト」というものが出来上がっているそうです。

そこに目をつけて、クラウドファンディングで資金を集めてゴミの回収に臨んだNGOもいます。このNGOは海から全てのゴミを無くすことを目標に掲げていて、海にすでにあるゴミを回収するだけでなく、ゴミが流出する海の入り口部分での回収などにも着手しはじめています。

◯プラスチックは生み出すことよりも回収が問題

SDGsへの対応として、プラスチック製品の不採用がよく発表されています。ストローを全て紙にする、レジのゴミ袋はもらわないなどなど。
実はプラスチックはゴミのリサイクル(サーマルも含む)というシーンになると、むしろ優等生だそうです。元々が石油なだけあって燃焼効率が良かったり、別のものに生まれ変わらせるリサイクルも比較的やりやすいものが多いそう。

ただ、リサイクルのための回収は完全には難しく、どうしてもリサイクルしきれないものがたくさん発生してしまう。それが回りまわって海に流出してしまう。ということが問題になっています。

この問題を解決しようという時、「よし、もう入り口のプラスチックを生み出すところをNGにしよう」という行為、もちろん大事な動きではありますが、本当は回収が課題というところを見ていないと、他の問題を生み出す危険性もはらんでいるなと思います。

例えば、ヨーロッパではスーパーの野菜売り場では野菜がビニールでカバーされていることが多いそうですが、これにも「プラスチックを使うなんて!」になるとする。実はこれ、野菜の日持ちをめちゃくちゃ良くしていて、それを無くすことによって、今度は食品のロスが増える。ということが起こったり、同じく紙パックの製品であっても、内側のコーティングにはプラが使われています。こういったものもなくなれば、別の廃棄が増える。という自体にも。

「プラあかん!」というメッセージや行動はシンプルで力強いだけに、盲目的に取り組むと、本当のことを見失いやすい。盲目な正義感は、ふと立ち止まって問い直す時間を持つことも必要ですね。

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