見出し画像

第10回 SDGsはわかりにくい?

 皆さんこんにちは
佐賀SDGs官民連携円卓フォーラムの大野です。

 「SDGsの概念はわかるけど、結局何なのかわかりにくい」

というお話をよく聞きます。17つというゴールが多すぎるし、一つ一つのゴールは大切なのはわかるけど、何をすればいいのかわからない、と言ったところでしょうか。

 私もよくそういう質問を受けることがあります。それは仕方がないことだと思います。なぜなら、SDGsが目指す「持続可能な世界」はまだ誰も実現させたことがない新しい概念だからです。資本主義の延長線上にあるのは間違いないのですが、しかしそれは突然変異のように、よって立つ基盤、前提が従前の資本主義とは違ってきているように思われます。

 簡潔に言うと、従前の資本主義はいかに経済価値を増大させるかがその主たる目的だったのが、経済価値は増大させるが、それはあくまでも持続可能な範疇の中でという条件付きになってしまったという感じです。もしくは従前の資本主義は経済価値の増大で社会に幸福をもたらせる、というミッションがありましたが、SDGsによって資本主義はよりよい未来をつくることによって経済価値が増大できるもののみが社会に持続し続けられるというミッションに変容したということでしょう。これらはみな今まで、本気で私たちが取り組んできたテーマではないのです。なので、わからない、は正しいのです。

 先週、朝日新聞 SDGs ACTION!が主催する「SDGs クリエイティブアイデアコンテスト 2021」のキックオフイベントでSDGsの第一人者である慶應義塾大学大学院の蟹江 憲史 教授が面白いたとえで答えていました。それは

「SDGsは17の答えが書かれた問題集、でも問題の解き方は載っていない問題集」

だという言い方です。面白いですよね。その通りだと思います。これが、SDGsのわかりにくさの原因だったのです。

 私たちは学校で「正しい答え」を出す問題をひたすら解いてきました。学校でもその方法を教えられてきました。でも、問題はある、そしてすでに答えがある。そこでその解き方について、その方法を考えよう、というような教育は受けてきませんでした。そのように考えるのに慣れていないのです。ですので、SDGsがわかりにくいということになってきているのでしょう。

 で、結局何なのか、という問いに対しては、私は「みんなで考えるしかないですよね」と答えています。神田外語大学の石井教授は、

持続可能な世界は、人類が未だ実現したことがない壮大な目標と言えます。ですから、誰かがやり方や答えを教えてくれるようなものではありません。だからこそ、みんなで一緒に取り組みながら、大人も子どもも年齢や立場を超えて共に学んでいく、そんな行動が必要になってくるでしょう。

と件のイベントでコメントされていました。

 「SDGsはわかりにくい、でも大事なことだ、だからみんなでわかりやすくなるように考え、行動していきましょうよ」というのが、現時点での答えかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?