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第9回 早稲田大学の教授もSDGsは儲かると言っていた。

 皆さんこんにちは。佐賀SDGs官民連携円卓フォーラムの大野です。

 テレビ朝日の「未来をここからプロジェクト」で早稲田大学ビジネススクールの教授である入山章栄氏が「そろそろ知らなきゃ損する、SDGs」というタイトルでSDGsについて6分で話していました。企業、特に中小企業がなぜSDGsに取り組まなければならないかがメインテーマでした。

 中小企業のためのSDGsセミナーをしている私としても、ビジネススクールの先生がどのように言うか、興味津々で視聴しましたが、基本的には同じことを話されていました。入山教授の主張は「SDGsに取り組むことは未来への投資であり、中小企業こそ、取り組むべきである」ということでした。我々の主張そのものです。そこで、入山教授のお話をベースに、改めて中小企業がSDGsに取り組むべき理由をまとめたいと思います。

 いい会社はすでにずっと昔からSDGsに取り組んでいます。違う言い方をすれば、SDGsに取り組んでいる会社が今も生き残っているということです。いい会社=生き残る会社と定義した場合、いい会社とは「常にイノベートしている」会社だと言えます。つまり変わり続けられている会社であり、その変化が消費者、並びにマーケットに受けられている会社だということです。これをビジネス的に言うと「新しい価値を作り、新しい利益の創出している」ということになります。

 情報革命以降、現状維持は衰退であり、変わらないということはありえない時代となっています。昨日、令和3年3月31日、「両利きの経営」の代表である名経営者と言われている富士フィルムの古森重隆会長が退任することを発表しました。その理由は富士フィルムが医療関連メーカーとして第二創業をなし終えたからだそうです。社長に就任して22年、22年かけてトランスフォームできたということです。2021年3月期(昨日までですね!)の連結純利益はコロナ禍の中、前期よりも増加させています。

 あの富士フィルムも22年かかった業態転換のなか、企業はどうやって30年先の未来を見据えて新しい価値を生みだしていくことができるのでしょうか。まったく先が見えない時代に、その一つの方策として考えられるのが「根深い課題を解決することにより新しい価値を生む」ということです。この根深い課題というのが、SDGsが解決すべきものです。つまり、SDGsにビジネスチャンスがあるということです。入山教授はSDGsは3500兆円以上の市場と話していましたが、2018年のダボス会議でのSDGsタスクフォースがSDGsのマーケットは1200兆円と報告しています。3500兆円の根拠の説明がありませんでしたが、そのまま受け入れるとしたら、わずか3年でそのマーケット見込は約3倍に増えているということです。入江教授は、グローバル企業がSDGsに取り組むということは、このマーケットを取りに行っているということだと主張していましたが、ESG投資の文脈から言ってもこの見込みに間違いはないでしょう。そこで気になるのは、日本でSDGsをビジネスチャンスと認識している企業は4割にも届いていない、ということです。このままじゃ、日本の企業は情報革命以後に叩かれ続けたようにこの後も、しょっぱい状態が続くのか、という心配です。

 ダボス会議でのSDGsタスクフォースが報告していますSDGsの1200億円のマーケットの具体的な業種のトップ3は「モビリティ」「医療」「エネルギー」となります。日本の産業界もSociety5.0の文脈でこのマーケットへの主導権を取ろうとしているので、まだまだ勝負は捨てていません。頑張れ日本の企業ということで、SDGsへの取り組みをアクセレート(加速)していただきたいと本気で考えています。

 先の見えない時代に、SDGsでビジネス分野が明確に提示されているということは、そこに新しいアイデアやイノベーションの種があるということになります。企業にとっての羅針盤がそこにあるということです。別の言い方をすると、入江教授が言う「SDGsに取り組むことは未来への投資になる」ということです。その証左として、現在のビジネス上の現象として、現時点での最も大きい消費者のマスであるX世代(1960年代序盤または中盤から1970年代終盤に生まれた世代)の、5人に一人はSDGsな商品を選び、人材供給のマスであるZ世代(1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代)の就職先に選ぶ条件としてのSDGsが3年連続の一位になっている、ということがあり、将来的には無視のできないマーケットとなってきています。これは、ここ数年にビジネス化し、収益化するマーケットではなく、未来に向けて企業が存在し続けるためのマーケットだと言えます。長い目で見ればSDGsはお金になると考えられのですが、その感覚を企業経営者が持つことができるかどうかが将来の生き残りの分岐点になると言えるでしょう。

 入江教授は「(SDGsを)なんのためにやるのか。未来をつくることが会社の成長にもつながるので、未来をつくるためのまなざしとしてSDGsを使いましょうということ」とお話をくくられていました。では、どのように使うのか、それはマニュアルとか、教えてもらうということではなく、各企業が自分で考えることが必要である、とも主張していました。まったくその通りだと思います。

 入江教授はSDGsに取り組むのは大企業よりも、中小企業のほうがむしろ向いていると話されていました。次回はそこのところを深堀してみましょう。


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