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SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」が日本社会に与えた変化とは?政府の方針と企業取り組み事例

近年、世界中で健康ブームが巻き起こっています。

休日にはランニングしている人を以前にも増して目にするようになり、スーパーマーケットでは、グルテンフリーやベジタリアンにお馴染みの代替肉も気軽に購入できるようになりましたね♬

SDGsにも健康に関する目標が設定されています。それが今回ご紹介する目標3「すべての人に健康と福祉を」。

目標3がどのような変化を日本社会にもたらしたのでしょうか?

■SDGsってそもそもなに?

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SDGsは2015年の国連サミットで採択された『2030アジェンダ』に記載されている2030年を期限とした国際目標で、以下の2つの目的のもと世界中で取り組みが実施されています。

SDGsの主な目的
・現代における社会問題を解消する
・環境問題の改善と解消に向けた取り組みで「持続可能な社会」を実現する

SDGsは、目的を実現するために、「誰一人取り残さない」というテーマのもと定められた17個の目標と169個のターゲットで構成されているんですよ♬

✅SDGs17個の目標一覧とリンク    
目標1「貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

・目標2「飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

・目標3「
すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

・目標4「質の高い教育をみんなに 
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る

・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

・目標8「働きがいも経済成長も」
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

・目標10「人や国の不平等をなくそう」
各国内及び各国間の不平等を是正する

・目標11「住み続けられるまちづくりを」
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標12「つくる責任 つかう責任」
持続可能な生産消費形態を確保する

・目標13「気候変動に具体的な対策を」
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

・目標14「海の豊かさを守ろう」
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

・目標15「陸の豊かさも守ろう」
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

・目標16「平和と公正をすべての人に」
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

SDGsを理解する上で重要となるのがターゲット。

ターゲットは目標毎に設定されている行動指針のようなもの。国家や企業はここに記載された内容を照らし合わせて目標に貢献する取り組み内容を策定し実行しています。

■目標3「すべての人に健康と福祉を」

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SDGs目標3は、”あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する”ことを目的にした目標です。

日本は世界的に見ても福祉も充実している国で、赤ちゃんからご年配の方まで安心して暮らせています。しかし、日本のような国は少ないため、世界中には福祉の充実を求め、健康に暮らしたいと願う人々がたくさんいます。

福祉が充実している国はより人々が安心して暮らせるよう社会に変化を与え、そうではない国は充実した福祉を構築することが必要です。

目標3は目的を達成するために、13個のターゲットが設定されています。

✅目標3のターゲット一覧      
3.1) 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。

3.2) 全ての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、 2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。

3.3) 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.4) 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

3.5) 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。

3.6) 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。

3.7) 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスを全ての人々が利用できるようにする。

3.8) 全ての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

3.9) 2030年までに、有害化学物質、並びに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

3.a) 全ての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。

3.b) 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特に全ての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。

3.c) 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。

3.d) 全ての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

ターゲットには気になるワードがいろいろありますね。

日本では目標3どのような変化を社会に与えたのでしょうか?主なものをご見ていきましょう!

■タバコに関する規制がスタート

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2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、2020年4月1日より全面施行された受動喫煙防止法により、街から喫煙所が減り、飲食店も一部を除いて禁煙となりましたね。

ターゲット3.aを実施したもので、SDGs採択以前から取り組まれていたタバコの規制に関する世界保健機関枠組条約を推し進めた形となります。

✅タバコの規制に関する世界保健機関枠組条約
①職場等の公共の場所におけるたばこの煙にさらされることからの保護を定める効果的な措置をとる。(受動喫煙の防止)

②たばこ製品の包装及びラベルについて,消費者に誤解を与えるおそれのある形容的表示等を用いることによりたばこ製品の販売を促進しないことを確保し,主要な表示面の30%以上を健康警告表示に充てる。

③たばこの広告,販売促進及び後援(スポンサーシップ)を禁止し又は制限する。

④たばこ製品の不法な取引をなくするため,包装に最終仕向地を示す効果的な表示をさせる等の措置をとる。

⑤未成年者に対するたばこの販売を禁止するため効果的な措置をとる。

⑥条約の実施状況の検討及び条約の効果的な実施の促進に必要な決定等を行う締約国会議を設置する。締約国は,条約の実施について定期的な報告を締約国会議に提出する。

喫煙者には厳しい世の中になりましたが、今後は世界中で日本と同じような取り組みが実施されるかもしれませんね。

■運転サポート技術を向上させる

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自動車メーカーは技術を向上させ、自動ブレーキや自動ブレーキ技術が普及しはじめました。

これらの先進的技術の発展によって、ドライバーが安心して運転することをサポートするだけでなく、交通事故件数を減らすことに役立っているのは皆さんもご存知の通り。

ターゲット3.6にある交通事故死亡者を半減させることを目指し、各社が研究と開発に取り組んだ結果、着実に成果を挙げています。

■日本政府によるSDGs目標3の取り組み方針

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日本政府はSDGs実施指針を2016年に公表し、2019年に改定しています。

✅SDGs実施指針改訂版8つの優先課題
1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2. 健康・長寿の達成
3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
7. 平和と安全・安心社会の実現
8. SDGs実施推進の体制と手段

令和2年12月に公表された『SDGsアクションプラン2021』では、政府がどのようにSDGsに取り組むのかを知ることができます。

✅厚生労働省
・新型コロナ感染症から国民の命を守る体制の確保
・新型コロナ感染症ワクチンへの公平なアクセスの確保
・ASEAN感染症対策センターの設立
・データヘルス改革の推進
・国内の「健康経営」の推進

✅文部科学省
・国内外の感染症研究基盤の強化
・感染症の予防・診断・治療に資する基礎的研究の推進

✅環境省
・スギ、ヒノキ林の花粉症対策苗木等への植替
・専門家等で構成する「地域循環共生圏づくりプラットフォーム」の構築
・野生鳥獣由来の人獣共通感染症への対策
・微小粒子状物質(PM2.5)等への総合対策
・子どもの健康と環境に関する長期的かつ大規模な出生コホート調査の実施

(引用:ESG Times|SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは?企業の取り組み事例まで徹底解説

アクションプランを見て頂くと分かる通り、目標3に関しては従来の感染症や花粉症、PM2.5への対策と合わせて、現在は主にCOVID-19(コロナウィルス)対策を中心にまとめられているのでチェックしてみてください。

■サラヤ株式会社の取り組み事例|正しい手洗いと病院での消毒を普及させ感染症を防ぐ

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目標3では、ターゲット3.2~3.4に感染症に関する内容を記載しています。

医学は進歩しましたが、感染症で命を落としてしまうのは免疫力の弱い子どもが多く、5歳未満の子どもの死亡者は年間600万人、1日1万6000人の子どもが予防可能な病気で命を落としてしまっているのが現状です。

✅子どもの2大死亡原因
・下痢性疾患
・急性呼吸器感染症

感染症予防に効果的なのが手洗い!

サラヤでは、紛争を原因にインフラ整備が整ってなく手洗い習慣が無いために感染症に悩んでいるウガンダで手洗い習慣を身に付けてもらうためのプロジェクト『100万人の手洗いプロジェクト』を実施。

ユニセフと協力して感染症予防の知識と正しい手洗い方法を教えています。

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このプロジェクトは、「病院で手の消毒100%プロジェクト」に発展。

医師や患者の手洗いと共に、医療器具などの消毒の大切さと方法を伝えサポート体制を取ることで、院内感染を予防しています。

プロジェクトで使用するアルコール消毒剤は製造するために、サラヤは現地に会社も設立!貧困問題も深刻なウガンダにおいて、多くの雇用を生み出し、国の経済成長にも貢献しています♬

■まとめ

今回は目標3が私たちの生活に与えている影響と合わせて、日本政府の方針、そしてサラヤ株式会社の取り組み事例をご紹介しました。

【今回ご紹介した内容】
・SDGsに定められている17個の目標
・目標3「すべての人に健康と福祉を」について
・受動喫煙防止法
・運転サポート機能
・日本政府の方針~SDGsアクションプラン2021~
・サラヤ株式会社のプロジェクト

日本では目標3の影響は少ないですが、大きな変化をもたらしているようです。特にたばこの規制に関しては一気に進んだ印象がありますよね。

SDGsが期限を迎える2030年には、どんな社会になっているのでしょうか。少しずつ変わっている社会をチェックしていきましょう!

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