『地球の限界』を考えてみよう。それは・・・(最後に)

長い間、お読みいただき、ありがとうございました。
 
最後に・・・生物多様性と「生態系サービス」
 
・気候変動、森林破壊、環境汚染、魚の乱獲などが重なり合った結果、深刻な生物多用性の危機が生じている。
・現在のペースでは今世紀末までに大型哺乳類の50%が絶滅する。
・サンゴ礁の4分の3はすでに危険な状態にある。サンゴ礁には世界の種の25%が生息しており、5億人以上の生活を支え、大気中の酸素の70%を生み出している。
・生物多様性は生態系と生態系サービスの健全性の基盤となる。生態系サービスとは、地球が人類に与えてくれる、人類が自ら生み出すことのできないさまざまな恩恵を言う。
 
➜酸素の生成、食料や森林を育てること、植物の受粉、洪水の防御、気候の安定など、全部で36ある。これらサービスの60%が劣化し、長期的には持続不可能になる。
 
▪対策
1)ドローンを使った森林再生/
 バイオカーボン・エンジニアリング社(イギリス)/AI誘導型の植林ドローンを開発
 全世界で1万機のドローンを飛ばすことができれば、1年で10億本の木を植えることができる。
2)サンゴ礁の再生/サンゴ礁は海の森林。
モート・トロピカル・リサーチ・ラボラトリーの海洋生物学者、デビット・ボーン博士
100年分のサンゴ礁の成長を2年足らずで再現する方法を開発した。
3)水産養殖の開発/世界の漁業の3分の1は限界を超えた乱獲の状態にある。
4)農業の改革
「史上6回目の大量絶滅」を防ぐには地球の半分を明け渡す必要がある。
陸地の37%、淡水資源の75%は農業に使われている。11%が農作物、残りは牧畜と酪農。
5)閉ループ・エコノミー
環境汚染による死者は年間900万人。コストは5兆ドル。温室効果ガス、河川に流れ込んだ化学物質、海洋プラスチック、大気中の微粒子。
これに対して何ができるか。
石油中心の経済から、再生可能エネルギーを中心とする経済へ。
「ゼロ・トウ・ゼロ製造プロセス」の実現。/製造業が出てきた廃棄物をゴミ処理場に送るのではなく、廃棄物を完全にゼロにすることを意味する。企業収益にもプラス。
 
そして・・・ようやくイノベーションが追いついた
 
イラワジ・デルタ(ミャンマー)/生物多様性ホットスポット。地球最大規模のマングローブ林があったが、ここ数十年でデルタの75%近くが伐採。洪水防御など基本的な生態系サービスが失われた。マングローブによる防御機能が失われたことで、2008年のサイクロン襲来では138,000人が死亡した。
 
➜解決策
バイオカーボン・エンジニアリングのドローン/イラワジ・デルタの一部の植林。
野性動物の生息地が増えるだけでなく、洪水防御などの生態系サービスも復活するだろう。
パズルに欠けているのはコラボレーション(協働)だ。
「自動化」によってはるかに多くの「雇用」が生まれる。
アクセンチュアのジェームズ・ウィルソンとポール・ドアティは「ハーバード・ビジネスレビュー」で、「人間と機会が協力したときに最大のパフォーマンス向上が見られた。
BMWでは従来の完全自動型の組み立てラインを、人間とロボットのチームに置き換えたところ、生産性は85%向上した。
エクスポテンシャル・テクノロジーは雇用にプラス、このテクノロジーが誕生するたびにインターネットと同じくらいの途方もない機会が生まれる。
 
 ここでもカギを握るのはコラボレーション。
 
視野―思考のタイムスパンをのばす
 フューチャーリストのスチュワート・ブランド(ロング・ナウ協会)/ネバダ州のグレートベースン国立公園の奥地にある洞くつに時計を設置した。1万年にわたって時を刻むように設計されている。
 究極の目的は、長期的視野で物事を考える必要があるということ。
 
予防―先回り対策を打つ
・オランダ/気候変動の対応策「水のための空間をつくる」
・NASA/2019年、衛星画像を使った山火事の追跡
・災害支援ダッシュボード
・クライメート・ポジティブ など
世界中には、幸い、参考になる予防事例が多々あります。先回り対策を打つことを心がけましょう。
 
長い文章や記事をお読みいただき、ありがとうございました。
 
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