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SDGs目標2「飢餓をゼロに」解説!|企業の取り組みやターゲットも掲載

SDGsは、現代社会における世界共通の国際目標。

国や企業が目標達成を目指すSDGsは、どのような背景を理由に定められた目標なのでしょうか?

この記事では、SDGsについての基本的な内容を踏まえ、SDGsが掲げた17の目標の中から『目標2:飢餓をゼロに』にスポットを当て、事例や現代の問題などを交えながら解説します。

■SDGsとは国連加盟国共通の目標

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SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標、エスディージーズ)は、2015年に国連で採択された国際目標です。

「誰一人取り残さない」という宣誓のもと、大小さまざまな規模、あらゆる分野に関する問題を解決するための目標とターゲットを定めており、2030年までに全ての目標を達成することを目指し取り組まれています。

以下にSDGsが定める17の目標をまとめました。

・目標1「貧困をなくそう
・目標2「飢餓をゼロに
・目標3「すべての人に健康と福祉を
・目標4「質の高い教育をみんなに 
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

▼SDGs関連サイト

目標にはそれぞれターゲットが定められています。

ターゲットとは小見出しのようなもの。

理想の未来のために、「どういう問題を解決するのか」、「どういった発展を求められているのか」などがまとめられています。

▼ターゲット一覧

ターゲットは合計169個!

専門的な内容も多いですが、私たちの生活に影響を与える項目も!一度目を通しておくのがオススメです★

■目標2「飢餓をゼロに」のテーマとターゲット一覧

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この記事でスポットを当てる目標2は、『飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する』ことを目指す目標です。

目標2達成には、安定した食糧の確保と供給が必要不可欠。

しかし、食糧の問題を解決するためには、生産能力の向上をはじめとする数々の問題があります。

SDGsが目標2達成のために何を求めているのでしょうか?

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【SDGs『目標2:飢餓をゼロに』のターゲット一覧】
2.1)2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層および幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2)5歳未満の子どもの発育障害や衰弱について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養失調を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦および高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

2.3)2030年までに、土地その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場および高付加価値や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民族、小規模な家族経営の農家、牧畜家および漁師をはじめとする、小規模食糧生産者の農業生産性および所得を倍増させる。

2.4)2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水およびその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

2.5)2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源およびこれに関連する伝統的な知識へのアクセスおよびその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a)開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発および植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b)ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金および同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正および防止する。

2.c)食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場およびデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

ターゲットを見て頂くと、目標2では飢餓に対して各側面からアプローチをし、食糧の確保と供給、また、貧困層でも食糧を入手しやすい世界を目指していることが分かりますね。

▼ターゲットの内容を詳細に知りたい方はこちら

▼目標1「貧困をなくそう」について

■飢餓人口が増えると国の成長にも悪影響が生じる

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飢餓とは、食料不足を理由とした栄養不足によって健康状態を維持できない状態のこと。

国際農林業協働協会が公表した「世界の食料安全保障と栄養の現状2019年報告 (FAO)」によると、2018年現在、飢餓人口は約8臆2,160万人。これは世界人口のうち9人に1人が飢餓状態にあることを示しています。

飢餓で苦しんでいる人の多くは、発展途上国の人々です。

飢餓状態にある人は、病気やケガによって命を落としやすいほか、子供の成長が遅れたり、お母さんが元気な赤ちゃんを出産できなかったり。また、若い力が育たないことで国の成長も遅れてしまいます。

■紛争や自然災害に苦しむ人々|飢餓の原因とは

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飢餓人口の約4.9億人は紛争や戦争のある地域に暮らす人々です。

紛争や戦争が起こると、家や仕事を手放して非難するケースが多くなり、結果として、貧困に陥ったり食糧調達が困難になったりして飢餓となります。

自然災害も飢餓に陥る原因のひとつ。

途上国は農業技術が低く、貯蔵・保存施設も十分ではありません。そのため、自然災害により食糧の確保が大きく左右されるほか、自然災害によりダメージを受けた農地を復活させるのも困難です。

▼世界の飢餓状況を詳しく知りたい方はコチラ

■飢餓解消に向けて行われている支援

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飢餓を改善するために行われている主な支援を以下にまとめました。

・インフラ整備や設備の建設など、生活の基盤を作るための支援。

・子供の飢餓を防ぐために学校給食を支援することは、親が子供を教育の場行かせる目的にもなり、目標4達成にも繋がります。

・食料不足が深刻な地域では、母子の社会的立場が弱く飢餓になりやすいとされているため、栄養支援や産後のサポートが必要です。

・自然災害や紛争といった原因で飢餓状態になっても再建しやすい環境を作ることが求められています。

上記のほか、近年問題となっている人口増加への対策も必要です。

2050年には現在の1.7倍もの食糧が必要との予測も公表されました。食糧の需要と供給のバランスがこれ以上悪化する前に、有効的な対策と支援が無ければ、飢餓問題はより深刻化してしまいます。

■飢餓に対する日本政府の取組み事例

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日本はSDGsの活動以前から飢餓に対しての支援を行っています。
ここからは日本の支援を2つご紹介します。

【WFPを通しての支援】
2015年と2019年の2度にわたり、国際連合世界食糧計画(WFP)を通して総額1億9162万ドル、日本円にして約200億(執筆時レートによる換算)の支援が行われました。

WFPを通して支援した年 総額
2015年 1億2262万ドル
2019年 6900万ドル

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2015年に行われた支援における日本の拠出金は、WFP「日本政府、27か国に国連WFPを通じて多額の食糧支援(WFP)」によると、アフリカ・アジア・中東など食糧不足に苦しむ国々27か国の支援に使用されたとのこと。

2019年に行われた2度目の支援では、食料不足の支援のほか、気候変動の影響を受けた地域の災害対策のための支援や復興支援などに使用されました。

【農業技術の提供】
農業の歴史が長く、現代でも技術の進化を見せている日本。

日本の農業に関する知識と技術を飢餓に苦しむ人々のために提供することと合わせて、地域に適合した農業技術の開発なども行い、飢餓解消に繋げてています。

■企業が行う目標2への取組み①|【株式会社日本フードエコロジーセンター】

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第2回ジャパンSDGsアワードの最優秀賞「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞している株式会社日本フードエコロジーセンター。

同社では、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を通して目標2達成のための取り組みを実施しています。

なかでも注力しているのが目標12のターゲット12.3「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、 収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」です。

食品ロスは世界に食糧が行き届かない原因ともされている問題。

日本フードエコロジーセンターでは、食品ロスから飼料を製造するビジネスをスタートさせたことで、飼料自給率の向上と価格変動の影響を受けにくい畜産経営の支援をしている点が高く評価されています。

■企業が行う目標2への取組み②|hunger free world(ハンガーフリーワールド)

「食料への権利」実現を目指し取り組んでいるhunger free world(ハンガーフリーワールド)では、「地域を作る」「しくみを変える」「気付きを作る」「若い力を育てる」の4つの活動をメインとし、食料不安の解消と栄養の改善のための支援を行っています。

先進国からの支援とは別に、自身の力でも飢餓問題を解決させるための取り組みと言えるでしょう。

■飢餓・栄養不良の人々のためにできること①『食品ロスをなくそう』

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先にも記しましたが、食品ロスは飢餓の原因のひとつです。

現在の食糧生産量は年間40億トン。
そのうち、廃棄される量は13億トンとされています。
実に食糧生産量の1/3が廃棄されているのが現状です。

日本でも食品ロスへの取り組みが活発化しています。

日本における1年間の食品ロス量は612万トン。
そのうち家庭から出される食品ロス量は284万トンです。

日本の食糧自給率は38%と、多くの食品を輸入に頼っています。
食品ロスを削減することができれば、僅かでも飢餓に苦しんでいる人に行き届くかもしれません。

「食材を無駄にしない。」
「安いからと買いすぎない」
「商品を購入する時は手前から商品を取る」

もったいないことをしないようにと意識するだでも食品ロスを減らせます★

■飢餓・栄養不良の人々のためにできること②『飢餓について調べてみる』

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飢餓で苦しんでいる人の暮らしやその原因を知ることは、自分ができる支援を考える上で必要なことです。

■飢餓・栄養不良の人々のためにできること③『寄付、募金に参加する』

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飢餓に苦しむ人々への支援は寄付や募金がメインとなっています。

たくさんのお金を寄付する必要はありません。

国連WFPによると、「3000円で栄養強化ビスケットを100人に配れる」、「5000円で子供1人に1年間給食を食べさせられる」としています。

国連WFPでは1,000円からの寄付を募っています。
毎月1,000円、もしくは1度のみの支援を選び寄付することで、飢餓や栄養不良に苦しむ世界中の人々への支援に繋げることが可能です。

■SDGsの目標2「飢餓をゼロに」についてまとめ

この記事では、SDGs目標2「飢餓をゼロに」について、飢餓の原因や企業の取り組み事例などを交えて解説しました。

【この記事でご紹介した内容】
・SDGsの17の目標とターゲット
・目標2「飢餓をゼロに」のテーマとターゲット
・飢餓の原因
・飢餓解消に向けた主な取り組み
・日本政府による支援
株式会社日本フードエコロジーセンターの取り組み
・食品ロスについて
・寄付、募金について

他の目標と同様、目標2も政府や企業だけでなく、私たち個人の意識改革をしなければ達成することができません。

先進国に住んでいる私たちだからこそ、できることから始め、2030年のSDGsが期限を迎えるころには飢餓人口が大幅に減少するように取り組んでみましょう!

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